「起立性調節障害」発症のリスクあり 「感受性」と「注意力」に特性のある子は「幼少期からの対応」がカギ

感受性と注意力で読み解く子どもの「困った」行動#4 不登校を防ぐために

「朝、起きられない、午前中を中心にめまいや動悸、頭痛、腹痛が起こる。これらが起立性調節障害の症状です。その原因は、自律神経がうまく機能しなくなる、つまり、身体が休めない状態が続いてしまうことにあります。

感受性が敏感な子は、学校でさまざまな刺激を過剰に受け取ってしまうため、身体は常に活動的で落ち着かない状態です。注意力の範囲も狭く、言葉で説明するのが苦手でもあります。そして、『ちょっとうまくいかない』『どうしていいかわからない』ことがたくさん起こる中で学校生活を送っています。

このタイプの子は、なかなか眠れない、眠りが浅いことも多いです。夜、学校での出来事を思い出して、『明日もうまくいかなかったらどうしよう』などと不安になり、なかなか身体が休まらず、やっと眠くなったと思ったらもう朝……。こうした状態が続くと、非常に疲れやすくなります。

そして、ある朝、どうしても起きられなくなるのです」(野藤氏)

起きようと思っているのに起きられない、無理に起きても頭痛がする、身体がだるい、朝食を取ると消化も進まずお腹が痛くなる、などの症状が出てきます。こうなると、学校に行けるような身体の状態ではないといいます。

「症状の特徴上、『学校に行きたくないから噓をついている』などと誤解されることもあります。ですが、学校に行きたい、なんとか行こうと限界まで頑張り続けた結果、身体が悲鳴を上げ、自分の意思でコントロールできなくなるのが『起立性調節障害』です」(野藤氏)

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小学校は「通えて当たり前」ではない

子どもが頑張りすぎて倒れてしまう前に、「保護者が睡眠や食欲の変化や疲れに気づいてあげることが重要」だと野藤氏は指摘します。

「起立性調節障害と診断される年齢は小学校高学年から中高生が中心ですが、幼児期からその兆候が見られることもあります。就学前から寝つきが悪く眠りが浅い、朝の機嫌が波打っている状態などが続く子は、身体の様子を十分に見てあげる必要があるかもしれません。

『感受性』『注意力』という視点で常に子どもを観察していれば、不調のシグナルに気づき、その時々で必要な対応をとることができますよね。少なくとも、理由もわからず突然、朝起きられなくなるという事態は起こりにくくなると思います。

表に出てくる『困った行動』を子どもの気持ちの問題だとすまさず、幼児期から子どもを理解しようとする思いを持ち続けてほしいです」(野藤氏)

さらに、野藤氏は保護者に対し、認識を改めてほしいことがあるといいます。それは「小学校は誰でも当たり前に通える場所ではない」ということです。

「学校生活とひと口にいっても、授業だけではなく係や委員会など、さまざまな活動があります。周りの友だちとの関係性が緊張を生むこともあるでしょう。自分の子はそうしたたくさんの刺激に耐えられるのか、臨機応変に対応できるタイプなのか、と子どもをよく見てあげてください。

その上で、難しそう、黄色信号だと感じた場合は、ためらわずにいろいろな人・組織に相談したり、制度を活用したりすることをおすすめします。事前に対策を考えておけば、防げる問題はたくさんあるのです」(野藤氏)

園に相談する、年長なら就学前相談を活用するなど、早い段階から準備することが大切です。集団生活の刺激の多さ、難しさを保護者も理解し、子どもに寄り添った対応を考えていきましょう。

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