
わが子の「学童」どこがいい? 本当に入れるべき? 学童に迷った親が考えるべきこと〔専門家が解説〕
#1 島根太郎氏に聞く「学童と非認知能力」~学童の選び方~
2025.08.18
株式会社東急キッズベースキャンプ代表取締役社長 社長執行役員:島根 太郎
学童選びのポイント②:リスク管理体制の確認
施設のきれいさ、行き帰りの便利さだけでなく、安全面の確認も重要です。
「保育には常にリスクがあります。食物アレルギー、感染症、いじめや性加害、災害時の対応など。イベント参加時、施設の見学時には、こうしたリスクを想定した対策が講じられているかを質問しましょう」
食物アレルギーの対応ルールは? 感染症対策はどのように行っているか? 災害時のBCP(事業継続計画)は整備されているか? 性加害に対する職員の研修制度はあるか?
「施設側からすると厳しい質問をされたとき、きちんと答えられないところは避けたほうがいいでしょう。リスク管理がしっかりしていない可能性があります」
学童選びのポイント③:「静と動」「集団と個」の両方の活動
子どもの成長段階や日々の気分に応じて、さまざまな活動を選択できる環境かどうかも確かめておきたいポイントです。
「お子さんにとっては『静』と『動』の両方の活動が選択できる学童であるほうが楽しく通えるはずです。同じ子でも、学校で嫌なことがあったときは漫画を読んでいたい日もあれば、元気いっぱいドッジボールをしたい日もあります。
また、長期休みには朝から長時間過ごすことを考えると、疲れたときに昼寝ができるような空間があることも望ましいです」
この点、学習系に力を入れている民間学童では教育プログラムが充実している分、屋内で机に向かう活動がほとんどというケースも。『静』ばかりでは、放課後を楽しく過ごせる場とはならないかもしれません。
子どもがある日「行きたくない」と言い出したら?
子どもが新1年生になり、学童にも通い始め、一安心。保育園や幼稚園時代とは違う新しい生活のサイクルができはじめた……と思いきや、子どもが「学童に行きたくない!」と言い出すケースもあります。そんなとき、保護者はどうしたらいいのでしょう?
「じつは私の長男も小1の春に『学童、つまんない!』と学童を脱走。ご近所を巻き込んでの大騒ぎになった経験があります。
その顚末は『子どもの人生が変わる放課後時間の使い方』(講談社+α新書)に詳しく書きましたが、親はパニックになりますよね。でも、まずは子どもの言い分を聞くところから始めましょう」

十分に耳を傾け、本人の不満や不安を受け止めることで子どもの気持ちが切り替わるのはよくあること。しかし、「やることがなくてつまらない」「学校の友だちがいない」「職員が怖い」など、具体的な理由があるなら学童の転所も含め、放課後の過ごし方の再検討が必要かもしれません。
「お子さんの行きたくない理由について施設側と相談してみること。その過程で保護者として『この人はいいな』と感じられる指導員がいるなら、もう少し様子を見るのもいいと思います。逆に『対応が不誠実』と思うなら、別の選択肢を検討しましょう。
ほかの学童があるならそちらの見学に、通える学童がほかにない地域なら児童館の一般来館や各自治体が運営する『放課後子ども教室』などと、習い事を組み合わせるという方法もあります」
保護者の事情を踏まえながらも、子どもが放課後の時間を楽しく安全に過ごせる選択をしたいものです。
「学童は子どもにとって『第3の居場所』。家庭でも学校でもない、子どもが安心して過ごせる場所を選んであげてください」
次は家でできる「非認知能力」の伸ばし方について、引き続き島根太郎さんに伺います。
取材・文/佐口賢作
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●島根太郎(しまね・たろう) PROFILE
株式会社東急キッズベースキャンプ代表取締役社長 社長執行役員。2006年に日本初の民間学童保育施設「キッズベースキャンプ」を創業。2008年に東急グループ入り。民間学童保育のパイオニアとして業界を牽引している。2025年5月に初の著書『子どもの人生が変わる放課後時間の使い方』(講談社+α新書)を出版。

連載は全3回 (※公開時よりリンク有効)

佐口 賢作
20代で『月刊BIGtomorrow』(青春出版社)のデータマンとして、ライター業をスタート。以降、人物インタビューを中心に、雑誌、書籍、Webサイト、広告制作などで活動中。これまで携わった書籍は約130冊。 元気な男児2人のパパ。いつも家にいる父ちゃんとして、子育てもガッツリ向き合っている。サッカーは箱推し。
20代で『月刊BIGtomorrow』(青春出版社)のデータマンとして、ライター業をスタート。以降、人物インタビューを中心に、雑誌、書籍、Webサイト、広告制作などで活動中。これまで携わった書籍は約130冊。 元気な男児2人のパパ。いつも家にいる父ちゃんとして、子育てもガッツリ向き合っている。サッカーは箱推し。
島根 太郎
一般社団法人キッズコーチ協会代表理事。一般社団法人民間学童保育協会、東京都学童保育協会理事。 1965年東京都目黒区生まれ。中央大学卒業。輸入雑貨事業や自然食事業等を経て、2003年株式会社エムアウトに入社。心理学に関わる事業開発を経験し、「小1の壁」の問題解決と非認知能力の教育を志し、2006年に日本初の民間学童保育サービス「キッズベースキャンプ」を創業。民間学童保育のパイオニアとして業界を牽引している。 2008年12月には東急グループ入りし、東急グループの子育て支援事業の中核企業としての展開を開始。保育士資格保有。 2025年5月に初の著書『子どもの人生が変わる放課後時間の使い方』(講談社+α新書)を出版。 ●キッズベースキャンプHP
一般社団法人キッズコーチ協会代表理事。一般社団法人民間学童保育協会、東京都学童保育協会理事。 1965年東京都目黒区生まれ。中央大学卒業。輸入雑貨事業や自然食事業等を経て、2003年株式会社エムアウトに入社。心理学に関わる事業開発を経験し、「小1の壁」の問題解決と非認知能力の教育を志し、2006年に日本初の民間学童保育サービス「キッズベースキャンプ」を創業。民間学童保育のパイオニアとして業界を牽引している。 2008年12月には東急グループ入りし、東急グループの子育て支援事業の中核企業としての展開を開始。保育士資格保有。 2025年5月に初の著書『子どもの人生が変わる放課後時間の使い方』(講談社+α新書)を出版。 ●キッズベースキャンプHP