妻の闘病と死 ワンオペ育児と仕事家事…4男児を抱えるシングルファザー前田顕蔵が実践する「頼る勇気」と「子どもとの関わり方」

4男児のシングルファザー・前田顕蔵さんインタビュー #3「子育てとコーチングの共通点」 (4/4) 1ページ目に戻る

プロコーチ:前田 顕蔵

2025年6月、顕蔵さんの誕生日に、子どもたちからサプライズで読み上げられた手紙。そこには、こんな言葉が綴られていました。

「母ちゃんが亡くなって2年と少したちますね。それでも楽しく生きている。この生活はあなたがいないとないものです。今みんなが笑っているのもあなたがいて、僕らにいろいろなことをしてくれて、いっぱい愛してくれているからなんです。これからも前田家は大丈夫です」

最後は、こう締めくくられていました。

「いつまでも日本一仲の良い家族でありましょう。僕らの父ちゃんへ」

一生懸命育ててきたものの、子どもたちはどう感じているのか──。ときどきわき起こる不安な思いは、この手紙でふっとほどけたといいます。

「そういうふうに思ってくれているんだとわかり、『もう大丈夫だな』と思えました。うれしくて涙が止まりませんでした」(顕蔵さん)

「いつも喜びと寂しさが同時にくる。だけど今日は心が満たされた。ありがとう」と綴った。  引用:本人のインスタグラムより@Kenzo Maeda
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顕蔵さんはこの春(2026年)、家族で台湾へ渡ります。2025年末に「秋田ノーザンハピネッツ」のヘッドコーチを退任し、新天地となる台湾で女子代表のヘッドコーチに就任します。

秋田を離れる前に、これまで支えてくれた秋田の人たちへの心からの感謝をかたちにしたいと進めているのが「KENZO ARIGATO PROJECT(ケンゾウ アリガト プロジェクト)」です。

プロコーチ歴20年の経験と子育ての経験をシェアする勉強会を開催し、その収益を全額、秋田の子育て支援に回す取り組みです。里親制度の周知と支援、自分自身も助けられてきた家事代行やベビーシッターのサービスを必要な家庭につなぎます。

自らの足で精力的に県内を巡り、企業や施設、お店の方と話をしながら、「秋田を離れても、継続できる支援」を考えました。

「10年間、秋田の人たちに僕たち家族は支えてもらってきた。いつかまた必ず秋田に戻ってきたい」(顕蔵さん)  引用:本人のインスタグラムより@Kenzo Maeda

最愛の妻であり、子どもたちの大好きな「母ちゃん」だった、なつ美さんを亡くし、「深い悲しみの中にあっても笑って進んできた」と話す顕蔵さん。

子育ての毎日の中にはイライラしたり、「どこまでやらせんねん」と怒ることももちろんあります。それでも、「どれだけ大事に思っているか」を言葉でも伝えることを大切にしてきました。

「家族は“チーム”だと思っています。非常に過酷でもあるけれど、だからこそ、いいチームにしたい」(顕蔵さん)

そんな思いを胸に、前田家はまた新たな一歩を踏み出します。

取材・文/稲葉美映子

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前田 顕蔵
まえだ けんぞう

前田 顕蔵

KENZO MAEDA
プロコーチ

1982年大阪府生まれ。プロバスケットボール指導者。 小学校4年生時にバスケットボールを始め、さらなる高みを目指し20歳で渡米。ネブラスカ州立大学カーニー校で研鑽を積み、帰国後、2007年よりアシスタントコーチとして指導者キャリアをスタート。 プロ男子バスケットボールリーグであるバスケットボールBリーグ・高松ファイブアローズ(現・香川ファイブアローズ)に2008年に加入し、2011年からヘッドコーチに就任。2015年より秋田ノーザンハピネッツのアシスタントコーチに就任。2019年から同クラブのヘッドコーチを務める。2021年にはバスケットボール男子日本代表アシスタントコーチも歴任。2025年12月、秋田ノーザンハピネッツ退任。2026年4月、台湾へ移住。女子台湾代表ヘッドコーチに就任。 シングルファザーとして4人の男子を子育て中。 <公式Instagram> https://www.instagram.com/kenzo627/

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1982年大阪府生まれ。プロバスケットボール指導者。 小学校4年生時にバスケットボールを始め、さらなる高みを目指し20歳で渡米。ネブラスカ州立大学カーニー校で研鑽を積み、帰国後、2007年よりアシスタントコーチとして指導者キャリアをスタート。 プロ男子バスケットボールリーグであるバスケットボールBリーグ・高松ファイブアローズ(現・香川ファイブアローズ)に2008年に加入し、2011年からヘッドコーチに就任。2015年より秋田ノーザンハピネッツのアシスタントコーチに就任。2019年から同クラブのヘッドコーチを務める。2021年にはバスケットボール男子日本代表アシスタントコーチも歴任。2025年12月、秋田ノーザンハピネッツ退任。2026年4月、台湾へ移住。女子台湾代表ヘッドコーチに就任。 シングルファザーとして4人の男子を子育て中。 <公式Instagram> https://www.instagram.com/kenzo627/

稲葉 美映子
いなば みおこ

稲葉 美映子

ライター

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。