「東大生」「社会のリーダー」に共通する食事マナーとは 料理と学力の意外な関係性

【子どもの学力を伸ばしたければ子どもに料理をさせなさい #3】東大生の8割がお箸を正しく持てる!?

口呼吸で虫歯、その対策とは

口の中の衛生状況を保つには、食後にお水かお茶を飲むのが有効です。  撮影:石牟礼ともよ

最近、学校の先生が心配しているのは、授業中にポカーンと口を開けている子が多いということです。鼻が詰まっているためやむを得ず口呼吸をしている子もいますが、常時、口がポカーンの子どもは授業を理解しているかどうか先生も確信が持てず、集中力が長続きしない傾向にあるといいます。

もし、鼻炎がないのに口が開いているとすれば「かむ力が弱くて口を閉じていられない」という理由が考えられます。歯ごたえのない柔らかいものばかり食べていて口の周りの筋肉が発達しておらず、長時間ギュッと口を閉じていられないのです。

口が開いたまま長時間過ごすデメリットは、唾液の量が減ってドライマウスになることです。唾液には虫歯を予防する酵素が含まれ、消化吸収を促してくれる役割があります。唾液が少ないと、甘いものを食べていなくても虫歯になりやすく、虫歯を放置して脳に細菌が入り、脳の病気になる可能性もゼロではありません。

たとえ体に良いものを食べていたとしても栄養にならず、消化吸収まで悪くなり、おまけに虫歯の可能性も高くなるとなれば、踏んだり蹴ったりです。さらに、胃腸障害が起きて免疫力が下がれば、脳の働きが落ちて集中力や記憶力にも響きます。

そこで習慣にしたいのは、食後に1杯のお水かお茶を飲むことです。食べたあとに毎回の歯磨きは難しくても、お水かお茶なら手間いらず。口の中の食べかすを流し込むことができます。

子どもは親の鏡です。親がやらないで子どもにだけ強制すると、子どもはだんだんと反抗するようになります。食事の最後はお水かお茶で締めるのを親も当たり前のように行い、家族で習慣にすると良いでしょう。

かむ力を育てる方法

旬の野菜をぬかに漬けて、子どもの好奇心を育てます。  写真提供:表洋子

かむ力を育てるには、二つの方法があると表さんはいいます。

「一つは、スルメなど硬くて歯ごたえのある食品を食べる、オーソドックスな方法です。煮物にレンコンやゴボウなど、よくかまないとのみ込めない根菜類を入れて食べさせ、かむ回数を増やすのもオススメです。

もう一つは、前歯を使ってかじりとる練習をすることです。食べやすいからと固形のものを一口サイズにカットして与えてばかりいると、かじりとる力が育ちません。

パンのように柔らかくてかじりやすいものは、歯形がしっかり残るくらいガブリとかじりとる練習を(お行儀は悪いですが)家でならやっても良いのではないでしょうか。

ニンジンやキュウリなども、かじり取って食べる練習に最適です。よくかまないまま飲み込んでしまう癖のある子も、コリコリと楽しんで食べられる食材を入れてかむ回数を増やしていくと、だんだんと口の周りの筋肉が育ってきます。

漬物をコリコリとほおばると、かむ回数が増えます。でも無理に食べさせて、苦手意識が出てしまってはいけません。かむ練習は柔らかめのものから硬いものへと、徐々に慣らしていくといいでしょう。

また、漬物の塩分の摂りすぎが気になるのなら、ぬか漬けはいかがでしょうか。ぬか漬けには乳酸菌が含まれているので、腸内の善玉菌が増えます。スーパーでもぬか漬けのキットが手に入るので、『何を漬けようか』と話しながら子どもと一緒に旬の野菜をぬかに漬けてみるのも大賛成です。たとえ食べなくても、ぬか床に野菜を漬けること自体が楽しいので子どもは喜んでやりますし、こうした経験が食べることへの興味につながるのではないでしょうか。

余談ですが、小学校や幼稚園の受験時の面接で『家族の健康を考えて、子どもと一緒にぬか漬けを作っています』と伝えると、家族が一丸となって健康管理に携わっていると判断されて好印象です。五感を使って食に触れる経験を幼児期にしておくと、小学校へ上がってから興味を広げることにつながります。小さなうちに種まきをたくさんしてあげてください」(表さん)

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