一人っ子は、「ワガママに育つ」や「コミュニケーションが不得意」など、なにかとネガティブに語られることがあります。しかし、これらのマイナスイメージは果たして本当なのでしょうか?
教育学博士であり、40年近くも親子関係などのカウンセリングを行なっている明治大学文学部教授で教育学博士の諸富祥彦先生に、一人っ子の子育ての“本当のところ”を伺いました。
全4回の第1回目は「一人っ子のしつけの大前提」をお届けします。
一人っ子=ワガママって本当!?
個が尊重されダイバーシティが叫ばれる社会になっても、一人っ子にはなぜネガティブなイメージがあるのでしょうか。
「一人っ子=ワガママ、協調性に欠けるという印象を持っている方はいます。しかし、この性質を実証した研究結果はないんですよ。
このイメージが浸透しているのは、特に日本が世間体を気にする文化だからです。
子どもがお友達とトラブルを起こした場合、『みんなと上手に遊べないのは、一人っ子だからかな……』と親が気にする傾向にありますが、これがイメージの正体です。
一人っ子であることは悪くないし、その性質は一人っ子特有のものではないのに、親が子どものマイナス部分を一人っ子のせいだと思い込んでいるのです。
一人っ子は決して悪いことではありません。まずは先入観を捨てて、我が子のいい面に目を向けてほしいです。
カウンセリングを長年やってきた私の経験からすると、一人っ子は子育てに失敗するリスクが少なく、安定した幸せな人生を歩める可能性の子が多いと感じています。ですから、マイナスよりもプラスの部分を大切にする子育てを心がけてください」(諸富先生)
世界に視野を広げてみると、一人っ子のネガティブなイメージは特に日本でその傾向が強いと諸富教授は言います。イメージに捉われないおおらかな考えを持ちたいですね。