【口をきかない・お風呂に入りたがらない】子どもの「危ないサイン」を見抜く方法と対処法 保健室の先生が伝授

保健室の先生はどう対応する? 子どもの危ういサインの見極め方と対処法 #1 (3/3) 1ページ目に戻る

家族と口をきかなくなるケースは思春期によく見られる傾向ですが、時には親が寄り添う必要がある場合も。  写真:アフロ
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〈口をきかなくなった子〉はここに注意!

「家族と口をきかなくなったというケースは、思春期に多く見られる、心理的な自立に向けた傾向です。『親は親、自分は自分』という感覚が芽生えて、『すべてのことを家族に知っていてほしいわけではない』といった心理の表れといえるでしょう。ですから、多くは健全な発達をしている状況といえます。

ただし、次のような様子の場合は、親の対応が必要、あるいは対応を考えてもいいでしょう」(相樂先生)

〈口をきかなくなった〉親の対応が必要、あるいは考えられるケース

・とてもおしゃべりだったのに、表情が硬く急に何も話さなくなった。
・部屋に閉じこもることが多くなった。
・反応が薄い。
・話しかけられるのを拒否しようとする。

以前の子どもの様子と比べて、今の姿がどう変わったのか、その変化の度合いを子どもの表情や行動も踏まえて観察してみてください

家族と話さなくなっても、元気に学校に通い、友だちと楽しく過ごし、活発に活動しているなら、思春期特有の『大人(親)への反抗』なのかもしれません。ひとつの場所だけではなく、それ以外の場ではどうなのかも考えると、より判断しやすくなります。

その一方で、学校や友だちの話題を極端に避けたり、部屋に閉じこもりがちで、学校に行きたがらない場合は対応が必要でしょう。その際は、子どもの思いや気持ちを大切にし、話したがらないことは無理に聞き出さないことも大切です。

子どもの本音を引き出す前に、我が子が好きなことや関心があることを起点に親子で遊ぶ時間を持ってみたり、料理やスポーツを一緒にやってみたりするなど、一緒に過ごす時間をつくってみてください

家族間に信頼関係ができれば、子どもから悩みやトラブルなどを話してくれる可能性が高まります。子どもの話によっては、親子で話し合ったり、アドバイスをしたり、場合によっては学校に相談を持ち込むこともできます」(相樂先生)

〈お風呂に入りたがらない子〉はここに注意!

お風呂に入らず清潔感が失われると、友だちから距離を置かれたり、皮膚疾患や風邪を引きやすいなど健康維持にも影響します。このケースで注意が必要な子どもの様子とは、どのような姿なのでしょうか。

〈お風呂に入りたがらない〉親の対応が必要、あるいは考えられるケース

・お風呂だけでなく、着替え、歯磨きなどもしたがらない。
・ゲームやスマホを何度注意しても止められず、入浴への切り替えができない。

「お風呂に入りたがらない要因のひとつには、学校生活や宿題、塾、習い事によって子どもが忙しすぎるケースがあります。疲弊していると、お風呂をはじめ、着替えや歯磨きも後回しにする傾向が見られます。

この場合は、生活全般を見直しながら、塾や習い事などの負荷を減らす工夫をし、子どもの生活リズムを整える必要があるでしょう。生活を見渡して、習い事が詰まっていたら減らしたり、塾をいったんお休みするといった選択も視野に入れてみてください。

子どもが生活しやすいペースになれば、お風呂に入りたがらない事態も、親御さんが『お風呂に入りなさい!』とガミガミいうことも少なくなるはずです。また、子どものペースに合わせて入浴を促す声かけをしたり、食事とお風呂などの順番を入れ替えて、入浴の優先順位を上げるのも手です。

さらに、お風呂に入りたがらない場合では、ゲームやスマホに夢中になって、入浴への切り替えができないケースもあります。

遊んだあとの入浴が難しいのであれば、この場合も物事の順番を入れ替えてあげましょう

子どもと生活の優先順位を話し合って、先にお風呂や食事、勉強を済ませ、そのあとに時間を区切ってゲームやスマホで遊ぶ時間を設定するなどの工夫も大切です」(相樂先生)

子どもの生活で気づいた様子や困った傾向があるなら、目の前で起きていることと子どもの生活全体を踏まえて考えてみることが大切です。子どもを俯瞰してみることで、親が対応するべきタイミングかどうかが見えてくるでしょう。さらに、生活面のみならず、体調不良や無気力・意欲低下など心身の不調が伴う場合は、専門家を頼るきっかけにもなるはずです。

***

次回は、スマホやゲームが手放せない場合に親の対応が必要なケースや、親に隠し事をしている場合のサインと対処法などを紹介。保健室の先生や学校の先生、専門家を頼るときのアドバイスも解説します。

取材・文/梶原知恵

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◆相樂 直子(さがら なおこ)
創価大学大学院教職研究科教授
北海道教育大学教育学部養護教諭特別別科修了、筑波大学大学院人間総合科学研究科生涯発達科学専攻博士(カウンセリング科学)。宮城県公立中学校養護教諭、茨城県公立小学校養護教諭、筑波大学附属高校養護教諭などを経て、現職。専門は学校心理学、カウンセリング心理学、学校保健。保健室の先生としてだけでなく、小・中学校のスクールカウンセラーや巡回相談心理士としても子どものメンタルヘルスの改善に努めている。

【保健室の先生はどう対応する? 子どもの危ういサインの見極め方と対処法】の連載は、全2回。
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※4月24日よりリンク有効

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梶原 知恵
かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。