発達が気になる子どもが「保育園留学」で成長 小樽市で療育とレジャー体験[北海道]

『保育園留学』体験記#3 観光&療育の成果編

ライター:永見 薫

(写真提供:済生会本部広報室)
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「保育園留学」を知っていますか? 日本初の「発達が気になる子ども向け『保育園留学』プログラム」、山あり谷ありの体験記〈全3回〉、準備から出発~到着までをレポートした第1回、療育&生活をレポートした第2回に続き、第3回となるこの記事では、現地の魅力と療育の成果をレポートします。

【東京都内在住で、会社員の夫と共に、発達がゆっくりな6歳男児(年長)の子育てをしながら、フリーランスのライターとして仕事をしています。息子は、言葉の発達の遅れや、自分の気持ちがうまく表出できないことの他に、手先の不器用さや感覚過敏など多方面に発達がゆっくりな点があります。今回私たちは、日本初の「発達支援事業所と保育園併用型の保育園留学プログラム」を北海道・小樽市で体験してきました。(取材:永見薫)】

保育園留学がメイン、とはいえ観光もしたい!

運河クルーズの乗り場から一望できる、運河の景色。  写真提供:永見薫

便利な都会で暮らす3人家族が、冬真っ盛りの雪の札幌・小樽で悪戦苦闘しながら暮らしを体験する8日間。これまで2回にわたり小樽での暮らしや、療育・保育園留学の様子をお届けしました。

これだと小樽でのレジャーを体験していないのでは?と、お気づきの人もいるかもしれません。そうなのです。暮らしを営み始めると、意外と観光をする時間がないのです。

せっかく来たのに、それじゃあもったいない! 息子からも「遊びたいんだけど」と抗議されます(笑)

ということで、大人も子どもも息抜きをする日を作り、小樽に滞在していた7日の途中で、夫婦は1日・息子は半日の休みを設けて観光をしました。

長期滞在のメリットを活かし「平日観光」

木曜日の朝9時。滞在する一軒家には、いつものように車が迎えに来て、息子は「きっずてらす」に出発します。お迎えは11時半。それまでに私たちは、2.5キロほど離れた場所にある「きっずてらす」まで迎えに行く必要があります。

お迎えまでの空き時間はおよそ2時間半。目指すはチーズケーキが大人気の「ルタオ(LeTAO)」が営むカフェ、「ルタオパトス」です。

滞在していた一軒家は、小樽随一の繁華街「小樽堺町通り商店街」のほぼ中央の位置にあります。

一歩家を出れば、すぐそこに見えるのが観光地なのです。滞在中は時折、夫婦共に仕事の息抜きで商店街を散歩していたのですが、そこで発見したのが現地店舗でしか食べることができないスイーツ! ところが日中は観光客で大混雑。

「小樽堺町通り商店街」の、JR南小樽駅側の入り口にある「小樽オルゴール堂」。観光客の撮影スポットになっており、連日外国人観光客がつめかけていました。  写真提供:永見薫

「保育園留学」の期間中、大人は仕事をする予定を組んでいたので、そうゆっくりできないし、食べに行くのは難しいかも? とあきらめていました。しかし、子どもが療育へ行っている間の平日なら、朝一でゆっくり食べられるのでは? と画策します。

子どもを送り出し、私たちも出発。朝9時半には店に到着。流石にこんなに朝が早いと観光客はそう多くいません。驚くほど静かで優雅な空間がそこに広がっていました。

午前中の「小樽堺町通り商店街」の様子。朝はまだ人が少ないですが、昼過ぎになると観光客が次々に訪れ、賑わいがまします。  写真提供:永見薫

夫は期間限定のスイーツを、私は店舗限定のスイーツを朝からそれぞれ楽しみ、仕事の話や育児の話を1時間じっくり語らいました。

人混みが得意ではない私たちは、いつも観光地の、ぎゅうぎゅうの人だかりに飛び込む勇気がないのですが、地の利と時間を活用して、ゆったりと充実したひとときを過ごすことができました。

小樽在住のガラス作家の器に彩られた、現地でしか味わえない朝限定のスイーツをいただきました。  写真提供:永見薫

子どもの様子を観察し、子どもとの時間を楽しむ

11時半のお迎えに合わせ、私たちはタクシーで「きっずてらす」の入る商業施設「ウイングベイ小樽」まで移動します。

移動後は夫婦で30分ほど、息子の療育を受ける様子を観察。

滞在中は基本的に、事業所からのレポートのみで様子を知るのですが、やはり一度は息子の様子を見ておきたいなという思いもあったので、こうして実際に観察ができ、仕事を休みにしてよかったと感じました。

11時半に子どもを迎えてからは、ショッピングセンター「ウイングベイ小樽」での食事・買い物・遊びを味わい、直結している小樽築港駅から小樽駅に向けて電車で移動です。

小樽市はJR線が通っており、電車の運行本数もそれなりにあります。最大で1時間に6本運行しており、終電は24時まであるため、都心部とさほど事情は変わりません。

市内での交通手段は限られる面があるものの、市外へのアクセスが良好のため、上手に交通手段を利用すれば市内・市外での観光は無理なく楽しめそうです。

JR小樽築港駅の駅構内。快速電車も停車するため、築港エリアにお住まいの人のなかには、札幌への通勤者もいるようです。  写真提供:永見薫

小樽にはいくつか楽しいレジャースポットがあります。しかし残念ながら、冬季期間は休業しているスポットも。そのため、「行きたい観光スポット」に合わせて滞在するシーズンを選んだほうが良いかもしれません。

小樽駅に到着した私たちは、路線バスに乗って、小樽市総合博物館へ。

ここには、北海道の鉄道の歴史140年分が凝縮されています。過去に使用されたSLの模型や、車体の一部がずらりと陳列される風景にワクワクします。鉄道大好きキッズがいるご家族はぜひ訪れてほしい場所です。

小樽市総合博物館の入り口。左後ろにちらりと映る青い車両は、夏季期間は乗車ができるようです。  写真提供:永見薫

鉄道切符を思わせる本館常設展示のチケット。  写真提供:永見薫

私たちが訪れた際は冬だったため、屋外に展示された車両には乗ることができませんでしたが、夏季期間は屋外の車両に乗ることができるようです。

人気スポット「小樽運河」を堪能

博物館を堪能した後は、小樽のメインイベントでもある運河クルーズへ! 時はすでに夕刻になろうとしていました。

ところがこの運河クルーズのいいところは、夜間まで運行をしているところ。クルーズ類は日中の運行が多いのですが、小樽は夜景クルーズも人気なのです。

とはいえ、なるべく子どもに負担がかかりにくい時間帯を狙いたいところ。スタッフさんに尋ねたら、日没にかかる時間帯はまだ寒さがマシだと聞き、17時半出発の便に乗り込みます。

運河クルーズはおよそ40分ほど。海岸線を埋め立て、大正12年に完成した「埋め立て式運河」から小樽港にかけてぐるっとゆっくり回ります。

乗船中に夕暮れの空から、漆黒の空に変化していくさまを味わうことができ、とても満足しました。ただし海上であり海風があることと、夜に差しかかる時間帯のため、耳当てや手袋などの防寒道具は必須です。

運河クルーズは日中から夜間まで約20本運行されています。私たちは日の入り直前の便に乗船。  写真提供:永見薫
日が沈む瞬間の運河。広い水面に映る夜景が幻想的です。 写真提供:永見薫
乗船中に日が沈み、降りるころには美しい夜景が眼の前に広がっていました。もちろん極寒です。  写真提供:永見薫

こうして観光を満喫し、あっという間に一日が終わりました。

もちろん、見所や食べる所はまだまだたくさんあるため、何日でも味わうことができますが、朝から晩までフルスロットルで過ごせば、コンパクトに一日観光でまとめることもできます。

18時を過ぎると商店はほぼ閉まり、街は眠ります。日の入り沈みと共に街が動いていました。  写真提供:永見薫
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