
わが子の「学童」どこがいい? 本当に入れるべき? 学童に迷った親が考えるべきこと〔専門家が解説〕
#1 島根太郎氏に聞く「学童と非認知能力」~学童の選び方~
2025.08.18
株式会社東急キッズベースキャンプ代表取締役社長 社長執行役員:島根 太郎
地域で違う学童保育の呼び名
子どもの通う学童(学童保育)を探し始めたとき、保護者が最初に戸惑うのが呼び名の違いです。学童保育、放課後児童クラブ、放課後キッズクラブ、学童保育クラブ、育成室など。
なぜ地域によって呼び名が異なるのでしょうか? 2006年から約20年、学童保育事業に携わる島根太郎さんに成り立ちについて伺いました。
「じつは学童の始まりは国が作った制度ではなく、戦後の日本の復興・発展の中で地域ニーズから民間の草の根的活動で少しずつ広がっていきました。特に核家族化で共働きが増えたことが全国に普及していった起点となっています。
放課後、家に帰っても誰もいない。鍵っ子になる低学年の子どもたちの安全のため、日本各地で保護者中心となり、各地域に学童的な預かり施設を立ち上げていったのです。
それを自治体が後から追認したり、保護者の要望で事業が始まるなど制度化した経緯があるため、呼び名が違うのです」
共通しているのは、「放課後や夏休みなどの長期休暇中に小学生を預かり、遊びながら学べる環境を提供する施設やサービス」であること。
現在は、呼び名は違っていても大きく分けて3つの学童があります。自治体が設置・運営する「公立公営学童」。自治体が設置し、運営は企業やNPOに委託する「公立民営学童」。企業やNPOなどが運営する「民立民営学童」のいわゆる民間学童です。
〈公立学童と民間学童 それぞれの特徴と費用〉
・公立学童の特徴
費用:月額5,000円程度(おやつ代含む)
時間:多くの自治体で19時まで延長対応
内容:基本的には放課後の見守り保育
・民間学童の特徴
費用:月額5万円程度から(放課後の毎日利用の場合)
時間:22時まで預かる施設もある
内容:独自の教育プログラムを提供
公立民営学童は費用や預かり時間は公立ベースで、運営する企業やNPOの教育プログラムやサービスを受けることができます。費用や時間、内容は施設によって異なります。

学童選びのポイントは?
子どもが通える学童の数は地域によって大きな格差があります。都市部では公設学童で平日の朝7時台から子どもを預かり、働く保護者をサポートする試みが始まるなど、民間学童も含めて豊富な選択肢が。しかし、地方では民間学童がほとんどない地域も少なくありません。
そうした地域差を踏まえたうえで、島根さんに公立学童・民間学童に共通する学童選びのポイントを聞くと、以下の3つのポイントを示してくれました。
学童選びのポイント①:子どもの様子を観察
学童選びでもっとも重要なのは、実際に見学に行くことです。
「お子さんはお父さんお母さんのことが好きなので、『ここの学童がいいんじゃない?』と言われれば多くが『うん』と言ってくれます。
だからこそ、保護者が事前に開催される体験イベントなどに見学へ行き、通っている子どもたちが本当に楽しく過ごせているか、その様子を直接見ることが大切です」
ちなみに体験イベントの際、子どもだけをイベントに参加させ、自分は買い物に行ってしまう保護者もいますが、それはおすすめしないと島根さんは言います。
「事情はそれぞれおありだと思いますが、子どもがどのように他の子と交流して馴染めそうかを感じられるチャンスを逃すのはもったいないこと。終わった後も『どう楽しかったのか』『どんな気持ちだったのか』を聞くことが大切です」