子ども向け知育玩具「レゴブロック」 勉強や仕事に役立つワケを東大レゴ部創設者が解説

レゴ認定プロビルダー・三井淳平さんにインタビュー#2

会社員時代に手掛けたレゴ作品。伊藤若冲の名作「鳥獣花木図屏風」を圧巻のスケールで再現。  写真提供/三井淳平

東大レゴ部の創設者で、現在はレゴ認定プロビルダーの三井淳平さん。企業からの依頼によるレゴ作品の制作をはじめ、子ども向けのワークショップも手掛けています。知育玩具としても圧倒的知名度を誇るレゴブロックで遊ぶことで、どのような能力や感性を育むことができるのでしょうか。三井さんご本人のお考えを伺いました。
※全3回の2回目
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レゴブロックは、勉強や仕事に役立つ能力を育む

――三井さん、レゴブロックで遊ぶと頭は良くなりますか?

三井淳平さん(以下、三井さん):
正直なところ、私は教育の専門家ではないので確かなことは分かりません。

ただ、個人的に感じているのは、「レゴブロックで遊ぶと物事の仕組みを考える癖がつく」ということです。

――どういうことでしょうか?

三井さん:
まず、「レゴブロックをどのように組み合わせれば、思い描いている作品に近づくのだろう」と考えることからはじまり、段取りを決めたりプロセスを考えたりと、頭の中で色々と思考します。

この経験を積み重ねることは、勉強だけではなく、仕事にも役立つと思います。

灘高時代の三井さん。この頃は化学に興味を持っていたそう。  写真提供/三井淳平

――受験勉強は大変ではなかったのでしょうか?

三井さん:
受験勉強は一定の点数を取ればいいのでゲーム感覚に近くて、むしろ楽しんでいたと思います。

ゲームをクリアするためには、何をすればいいか、プロセスを考えることが重要で、レゴブロックで作品を作るのはそういったプロセスを学ぶのには最適です。

試行錯誤しながら、自分に合ったやり方を見つけていくようになり、それが習慣化していたことが受験勉強にも役に立ったのかもしれません。

――三井さんは、これまでお子さん向けのワークショップも実施されています。ワークショップを通してどのように伝えたいことを伝えたいとお考えですか?

三井さん:
レゴ作品を完成させることも大事ですが、それ以上に作る過程を大事にしてほしいと考えています。

ただ説明書通りに組み上げていくのではなく、「なぜそのパーツを使うのか」「なぜさっきと違うパーツの使い方をするのか」といった理由を考えながら組んでいくことが重要です。

そうすることで、自分自身で考えて作品作りをする習慣が生まれ、応用もきくようになります。

子ども向けワークショップに登壇する三井さん。レゴブロックの楽しさを子どもたちに伝える活動にも注力してきた。  写真提供/三井淳平

レゴブロックには「作りたいものを簡単に作れる」という魅力がある

――他の素材とレゴブロックは何が違うのでしょう?

三井さん:
他の素材と比較したときのレゴの優位性は、試行錯誤できるツールであるという点です。

たとえば、何かを作りたいと思ったとき、木でつくるとなると、一度切った木は元に戻らないですし、つなげようとすると釘や接着剤が必要になって大変です。

それに比べると、レゴブロックならちょっと間違えたと思ったらパーツを付け直せば良いだけなので、気軽に試行錯誤することができて、より簡単に自分の作りたいものを追い求めることができます。

――確かに、三井さんの作品を拝見すると、なんでも作れるんだなと驚きます。

三井さん:
もうひとつのポイントは、レゴブロックの再現性です。

すでにあるレゴ作品と同じものを作りたいと思ったときに、同じパーツ・同じ組み方をすれば真似できるので、特別な技術を必要としません。

手先の器用さを気にせず、上手な人の真似をしやすいところも魅力ではないでしょうか。

たくさん試行錯誤できて、上手な人の真似もしやすい。

学習のプロセスを高速に繰り返すことができるこの特徴のおかげで、レゴブロックは子どもの創作力を育てるのにうってつけの素材だと言えるかもしれません。

取材・文/末吉陽子

「作る過程で『なぜ?』と考えることを大切にしてほしい」と話す三井さん。緻密な作品、巨大な作品の制作秘話も、いつか聞かせてほしいですね。  写真提供/三井淳平

三井 淳平(みつい じゅんぺい)
レゴ認定プロビルダー
1987年生まれ。2005年、テレビ番組の「レゴブロック王選手権」準優勝で注目を浴びる。直後に灘高校から、東京大学理科一類に現役合格。入学後に東大レゴ部を創部。2010年、レゴブロックを素材とした作品制作や関連する課外活動における社会貢献により、「東京大学総長賞」を個人受賞。2011年「世界最高レベルのレゴブロック作品制作能力を持つ一般人」とレゴ社が認める「レゴ認定プロビルダー」に最年少で選出。

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