“シングルの親=子育てに悪影響”ではない明らかな理由を人生相談の賢者から学ぶ
人生相談本コレクター・石原壮一郎のパパママお悩み相談室【19】「シングルでの子育ては難しいのか」
2022.12.09
コラムニスト&人生相談本コレクター:石原 壮一郎
シングルの親が心がけておきたい2つの大前提
〈石原ジイジの結論〉
人生相談本に載っている「シングルの親」からの相談は、深刻なケースばかりである。
夫からDVを受けて別れた、マザコンの夫と別れたいが子どものことが心配、ひとりで育ててきた娘が非行に走った……。深刻な状況だから相談を送るわけなので、当たり前と言えば当たり前である。
悲痛な悩みばかり見ていると錯覚しそうになるが、シングルでの子育てが必ず深刻な状況になるわけではない。シングルじゃない場合も、人生相談で見かけるのは困った状況にある親子ばかりだ。
シングルの親子もそうじゃない親子も、重い悩みを背負い込むこともあれば、楽しく平穏に暮らせることもある。どっちが有利とか不利とかという話ではない。
人生は何が起こるかわからないし、思いどおりにはいかない。後戻りはできないし、ないものねだりをしても仕方ない。シングルでの子育てを親自身がネガティブにとらえたら、子どもは自分の存在を否定しなければならなくなる。
「一般的には」「普通は」なんて世間の基準に惑わされる必要はない。「ウチの親子は、この形がベストなんだ」と、手前味噌でも何でもいいから思い込んでしまおう。その上で、より楽しくて実り多い「ベスト」を作ってくのが、親の大切な役割じゃ。
ここで紹介した3人もそうだが、シングルの親の悩みに対する回答は、同じような気持ちを込めて相談者の手を握ってくれている。多くの回答のベースにあるのは、このふたつの大前提。
その1「親がシングルだから子どもが『かわいそう』なんてことは絶対にない!」
その2「子育ての悩みや難しさは親がひとりでもふたりでも基本変わりはない!」
ところで、この連載でいつも写真を撮っているのは、フリーでカメラマンをやっているF菜のママである。私の娘でもある。娘はちょっと前にシングルマザーになって、F菜とともに実家に戻ってきた。
どんな理由かはよく知らないが、本人曰く「円満離婚」らしい。F菜と父親が会う機会を頻繁(ひんぱん)に作るなど、F菜の親としてそれぞれが何をできるのか、どんな形の親子関係を作ればいいのか、あれこれ模索しているようだ。
そこはジイジやバアバが心配しても仕方ないし、まして口出しすることでもない。できる範囲で手を貸しつつ見守っていくのが、ジイジとバアバの役目である。
F菜もママも、これからの長い人生を楽しくたくましく生きていってほしい。きっとどうにかなるだろうし、本人たちがどうにかするだろう。
たくさんの人生相談本でシングルの親の悩みに対する回答を見て、あらためてそういう心境になった。回答者の人たちが望んでいる読み方かどうかはわからないが。
【石原ジイジ日記】
日曜日の夕方は、F菜と「笑点」を見るのが楽しみだ。F菜は「おもしろいおじいさんたちのテレビ」と呼んでいる。ジイジの昔からの自慢は、毎週何回か木久扇さんや小遊三さんが答える前に回答を言い当てられること。F菜がその意味を理解して、「ジイジすごい!」と称賛してくれるのも、きっともうすぐである。
石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
コラムニスト&人生相談本コレクター。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。現在(2022年)、3歳女児の現役ジイジ。
石原 壮一郎
コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか
コラムニスト。1963年三重県生まれ。月刊誌の編集者を経て、1993年に『大人養成講座』でデビュー。以来、数多くの著作や各種メディアでの発信を通して、大人としてのコミュニケーションのあり方や、その重要性と素晴らしさと実践的な知恵を日本に根付かせている。女児(2019年生まれ)の現役ジイジ。 おもな著書に『大人力検定』『コミュマスター養成ドリル』『大人の超ネットマナー講座』『昭和だョ!全員集合』『大人の言葉の選び方』など。故郷の名物を応援する「伊勢うどん大使」「松阪市ブランド大使」も務める。ホンネをやわらげる言い換えフレーズ652本を集めた『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』も大好評。 林家木久扇がバカの素晴らしさを伝える『バカのすすめ』(ダイヤモンド社)では構成を担当。2023年1月には、さまざまな角度のモヤモヤがスッとラクになる108もの提言を記した著書『無理をしない快感 「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。 2023年5月発売の最新刊『失礼な一言』(新潮新書)では、日常会話からメール、LINE、SNSまで、さまざまな局面で知っておきたい言葉のレッドラインを石原壮一郎氏がレクチャー。 写真:いしはらなつか