聖母マリアとビートルズには共通点があった!? 誰かに話したくなる〈目からウロコのキリスト教〉

『Wonder! 目からウロコのキリスト教』

関西学院中学部宗教主事:福島 旭

写真:アフロ

「キリスト教」と聞くと、何を思い浮かべますか? 実はクリスマスやカレンダーなど、私たちの日常はキリスト教由来の文化であふれています。そんな教えが記された世界最大のベストセラー『聖書』は、「いつ、どこから読んでもいい」多彩なジャンルを網羅した本。

関西学院中学部で聖書科を担当する「ポン先生」こと福島旭先生によれば、キリスト教を知ると、見慣れた世界がガラリと変わって見えると言います。この記事では、福島先生の著書『Wonder! 目からウロコのキリスト教』の一部を抜粋し、日常や文化を形づくったキリスト教の驚きのエピソードや歴史を紐解いていきます。

今回は、「“Let It Be”の精神」についてお伝えします。

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マリアから受け継がれる“Let It Be”の精神

ビートルズの“Let It Be”はマリアの言葉だった?!

ポールは、バンドが解散するかもしれないという予感を抱きながら、“Let It Be”を書いたと言われています。

歌詞に出てくる“Mother Mary”は「聖母マリア」ではなく「生母メアリー(マリア)」。ポールが14歳の頃に亡くなった母メアリーが夢に現れて囁いた言葉を歌詞に引用したそうです。

“let it be”は日本語訳で「あるがままに」。バンドの危機的状況について「あるがままに、これからの自分たちの歩みを受け入れたい」という祈りが込められているのでしょう。

“let it be”は聖書にも出てきます。

イエスの生涯を描いた『ルカによる福音書』の冒頭、マリアが結婚前に天使ガブリエルによって受胎を告知された場面です。マリアは自分の身に起こった妊娠という出来事に「どうして、そのようなことがありえましょうか」と戸惑いますが、なんとか気を落ち着かせ、最後にはこう祈ります。

マリアは言った。「私は主の仕え女です。お言葉どおり、この身になりますように」(『ルカによる福音書』1章38節)

後半の部分は英訳の聖書では“Let it be to me according to your word.”と書かれています。マリアは「これからどのようになろうとも、あるがままに、その出来事を受け止める力を与えてください」と祈りをささげました。それは生まれてくる子のための祈りでもあったのでしょう。

イラスト:一ノ瀬 かおる

“let it be”は聖書で「御心のままに」とも訳されます。「御心」とは神の心、神の意志、神の思いという意味です。

『ルカによる福音書』では最後の晩餐の後、ゲツセマネという園でイエスがささげた祈りにも「御心」という言葉が出てきます。

「父よ、御心なら、この杯を私から取りのけてください。しかし、私の願いではなく、御心のままに行ってください」(『ルカによる福音書』22章42節)

「杯」は磔刑(たっけい)や受難を表すと言われています。イエスは逃げ出したいという人間的な感情を吐露しつつも、「みこころ(御心)のままに」とあるがままを受け入れる言葉で祈りを締めくくります。

母マリアと子イエスの思いは、「御心のままに」という祈りでつながっていたのです。

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福島 旭(著)  谷口 雅美(著)  一ノ瀬 かおる(イラスト)

発売日:2026/02/19

価格:定価:本体1650円(税別)

福島 旭
ふくしま あきら

福島 旭

Akira Fukushima
関西学院中学部宗教主事

京都市出身。関西学院大学大学院修了後、島根、広島で牧師および幼稚園園長を務め、現在は関西学院中学部宗教主事・人権教育主任・教諭、関西学院会館宗教主事、関西学院大学講師。冠句作家。保護司。琉球音楽ユニット“Sari Sari Moon” のギター& ボーカル担当。著書『GOODNEWS ~新約聖書』、『EXODUS ~旧約聖書』( 共に新教出版社) 他。

京都市出身。関西学院大学大学院修了後、島根、広島で牧師および幼稚園園長を務め、現在は関西学院中学部宗教主事・人権教育主任・教諭、関西学院会館宗教主事、関西学院大学講師。冠句作家。保護司。琉球音楽ユニット“Sari Sari Moon” のギター& ボーカル担当。著書『GOODNEWS ~新約聖書』、『EXODUS ~旧約聖書』( 共に新教出版社) 他。

谷口 雅美
たにぐち まさみ

谷口 雅美

Masami Taniguchi
作家

兵庫県尼崎市出身、神戸女学院大学卒業。第44 回創作ラジオドラマ大賞と第58 回講談社児童文学新人賞でそれぞれ佳作に入選。著書は『大坂オナラ草紙』『私立五芒高校 恋する幽霊部員たち』『わたしのカレーな夏休み』『殿、恐れながらブラックでござる』(全て講談社)など。戯曲やラジオドラマの脚本も執筆。

兵庫県尼崎市出身、神戸女学院大学卒業。第44 回創作ラジオドラマ大賞と第58 回講談社児童文学新人賞でそれぞれ佳作に入選。著書は『大坂オナラ草紙』『私立五芒高校 恋する幽霊部員たち』『わたしのカレーな夏休み』『殿、恐れながらブラックでござる』(全て講談社)など。戯曲やラジオドラマの脚本も執筆。