
「憲法絵本」が5ヵ月連続重版 【改憲目前】への危機感か? 爆売れ・注文殺到の異常事態
2026.06.22
2026年は日本国憲法公布から80年。いま、日本の憲法をめぐる状況が、大きな節目を迎えています。
憲法改正の手続きに関する「国民投票法改正法案」が6月18日に衆院憲法審査会で可決、19日に衆院本会議を通過し、参院へ送付される見通しです。公布80年という歴史的な節目を迎える中で、改憲への具体的な手続きが、現実味を帯びて動き出そうとしている状況となっています。
自分たちの、そして子どもの未来に関わる選択が近づいている――。
そんな有権者の切実な意識の高まりを証明するかのように、ある「一冊の絵本」の売れ行きが止まらない、異例の現象が起きています。
3月、4月、5月、6月、そして7月……止まらない「異例の重版」が意味するもの
『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』は、平和憲法の精神を表している「前文」と「第九条」を、子どもにもわかる言葉に「翻訳」し、憲法の内容を伝える絵本として2006年に刊行されたもの。
20年前に出版されたこの絵本をめぐる動きが急変したのは、今年2月の第2次高市内閣発足直後のことでした。
ネット書店を中心に注文が急増すると、3月・4月に異例の連続重版が決定。その勢いは一過性のものに留まらず、5月・6月にも追加重版がされ、7月にも更なる重版が予定されています。
また大手ネット書店でも、なみいる専門書をおさえ「憲法」カテゴリーでベストセラーの上位をキープしている状況です。(2026年6月19日現在)
目まぐるしく変わる政治の動きに対し、私たちは何を基準に考えればいいのか。その答えを探すように、多くの人がこの本へ手を伸ばしているのです。
【初代編集者が語る】井上ひさしが絵本の言葉に込めた「約束」
20年の時を経て、なぜ今、これほどまでにこの本が求められるのでしょうか。
同書の初代編集者で、井上ひさし氏が原案の絵本『けんぽうのおはなし』(2011年刊)も担当した編集者は、当時をこう振り返ります。
「『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』は、企画から刊行までに約7年かかりました。井上ひさし先生は、時には実際に小学生と対話をしたりしながら、憲法のひとつひとつの用語を、子どもにも理解できる言葉に、ていねいに「翻訳」していったのです。刊行から20年経って、この本が再度売れているのには正直驚いていますが、『憲法を知りたい』『憲法を子どもに知ってほしい』という人々の気持ちが、今まさに高まっているのだということがよくわかります」
(講談社 児童図書出版部 塩見亮部長)
今の社会情勢を見ていると、憲法の議論は政治的な駆け引きや、難しい法解釈ばかりがクローズアップされがちです。しかし、この本が提示する原点に立ち返るとき、私たちは大切なことに気づかされます。
難しい議論の前に、まずは知ることから
私たちの前にはこれから、多くの選択を迫られる未来が現実として横たわっています。そして、この国が歩んできた道のりを振り返るとき、1946年の公布からちょうど80年という歳月が流れた事実に突き当たります。
80年前、先人たちが未来の子どもたち(=いまを生きる私たち)に託した願いとは、一体どのようなものだったのか。同書では、憲法の「前文」を子どもにもわかる言葉へ翻訳した「この国のかたち(前文)」で、次のように表現しています。
『そこで私たち国民は
決められたやり方で「代わりの人」を選び
その人たちを国会に送って
どうすれば私たちの未来が
よりよいものになるか
それをよく話し合ってもらうことにした
私たちが、同じ願いをもつ
世界のほかの国国(くにぐに)の人たちと
心をつくして話し合い
そして力を合わせるなら
かならず戦はいらなくなる
私たちはそのようにかたく
覚悟を決めたのだ』
(『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』より抜粋)
激動する2026年の政治情勢を前に、私たちはいま、この言葉の重みを改めて見つめ直す岐路に立たされています。
憲法を誰もが理解できる表現で翻訳した普遍的な言葉の数々は、公布80年という歴史の節目にあって、私たちがこれからの未来を迷わずに歩んでいくための足場となってくれるはずです。
撮影/安田光優




































