子どもの言葉の習得が「早ければいい」わけではない理由 発達心理学者がわかりやすく説明
【子どもの言葉の発達】#2 言葉の発達は子どものペースで
2024.12.30
──“言葉”に関しては敏感な親御さんが多いですよね。「早く子どもとコミュニケーションがとりたい」という気持ちもあるのでは、と思いますが。
坂上先生:おしゃべりできるようになって、周りの人と上手にコミュニケーションをとれるのはもちろんうれしいことですが、言葉の発達は「早いからいい」というものでも「遅いからよくない」というものでもありません。
例えば、たくさんおしゃべりするものの周囲の人たちとのコミュニケーションが成り立っていない、というようなこともあります。逆に、言葉がつたなくても、表情や身ぶり手ぶり、視線を合わせるなど別の方法でうまく相手とコミュニケーションをとれていることもあります。
坂上先生:もし、子どもの発達に関することで悩んでいることがあったり、コミュニケーションで不安な要素があったりするときは、小児科医や心理士、言語聴覚士など、子どもの発達の専門家がいるところに相談してみましょう。自治体の発達相談窓口も活用できます。
──“早い=いいこと”ではない、というのは、言われてみるとそのとおりですね。子どもなりのペースを大事にしたいと思います。
今回は、1歳~4歳ごろの子どもの発達について、言葉の発達を中心におうかがいしました。次回は言葉の発達の時期と重なる「イヤイヤ期」の対処法についてうかがいます。
■今回ご紹介の書籍はこちら
『子どものこころの発達がよくわかる本』
発達はさまざまな事柄が関係しあい、枝葉のように広がって進んでいくものです。たくさんの枝葉を支える太い幹と根っこが育つには、長い時間が必要です。子どもも親も試行錯誤して、失敗と修復を繰り返しながら、育っていきます。
本書では、保護者や保育者向けに、就学前までの子どもの発達や対応の具体例をわかりやすく解説しています。
坂上 裕子
青山学院大学 教育人間科学部 心理学科教授。専門は「生涯発達心理学」と「臨床発達心理学」。主な研究テーマは、「乳・幼児期における自己ならびに自己理解の発達」「親子関係の変化と親としての発達」「子育て支援」「乳幼児期の発達や子育ての時代的変化」について。著書に『問いからはじめる 発達心理学〔改訂版〕: 生涯にわたる育ちの科学』(有斐閣)、『新 乳幼児発達心理学(第2版)子どもがわかる 好きになる』(福村出版・共著)など。
青山学院大学 教育人間科学部 心理学科教授。専門は「生涯発達心理学」と「臨床発達心理学」。主な研究テーマは、「乳・幼児期における自己ならびに自己理解の発達」「親子関係の変化と親としての発達」「子育て支援」「乳幼児期の発達や子育ての時代的変化」について。著書に『問いからはじめる 発達心理学〔改訂版〕: 生涯にわたる育ちの科学』(有斐閣)、『新 乳幼児発達心理学(第2版)子どもがわかる 好きになる』(福村出版・共著)など。