野菜づくりの経験はないけれど、子どもと一緒に野菜をつくりたい! というお父さん、お母さんのために、初心者でも無理なく、失敗しにくい野菜づくりについて紹介します!
まず、「何から始めればいいか」については、「子どもと野菜づくり! 初心者でも簡単な「家庭菜園」を専門家が伝授 漫画家・イラストレーター&グリーンアドバイザーの荻野千佳さんの集中講座(前編)」で紹介していますので、参考にしてください。
後編も『野菜づくり、はじめます!』を上梓した漫画家であり、日本家庭園芸普及協会認定・グリーンアドバイザーの荻野千佳さんに解説してもらいます。
収穫までの期間が短い野菜を選ぶ
「必要な道具、作業時の服装や小物などについては前編で説明しましたが、“何をつくるか”は大きなポイントです。私は初心者の方には、とにかく“収穫までの期間が短い野菜”をおすすめしています」
子どもが好きなトウモロコシやイチゴ、トマトなど、つくってみたい野菜はあると思いますが、いきなり無理をせず、育てやすい野菜で経験値を上げていくほうがいいということです。
「収穫までに時間がかかると、当然ですがいろいろなトラブルに巻き込まれる可能性が高くなりますよね。例えば、害虫がついたり、天候の影響を受けやすいということです」
初心者に超おすすめのニラ
「私が初心者の方におすすめする野菜は、ニラです。苗の植えつけは5~6月なのでこの時期から育てるのに適しています。基本的な道具(ジョウロ、スコップ、ハサミ、プランター)のほかに、プランターの水はけをよくするために“鉢底石”が必要です。ホームセンターなどで買えますので、ニラの苗と一緒に揃えてください。また、途中で肥料を入れますので、化成肥料も準備しておいてください。以下、順を追って説明していきます」
①プランターに土を入れる
プランターに鉢底石を敷いて、プランターの縁から3cm下まで土(培養土)を入れます。表面は平らにします。
※プランターを3cmあけるのは、“ウォータースペース”を確保するためで、水やりをした際に水や培養土があふれるのを防ぎます。
②苗を植えつける
苗4~5本を1株として、苗と土に空間ができないように株元をしっかり押さえて植えます。葉が分かれている“成長点”より上には土をかぶせないように注意しましょう。2株以上植える場合、苗の間隔は15cm以上離します。
③肥料をまく(追肥1回目)
植えつけから1ヵ月後に、化成肥料(1株あたり10g)をまき、土寄せ(株の下のほうに土をかぶせしっかり押さえる)をします(プランターの場合、持続性に欠けますが即効性のある“液体肥料”を追肥に使うのもおすすめです)。
④収穫
さらに1ヵ月すると収穫できるほどに成長するので、根元を3~4cmくらい残してハサミで切り、収穫します。
⑤肥料をまく(追肥2回目)
収穫したら、再度肥料をまき、土寄せします。20日ほどでまた葉が出てくるので収穫できます。このときも根元を3~4cm残して切ります。収穫を繰り返すうちにプランターの培養土が減ってきたら土を足しましょう。
「ニラは、収穫と追肥・土寄せを繰り返します。冬はいったん枯れますが、春になればまた生えてきます。そして、なんと一度植えたら4年間収穫が続くという、コスパがよくて育てやすい野菜なんですよ。子ども自身が収穫したニラで、親子で餃子をつくったらきっと楽しいですよね」
ニラのように根元を残し、収穫が何度もできる野菜には、豆苗(スーパーで買ってきた豆苗で数回の収穫を経験した人も多いはず)、ミズナ、ミツバ、ワケギ、葉ネギなどがあります(※野菜によって収穫の回数は異なります)。
「これから梅雨に入りますが、水のやり過ぎも注意です。土がしっかり乾いてから水やりすると根がよく張ります。プランターの土に竹串などを差して、土がついてこなければ水をやるタイミングです」
いろんな野菜に挑戦してほしい
「ニラのほかには、ベビーリーフもおすすめです。種からまいて40日くらいで収穫できます。収穫まで早く、見た目もかわいいのでぜひつくってみてください」
「ニラ、ベビーリーフが成功したら、お子さんの好きなトウモロコシ、イチゴ、トマトなどにも挑戦してほしいです。本では私の経験もまじえて、知識がまったくない方でもわかるようにマンガで解説していますので、参考にしてチャレンジしてみてくださいね」
マンガ/荻野千佳 『野菜づくり、はじめます!』より抜粋
荻野千佳(おぎの・ちか)
漫画家、イラストレーター。公益社団法人日本家庭園芸普及協会認定・グリーンアドバイザー。
富山県出身、東京都在住。2016年より家庭菜園をはじめ、現在は農業体験農園に参加中。
野菜の育て方を自身の経験と図書や農家への取材をもとに発信。著書に『野菜づくり、はじめます!』(SBクリエイティブ)、『マンガと図解、写真でまるわかり プランター菜園をはじめよう』(ブティック社)などがある。
時政 美由紀
1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。
1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。