子ども向け知育玩具「レゴブロック」 子どもに遊ばせたい親は「真似できる環境」と「好きを見守ること」が大切
レゴ認定プロビルダー・三井淳平さんにインタビュー#3
2022.10.10
育脳の観点から、子どもをレゴブロックで遊ばせたいと考えている保護者の方は多いかもしれません。とはいえ、のめり込むように遊ぶ子もいれば、関心を示さない子もいるもの。親はどのようなスタンスでレゴ遊びを見守ると良いのでしょうか。幼少期からレゴブロックに親しみ、現在はレゴ作品の制作を仕事にしている、レゴ認定プロビルダー三井淳平さんに聞いてみました。
※全3回の3回目
※これまで(#1、#2)を読む
真似して気づくレゴブロックのおもしろさ。親は子どもの楽しい気持ちを引き出す存在
――2児のお父さんでもある三井さん、親は子どものレゴブロック遊びをどのように見守れば良いと思われますか?
三井さん:教育の専門家ではないので、あくまでも私の個人的な経験から言えることではありますが、まずは子どもが楽しく感じてチャレンジしたい気持ちにしてあげること、
次に子どもが真似できる環境をつくるということが大切な気がします。
レゴ製品には「ランダムなブロックの詰め合わせになったセット」と「何かテーマのあるものを組み立てるセット」の両方が販売されています。
ただ、子どもにブロックの詰め合わせだけを渡したところで、おもしろがって組み立てられるかというと、かなり難しいんですよね。
なので、最初はテーマがわかりやすいもの、たとえば消防車やキャラクターのセットを選んだ方が良いかもしれません。スタートのハードルが低く、楽しい体験になると思います。
とはいえ、いちから組み立てるのは難しいので、子どもが真似しやすいように親が一緒に組み立てにチャレンジしてみるのも良いかと思います。
私は兄がいて、レゴブロックの組み立て方は、兄の真似をしながら学びました。
子どもは親が楽しんでいる姿を見て、ものづくりを好きになる
――親は見守るというよりも、一緒に遊んでみると良さそうですね。
三井さん:そうですね。親としては、せっかくレゴブロックを買ったのだから、子どもに積極的に遊んでほしいと思うかもしれません。
ただし子どもは、好きなことじゃないと何を与えても伸びないのではないかなと。
好きになるには、楽しいと感じる気持ちが大切になるはず。
仮にレゴブロックに興味を示さないようであれば、他の分野でも良いので、本人の好きな気持ちを引き出す方向で、遊んでいる様子を見守ると良いかもしれませんね。
とはいえ、子どもも自分自身がおもしろいと感じているかどうか、分からないものですよね。
おもしろさに気づかずに、機会を失っている可能性もあります。
その意味で、親がいろいろなおもしろさや楽しみ方があるということを示してあげるのは良いことだと思います。
――三井さんのご両親は、ものづくりがお好きだったんですか?
三井さん:そうですね。父親はペーパークラフトが好きで、休日などに時々組み立てていました。いつしかそれを手伝うようになり、私もペーパークラフトを好きになりました。
それもやはり親が楽しそうにしている様子を見て、楽しさを知ったかたちです。
なので、親が楽しんでいるのを見せると良いのかなと思います。
「作れるモノ」の幅広さと「完成したモノ」への驚きが制作意欲を後押し
――大人になってからもレゴブロックに親しみ、ついに仕事にされた三井さん。いろいろなものづくりを経験して、それでも自分のやりたいこととしてレゴの作品作りが残っていたのは、なぜなのでしょうか?
三井さん:レゴブロックに愛着があったのもありますが、中高生くらいから人に作品を見せるようになってから、誰かにおもしろいと思ってもらえることが純粋にうれしかったからですね。
作りたいものと素材の組み合わせの意外性という意味では、レゴブロックはアドバンテージがあるのかなと。
レゴブロックでこんなものが作れるんだと驚いてもらいやすいというのも、レゴ作品の制作を続けた理由のひとつかもしれません。
――では、最後に親御さんへのメッセージをお願いいたします。
三井さん:レゴはブロックを組むイメージが強いかもしれませんが、歯車を使って動きを出すものや、プログラミングできるものなど、幅広いラインアップがあります。
幼少期は純粋にブロック遊びが楽しくて、徐々にプログラミングに興味を示す可能性も。
さまざまな遊び方ができるので、どの年齢から始めても楽しめる要素や学べる要素があると思います。
レゴブロックと一言で言っても、いろいろなジャンルとの掛け算です。レゴブロックをきっかけに、いろいろな分野にリンクして興味の幅が広がるかもしれません。
ぜひお子さんと一緒に楽しみながら遊んでみてください。
取材・文/末吉陽子
三井 淳平(みつい じゅんぺい)
レゴ認定プロビルダー
1987年生まれ。2005年、テレビ番組の「レゴブロック王選手権」準優勝で注目を浴びる。直後に灘高校から、東京大学理科一類に現役合格。入学後に東大レゴ部を創部。2010年、レゴブロックを素材とした作品制作や関連する課外活動における社会貢献により、「東京大学総長賞」を個人受賞。2011年「世界最高レベルのレゴブロック作品制作能力を持つ一般人」とレゴ社が認める「レゴ認定プロビルダー」に最年少で選出。