体調を整える「食薬」+子どもに「食育」 漢方医が教える簡単レシピ

漢方薬剤師・大久保愛さんが教える「食薬」のススメ#3~子どもと作る食薬レシピ~

漢方薬剤師:大久保 愛

食薬レシピ3 食物繊維が豊富!「サイリウムわらび餅」

子どもの体調に関する悩み事でよくある便秘。漢方では、便秘には「種」がよく用いられます。今回使用するサイリウムは、オオバコという植物の種皮のこと。食物繊維が豊富で水分をよく吸収するため、便をやわらかくしてくれます。サイリウムはドラッグストアで購入することができますよ。

【材料】※作りやすい分量

サイリウム 小さじ1
水 150ml
きな粉 適量
オリゴ糖またはハチミツ 適量

サイリウムを水で溶き、タッパーに入れて電子レンジで約2分加熱します。粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やし、固まったら一口大にカット。きな粉と、オリゴ糖またはハチミツを絡めればできあがりです。トッピングなら、幼児期の小さな子どもでもお手伝いすることができます。

「食感はまさにわらび餅そのもの。サイリウム自体に味はほとんどないので、オリゴ糖やハチミツで甘味をつければ食べやすく、子どもをもつ患者さんからも好評です。サイリウムは、片栗粉の代用としてお料理に使うこともできます」(大久保さん)

ぷるんと弾力ある食感のサイリウムわらび餅。オリゴ糖は善玉菌のえさとなり、腸内環境を整えてくれる。食物繊維と一緒に摂るとさらに効果的。 写真:大久保愛

コロナ禍で「食薬」ができることとは

3回にわたってご紹介してきた通り、身近な食材にはさまざまな力が隠されています。どのような特性があるのかを知り、上手に生活の中に取り入れれば、日々の健康につながります。

さらに、特別な下準備や特殊な調理法も必要なく、「とにかく簡単」なことが食薬の大きな魅力です。

長引くコロナ禍で、今までとは違う生活を余儀なくされるなか、人々の食べ物や健康に対する意識も変わりつつある昨今。生活習慣の変化からか、大久保さんのところには、便秘や肌荒れ、不眠、鬱、慢性疲労などの相談が増えてきていると言います。

現在(2021年12月)も新たな変異株の登場などで不安の日々ですが、何かできることはないのでしょうか。

「口腔内の乾燥を予防するため、きんぴらなどの炒め物に、包丁で叩いた梅干しを調味料としてよく使っています。梅干しには、ウイルス感染から体を守ってくれる唾液の分泌効果をはじめ、抗菌作用や疲労回復も期待できます。

あとは、玉ねぎと切り干し大根の酢漬けも常備していて、腸の状態に合わせて食べる量を調整しています。

年末年始は食べ過ぎたり飲み過ぎてしまいがちですが、この時期ならではの楽しみがあると思います。イベントのある日は思いっきり楽しんで、そのほかの日は守りに徹する──。

食事に対してしっかりとメリハリをつけることをおすすめしています」(大久保さん)

抗菌作用や免疫力を高める食材を取り入れたり、食べ過ぎてしまったらリカバリーするなど、日頃から体を整える習慣を身につけて、元気に子育てを楽しみましょう!

『1週間に1つずつ 心がバテない食薬習慣』(大久保愛著、ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)。「人間も自然のなかの一部である」という漢方の考え方をベースに、日本特有の雨、風、気圧の変化、日照時間がどのように心に影響するかを分析し、その季節特有の心バテ症状に合わせたシンプルで簡単な「食薬プログラム」を紹介。
『1週間に1つずつ 体がバテない食薬習慣』(大久保愛著、ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)。各シーズン・毎週ごとに陥りやすい不調のメカニズムを解明して、その対策のための食薬プログラムを提案。毎週の食べるといい食材をスープや料理の具材として使うだけで大丈夫。食べるもののチョイスを少し変えるだけで、ためこまない、めぐりがよい、「バテない体」へ導いてくれる。

取材・文/稲葉美映子

※大久保愛さんのインタビューは全3回です。
#2 漢方薬剤師が推奨 「食薬」で子育て中の体調トラブル&イライラを乗りきる!
#1 「食薬」で女性特有の不調・子どもの食習慣を改善 漢方薬剤師の知恵

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おおくぼ あい

大久保 愛

漢方薬剤師

秋田県出身。薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。 アイカ製薬株式会社代表取締役、漢方生薬研究所開発責任者、一般社団法人腸内細菌検査協会理事、株式会社東進メディカルアドバイザー。 昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人ではじめて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳を始め医療と美容の専門家として商品開発・ライティング・企業コンサルティングなどに携わっている。

秋田県出身。薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。 アイカ製薬株式会社代表取締役、漢方生薬研究所開発責任者、一般社団法人腸内細菌検査協会理事、株式会社東進メディカルアドバイザー。 昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人ではじめて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳を始め医療と美容の専門家として商品開発・ライティング・企業コンサルティングなどに携わっている。

いなば みおこ

稲葉 美映子

ライター

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。