
田部井淳子の息子が語る母の映画への思い「息づかいや温もりまで感じる」
映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』公開記念インタビュー【後編】長男・進也さん (2/3) 1ページ目に戻る
2025.11.16
フリーライター:浜田 奈美
映画は母の残したプロジェクトにも良い影響が
──映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』が公開中です。
いろいろな方にご覧いただいて、感謝しています。僕は母が始めた「東北の高校生の富士登山プロジェクト」を引き継いで続けていますが、5~6年前の「富士登山」に参加してくれた子たちから、つい数日前に「映画観ました」って連絡がきたんです。
「社会人になって、さまざまな大変さがある中で、富士山のことを思い出しながら頑張って進んできて今日を過ごし、そして映画を観て、映画から改めて勇気をもらいました」というメッセージでした。
彼ら彼女たちにとって、自分が参加したものが映画になっているっていうのは、すごいことだと思うんですよ。そういう部分で、東北に対して元気とか勇気をプラスで与えられたのかなって思ったら、うれしく思いました。
それに「今回の映画で富士登山のプロジェクトを知ったので、寄付します」と言ってくれた方もいました。僕たちも懸命に広報してきましたが、映画化されたことで、幅広く遠い場所まで情報を届けてくれた印象です。感謝しかありません。
──進也さん役は、人気俳優の若葉竜也さんが演じておられますね。
竜也くんのファンがすごくこの映画を応援してくれているんです。映画関係者にそんな話をしたら、サン・セバスティアン国際映画祭だったかな、竜也くんのファンの方が観に来てくれていて。
そしたら会場で僕と「写真を撮りたい」って言ってきたので、驚きました。「竜也くんじゃなくていいんですか? 僕はただの一般人ですよ」って聞いたら「いいんです!」って、記念撮影させていただきました。
──この映画を、どんな方々に観てほしいと思いますか?
いま病と闘っておられる方々とそのご家族に観ていただけると、母の生きた証というか、深いところで共感していただけるのではないかと思うんです。
というのも母がエベレストに登ったことは有名ですが、晩年の人生の本当のところはあまり知られていないことなので。(映画で)その部分にも光をあてていただいたことは、とてもよかったと思います。
この映画が公開されてから、「家族ががんで亡くなりました」とか「家族ががんなんです」というメッセージを、SNSとかで頂くことが多いです。
母の闘病を通して感じたことの一つに、がん患者にはたくさんの種類のケアがあるのに、家族に対するケアってほとんどないなあ、ということでした。いただくメッセージを見て、「やはりそうか」という思いです。



































