「子どもが友達に暴力を振るってしまった」“キレる子ども”の暴力をやめさせる3つの方法[専門医が解説]

#2児童精神科医が説く“キレる”子どもの受け止め方~子どもの暴力・暴言~

児童精神科医:原田 謙

暴力の止め方③タイムイン
子どもが一人で気分を切り替えられればよいのですが、誰かが近くにいたほうが落ち着きやすい場合もあります。本人に一人でいたいか、それとも一緒にいたほうがよいかを聞いてみてください。子どもが誰かと一緒に過ごしながら落ち着く方法を「タイムイン」といいます。他の人から強制的に離すタイムアウトに対して、人と一緒にいることがポイントです。

「タイムイン」一人でいたいか、誰かと一緒にいたいか、は本人に決めさせよう。 イラスト/めやお 『キレる子どもの気持ちと接し方がわかる本』より
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例えば子どもが父親とケンカをしたのなら、母親が子どもを連れ出して一緒に他の部屋に行き、気分転換をします。お茶を飲んだり、おやつを食べるのもよいでしょう。おしゃべりをしてもよいのですが、キレたことを話題にするのは避けてください。

「さっきはどうしたの?」などと質問すると、子どもを興奮させてしまう可能性があります。問題を振り返るのは後回しにして、まずは緊張をやわらげることを心がけましょう。

子育ての問題として相談してみよう

子どものキレる行動に困ったときには、家族だけで抱え込まず、第三者に相談しましょう。主な相談先は子どもの通っている学校や、市町村の子育て・教育関係の窓口、児童相談所です。

「子どもがキレやすくて、接し方に困っている」「暴力や暴言を防ぎたい」といった悩みを子育ての問題として相談し、助言を受けることができます。学校や地域での対応例を聞いて、参考にすることもできます。困ったときにはぜひ相談してみてください。学校や市町村、児童相談所に相談するなかで、病院につながる場合もあります。

決定的な問題が起きてからではなく、少しでも悩んだら早いうちに相談を。  イラスト/めやお『キレる子どもの気持ちと接し方がわかる本』より

病院にはさまざまな診療科がありますが、子どものキレる行動を相談しやすいのは児童精神科です。一般の小児科や、発達障害の診療を行っている「発達外来」なども、相談を受け付けている場合があります。生活面の悩みを相談したり、発達障害の可能性を聞いたりすることができます。

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次回は、〈衝動的にキレる我が子 これって発達障害なの?〉についてご紹介します。

構成/佐々木奈々子

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■今回ご紹介の書籍はこちら
キレる子どもの気持ちと接し方がわかる本』(著:原田謙/講談社)
児童精神科医の著者が25年以上の臨床で培ってきた、キレる子どもへの対応・支援法を、マンガを交えて解説します。

「暴力の止め方」「話の聞き方」「ほめ方・𠮟り方」「発達障害の場合」など、ノウハウ的な接し方だけでなく、子どもと向き合うときに意識したい大人側の心構えも重要。ブレない姿勢で、子どものこころに寄り添いながら対応をしていくことで、キレる行動は減っていくでしょう。本書では事例をマンガで紹介しながら対応のしかたを解説。子どものこころに寄り添う対応法がわかります。

『キレる子どもの気持ちと接し方がわかる本』(著:原田謙/講談社)

連載は全4回 (※公開時よりリンク有効)

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はらだ ゆずる

原田 謙

Yuzuru Harada
児童精神科医

長野県立こころの医療センター駒ヶ根子どものこころ診療センター長、副院長。信州大学医学部臨床教授。全国児童青年精神科医療施設協議会代表。 1962年東京都生まれ。1987年信州大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センター、国立精神・神経センター国府台病院、信州大学医学部附属病院などを経て、2014年から現職。専門は児童精神医学。研究テーマは発達障害の二次障害(特に反抗挑発症、素行症)。 著書に『「キレる」はこころのSOS』(星和書店)、 『キレる⼦どもの気持ちと接し⽅がわかる本』 (講談社)など。 成人した2女の父であり4人の孫がいる。趣味はサッカー日本代表の応援、テニス、カラオケ。

長野県立こころの医療センター駒ヶ根子どものこころ診療センター長、副院長。信州大学医学部臨床教授。全国児童青年精神科医療施設協議会代表。 1962年東京都生まれ。1987年信州大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センター、国立精神・神経センター国府台病院、信州大学医学部附属病院などを経て、2014年から現職。専門は児童精神医学。研究テーマは発達障害の二次障害(特に反抗挑発症、素行症)。 著書に『「キレる」はこころのSOS』(星和書店)、 『キレる⼦どもの気持ちと接し⽅がわかる本』 (講談社)など。 成人した2女の父であり4人の孫がいる。趣味はサッカー日本代表の応援、テニス、カラオケ。