0歳〜3歳 「子どもの人間関係」お友達とケンカで親が優先すべきこと
西坂小百合教授に聞く「6歳までの子どもの人間関係」#1【0〜3歳】編
2022.03.06
共立女子大学家政学部児童学科教授:西坂 小百合
友達となんとなく遊べるようになる2〜3歳ごろ
2〜3歳ごろになると、友達との関わりはどのように変わるのでしょうか。
「友達と“なんとなく”一緒に遊び始めます。“なんとなく”とつけたのは、友達と遊びを共有できているわけではないからです。
たとえば、保育園や児童館のおままごとコーナーに子どもが2人いたとします。1人はお鍋で何かを煮ていて、もう1人はお弁当に何かを詰めている。それぞれ別のことをしているのに、『なんとなく一緒におままごとをしている』という雰囲気を楽しめてしまいます」(西坂先生)
一緒に遊ばなくても、友達と同じ空間にいるだけで楽しさを共有できる2〜3歳ごろ。
しかし、トラブルになることも多々出てくると言います。
「『お鍋で何かを煮ている(つもり)』『お弁当箱に何かを詰めている(つもり)』と、それぞれままごとでやっている『つもり』が違うから起きることがあります。
私たち大人は、一人ひとりが違うことを考えていることをごく当たり前に認識していますが、2〜3歳ごろの子どもはまだそのことに気づいていません。
だから、お弁当を作っていた友達がおままごとコーナーの材料を使おうとしたときに、『自分がお鍋で使うつもりだったのに!』と怒るようなことが起きてしまいます」(西坂先生)
子ども同士のトラブルが起きたら、大人はどう対応すればいいのでしょうか。
「親御さんは、『◯◯ちゃんは、お鍋を作りたかったんだよね。でも、◯◯ちゃんは、お弁当を作りたかったんだね。二人とも思っていたことが違っていたんだね』と声をかけてあげるといいでしょう。
自分の気持ちを大人に言語化してもらうことで、子どもは他者との違いに気づけるようになります」(西坂先生)
また、子どもが友達のおもちゃを取ってしまったときなどに、無理に謝らせようとするのもよくないと言います。
「謝ることで解決するのは大人の論理です。2〜3歳ごろは、ケンカをしても根に持つ年頃ではありません。
心のこもっていない『ごめんなさい』を強要するよりも、本人が『悪いことをしてしまった』と思っているかが大事です。
子どもが申し訳ない気持ちになっていたら、『そういうときは、ごめんねって言ってもいいんだよ』と伝えるくらいに留めておきましょう」(西坂先生)
子どもには、簡潔に伝えることを心がけるとベスト。くどくど話してしまうと、申し訳ない気持ちよりも、親から言われて嫌な気持ちが強くなってしまうと言います。
とはいえ、お友達に「ごめんね」と言わないと心苦しくなってしまうパパママもいるのではないでしょうか。
「子どもが言えないなら、親御さんが代わりに『まだ口では言えないけど、ごめんねって思っているからね』と相手の子に伝えたらいいと思います」(西坂先生)
パパママは、子どもたちに無理やり仲直りをさせるお膳立てをするよりも、状況やお互いの気持ちを言語化してあげることで、子どもに気づきのきっかけを作ってあげることが大切なんですね。
第2回では、4〜6歳の子どものことを伺います。
※西坂小百合先生のインタビューは全3回。
第2回は22年3月8日、3回は3月10日公開予定です。
#2 子どもの人間関係 4〜6歳の「アナ雪ごっこ」で理解する友達との遊び
#3 子どもの人間関係 園でのトラブル&親の対応など対処法を専門家が伝授
畑 菜穂子
1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona
1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona
西坂 小百合
共立女子大学家政学部児童学科教授。幼稚園教員免許。専門は、発達心理学、幼児教育学、保育学。幼稚園教員免許、保育士資格、小学校教員免許の取得を目指す学生向けに「子どもの人間関係」についての講義を行っている。臨床発達心理士として、保育園の巡回相談もしている。2児の母。 監修した書籍に『実践! 0・1・2歳児 わくわく手作りおもちゃ』(ナツメ社)。
共立女子大学家政学部児童学科教授。幼稚園教員免許。専門は、発達心理学、幼児教育学、保育学。幼稚園教員免許、保育士資格、小学校教員免許の取得を目指す学生向けに「子どもの人間関係」についての講義を行っている。臨床発達心理士として、保育園の巡回相談もしている。2児の母。 監修した書籍に『実践! 0・1・2歳児 わくわく手作りおもちゃ』(ナツメ社)。