人気1位の川崎“夢パーク” 挑戦する子どもが育ち 地域にも支持される理由

シリーズ「地域をつなぐ みんなで育つ」#2‐1 どろんこプレーパーク「川崎市子ども夢パーク」(神奈川県川崎市)

ライター:太田 美由紀

ぬれてもよごれても気にしない。小さい子から大人まで、どろだらけで夢中になって遊べる夢パーク。  写真提供:西野博之
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どろんこ、たき火、水遊び──。雨の日も、風の日も、おもちゃがなくても、大人が教えなくても、子どもは自分たちでどんどん楽しい遊びを生み出します。

ここ、「川崎市子ども夢パーク(以下夢パーク)」は、東京都にほど近い神奈川県川崎市にある子どもや若者のための居場所。今年、2023年7月末には設立20周年を迎えます。

昨年(2022年)は、夢パークの子どもたちを追ったドキュメンタリー映画『ゆめパのじかん』が全国で上映され(引き続き各地で上映中)、3日間密着取材するテレビ番組『ドキュメント72時間』(NHK)でも夢パークが取り上げられました。同番組の視聴者人気投票ランキングでは、2022年の1位に選ばれるほど。

子育て中の人や、子ども支援の現場にいる人たち、そして子育て支援に力を入れる全国の自治体から、今もっとも注目を集める場所です。

子どもたちの感性や発想、考えを、大切なひとりの人間として尊重する。そんなの夢パークでは当たり前。自由に遊ぶ、なんでも知りたい、つくりたい。「したい」を大事にされる、子どもたちの居場所です。

最後に教育学者・汐見稔幸先生からもご意見をいただきました。

※全4回の1回目

子どもたちが自分のペースで挑戦できる場所

夢パークの主役は子どもたち。1万平方メートルの広い敷地の周りをぐるりと木が取り囲み、子どもたちが作った手作りの遊具や、どろ遊びや穴掘りも自由にできる土の山があります。

夏の暑い日はウォータースライダーが大人気。ときにはお母さんやお父さんが一緒にすべっていることも。  写真提供:西野博之

年齢にかかわらず、誰でも釘や金槌(かなづち)を使って工作もできます。見守るスタッフはいるけれど、よっぽどのことがない限り手も口も出しません。

笑顔で歓声をあげ、走り回る子どもたちは全身どろだらけ。かと思えば、静かに座って集中し、何かを作っている子どももいます。それぞれが自分のペースで、やってみたいことに挑戦しているようです。もちろん、時間に追われることなく、のんびりと空の雲を眺めているだけの子も──。

日本国内ではいち早く、2000年に制定された「川崎市子どもの権利に関する条例」(※1)。安心して生きる権利、ありのままの自分でいる権利、自分で決める権利など、子どもたちの守られるべき権利をカタチにした子どもたちの居場所として、「夢パーク」がつくられました。

夢パークには、「ケガと弁当は自分持ち」の精神で、自由に遊べる禁止事項のないプレーパーク(冒険遊び場)と、学校に居場所を見出せない子どもや若者が集う「フリースペースえん」があり、いろいろな子どもや若者が遊びに来ます。

夢パーク内には、子どもたちから大人へのメッセージが書かれた看板がある。  撮影:太田美由紀

夢パークの企画・運営やイベントの開催、ルール決めなどに関しては、子どもたちが大人とともに話し合い、市政に対して子どもが意見表明するための「川崎市子ども会議」の活動拠点も夢パークにあります。

「子どもたちも社会をつくる大切な市民のひとり」だということが、「川崎市子どもの権利に関する条例」でしっかりと守られているのです。

ほかにも、バスケなどボール遊びができる全天候型スポーツ広場“たいよう”や、本を読んだりボードゲームをするなどのんびり過ごせる交流スペース“ごろり”、乳幼児親子がゆったり過ごせる部屋“ゆるり”などもあり、たくさんの子ども、若者、乳幼児とお母さんやお父さん、そして地域の人たちが訪れ、毎日にぎわっています。

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