子どもごはんの悩み 「食事は楽しい!」という気持ちが好き嫌いを克服
人気料理研究家・浜内千波の「子どもを育てるごはんレッスン!」(第5回 好き嫌い克服編②)
2022.01.07
料理研究家・栄養士:浜内 千波
幼児期の食事は、食生活の基礎を作るとても重要な期間です。けれど、好き嫌いがあったり、食べる量に個人差があったりと大変な時期でもあります。
また、子どもの肥満も心配。ほうっておくと大人になって生活習慣病になるリスクが高くなる可能性も。
幼児期に必要な栄養素とそのレシピ、苦手なものへの対応、そして大人になっても生活習慣病にならないための方法などを料理研究家の浜内千波さんに6回に渡って伝授していただきます。
第5回目のレシピは子どもが好きなかぼちゃを使ったプリンを紹介します。
幼児期の好き嫌いは自己防衛本能
幼児期には苦味や酸味、辛味、においが強いものが苦手ですが、苦味や辛味は「毒があるかもしれない、酸味は「腐っているかもしれない」というシグナルを感じ、判断しているからです。また、初めてのものに対し、警戒しているという側面もあります。
一方、甘味は体を作るエネルギー源で本能的に好むと言われています。また母乳にも含まれているので知っている味のため、安心できるからだとも。
「嫌いなものがあると、親は無理矢理克服させがちですが、視点を少し変えて子どもが好きなものを使ってみましょう。たとえば、野菜なら、かぼちゃや芋類などがおすすめです。甘味があり、栄養価も高く、おかずにもおやつにも使えますし、通年出回っているので手に入りやすいのもいいですね」(浜内千波さん)
2020年のタキイ種苗の調査によると、子どもが好きな野菜でかぼちゃは8位、じゃがいもは2位、さつまいもは4位という結果になっています。ほかにも、とうもろこしやにんじんなど甘味のある野菜がベスト10にランクイン。
「偏食」との向き合い方
好き嫌いのなかでも特に気をつけたいのが偏食です。偏食は野菜をまったく食べなかったり、麺類しか食べなかったりと、食べ方がとても極端なことです。
「過度の偏食は幼児期には特に注意が必要ですね。栄養不足なり、成長の妨げになるリスクがあります。たとえば、ピーマンが食べられないという好き嫌いなら、ピーマンと同じ栄養素が含まれている野菜を代替すればいいのですが、偏食となると、野菜すべてがダメなわけですから、ちょっと大変かもしれませんね。それでも時期がくればなおることも多いので、無理矢理食べさせたり、怒るのは禁物です」(浜内さん)
偏食が長く続き、成長に支障をきたしていると感じた場合は小児科医や保健師さんなどに相談してみましょう。
「苦手の克服」ではなく「食事は楽しい!」という気持ちを育てよう
苦手なものを無理強いしたり、克服させるよりも、お手伝いさせたり、一緒に作ってみることから始めるのがおすすめ。
「ある保育園で園児たちにアンケートを取ったところ、『お母さんが料理やお菓子を作っているときがいちばんかっこいい』、『一緒に作りたい!』という回答が多かった。手伝いをしたり、お母さんと一緒に作ったものなら、愛着がわき、苦手なものでも食べるようになります」(浜内さん)
幼児期は味覚と感情がなかなか一致していないので、同じ食材でも日によって食べる、食べないということがあります。食べない=苦手なもの、嫌いなものと決めつけるのは少々危険です。
「見た目や彩りなど、そのときの感情に左右されるのもこの時期特有のものです。『昨日は食べなかったけど、今日は食べた』ということが多々あります。苦手なものや嫌いなものを強制的に食べさせるのではなく、『食べることは楽しい』という気持ちを育てること、ポジティブな考えに導くことが大事ですね。その先に好き嫌いの克服があると思います」(浜内さん)
かぼちゃプリン
【材料】(18㎝パウンド型1台分)
かぼちゃ…350g(正味200~250g)
卵…2個(正味100g)
牛乳…200㏄
砂糖…30g前後(好みで分量は変えても)
[カラメルソース]
砂糖…30g
水…大さじ1~
作り方
1 かぼちゃは大きめの一口大に切り、耐熱皿に皮目を下にして並べ、ラップをふんわりかけて電子レンジ(600W)で約4分加熱する。粗熱を取り、皮をむいてなめらかになるまでフォークなどでつぶす。
2 カラメルソースを作る。フライパンに砂糖を広げ、中火で色づくまで溶かす。火を止め、水を加えて素早く混ぜ合わせ、パウンド型に流し入れ、冷ます。
3 ボウルに1のかぼちゃと砂糖、卵、牛乳の順に入れ、混ぜ合わせパウンド器に流し入れてアルミホイルをかぶせる。
4 フライパンに3のパウンド型を入れ、型の半分が浸かるように水を注ぎ、ふたをして中火で沸騰するまで火にかける。沸騰したら、弱火にし、中心が固まるまで様子を見ながら火を通す。
5 粗熱を取り、冷蔵庫で冷やす。
取材・文:須藤桃子 撮影:松本祥孝
浜内 千波
栄養士。大学卒業後、証券会社を経て岡松料理研究所へ入所。ファミリークッキングスクールを開校し、料理教室を主宰すると共に、食ビジネス全般において、メニュー開発などプロデュースを手掛ける。近年は、食育分野にも力を入れ、レシピ開発や給食従事者への指導に携わっている。 Twitterにて、毎朝のごはんをご紹介している。Twitter:
栄養士。大学卒業後、証券会社を経て岡松料理研究所へ入所。ファミリークッキングスクールを開校し、料理教室を主宰すると共に、食ビジネス全般において、メニュー開発などプロデュースを手掛ける。近年は、食育分野にも力を入れ、レシピ開発や給食従事者への指導に携わっている。 Twitterにて、毎朝のごはんをご紹介している。Twitter: