和田明日香さんの「好き嫌い克服法」」と平野レミさんの「子ども時代」

平野レミさんと和田明日香さん明るい嫁姑“食育”対談 #4

成長中の子どもの「今」と向き合う

レミさん:仕事終わって、毎日買い物して、食事作って。あーちゃんは、偉いっ!!

明日香さん:スーパーも大好きだし、今日の気分で買い物や料理をしたいから、その日に使う量だけを買うの。買いだめや作り置きはほとんどしないですね。

レミさん:そうよ、あーちゃんちの冷蔵庫ね、きれいなのよ。すっからかんよね。

明日香さん:レミさんちの冷蔵庫は、詰まり過ぎていて暗いよね。中を出したら部屋がひとつ埋まりそうですよ。でも災害には強いと思う。何かあったら頼ります。

平野レミさん。対談中も、明日香さんをたくさん褒めていました。
撮影:森﨑一寿美

レミさん:今、あーちゃん、めちゃめちゃに忙しいのに、そうやって買い物して料理して。それに、食事中に3​​人の子どもたちが「学校でこうだああだ」っていうのを、「そうなの」ってきちんと聞いて。本当に偉いよ。

明日香さん:あはは。確かに、こっちの話を聞きながら、あっちに相槌を打ってますね。私、聖徳太子みたい、すごいって自分でも思います。

私は、子どもの話を聞くことは、絶対的に大事にしているんです。1日の中で離れている時間が長いから、その間にあったことを私も知りたいし。

それに、5年生くらいになってくると、思春期の入り口で、突然「ドン」って大きなことが起こったりするんですよね。でも、ずっと話を聞いていると、ああそうか、ついに爆発したのね、ってわかる。それまで、何もコミュニケーションが取れていなかったら、すごく焦ると思うんですよ。

あと、よく言いますけど、子どもの成長は「今しかない」ですから。私はもうこれ以上、背も大きくならないけれど、子どもたちは、今、体が作られているから、ご飯もちゃんとしてあげたいと思う。心や脳もメキメキと育っているしね。

寂しいくらいに成長しちゃうので、その瞬間に気になったこと、聞かれたことは、その瞬間にちゃんと向き合ってあげたいって思っています。

和田明日香さん。子育てについてもたくさん話してくれました。
撮影:森﨑一寿美

レミさん:何か聞かれたら、いつも即答しているものね。「後でお父さんに聞きなさい」なんて絶対言わないし、ちゃんと丁寧にわかるまで教えているし。

明日香さん:「ちょっと待ってて」っていうこともありますよ。あるんですけど、今待たせたらまずいなっていう時と、暇だからたいした用もなく、「ママ〜」って話しかけてきてる時は、目を見ればわかります。

待たせたらまずい時は、何をしていても手を止めて「どうした?」って聞くようにしている。「忙しいのに」っていうのは私の事情で、子どもは知ったことじゃないですからね。

いろいろな人の話を聞いて育ったレミさんの幼少期

レミさん:それに、あーちゃん、いつもニコニコしているのよね。

明日香さん:それはどうかな。

レミさん:ニコニコというより淡々と、かな。でも、不機嫌じゃないよね。いいやつだ。

明日香さん:ありがとうございます。レミさんこそ、そういう自由で、人の目を気にしない価値観は、どうやって作られたんですか。

レミさん:それはね、たぶん、私の生まれ育った環境だと思うのね。うちは両親が自由で、千客万来、波乱万丈でね。外国人もたくさん、本当にいろんな人がうちに出入りしていたの。
私もその人たちの話を聞いてね。いろんな人生あるな、このおばさん、このおじさん、あのお兄さん、みんな面白いなあと思って。そうやって、小さい時からいろんな人の話を聞いていると、いろんな人がいて面白いし、大人は愉しそうだなって。

それにね、親に、「こうしなきゃいけない」という育て方は何もされなかった。ただ、「意地悪だけはダメよ」って。あとは何も言われない。好きなことやれって。
いいんだか悪いんだかわからないけど、それでここまで来ちゃったから、いいんじゃない、これできっと。

明日香さん:レミさんの話を聞くと、子どもの視野を広げてあげることって、とても大事だなって思います。

私たちは、そんなにたくさんの大人の生き様を見せてあげられてはいないですけど、親は、受験にしても何にしても、あらゆる選択肢を子どもに一旦見せられたらと思う。

そして、最終的に選ぶのは自分だよ、自分の人生だからね、っていうことかな。

ちなみにうちの子は本が好きなんですけど、本はいろいろな世界が知れると思うので、本だったらいくらでも買ってあげるっていうスタンスでいて。なるべく色々な世界に触れてほしいな。そう思っています。

―・―・―・―・―・―・―・―・
明日香さんの子どもの「今」と向き合う姿、そしてそれを見てきちんと褒めるレミさん。おふたりの関係性のよさを改めて感じさせられました。

最終回の第5回は、つい言ってしまう「勉強しなさい」の一言について。和田家での伝え方についてお話いただきます。

取材・文/浅妻千映子

平野レミ(ひらのれみ)
料理愛好家。シャンソン歌手。フランス文学者・平野威馬雄の長女。夫は和田誠氏。
主婦として家庭料理を作り続けた経験を生かし、「料理愛好家」として活躍。「シェフ」ではなく、「シュフ」の料理をモットーに、テレビ、雑誌などで数々のアイデア料理を発信中。また、講演会、エッセイを通じて、明るく元気なライフスタイルを提案するほか、レミパンやエプロンをはじめとした、キッチングッズの開発も手がける。
近著に『家族の味」(ポプラ社)』、『野菜の恩返し』、『新版 平野レミの作って幸せ・食べて幸せ』(主婦の友社)など
HP
https://remy.jp/
Twitter 
https://twitter.com/Remi_Hirano

家族の味/ポプラ社

和田明日香(わだあすか)
1987年生まれ。東京都出身。3児の母。料理愛好家・平野レミの次男と結婚後、修業を重ね、食育インストラクターの資格を取得。各メディアでオリジナルレシピを紹介、企業へのレシピ提供など、料理家としての活動のほか、講演会、コラム執筆、テレビ出演など幅広く活躍中。2018年ベストマザー賞を受賞。
近著に『10年かかって地味ごはん』(主婦の友社)、『ほったらかしレシピ献立編』(タツミムック)、『子どもは相棒 悩まない子育て』(ぴあ)など
Instagram
https://www.instagram.com/askawada/

10年かかって地味ごはん。/主婦の友社
和田誠展開催中。
wadamakototen.jp/
29 件