「夕ごはんに涙が止まらない」家族の料理に苦しむママたちの“見るだけ料理教室”とは

シリーズ「賢人に学ぶ『家族のごはんがしんどい』から解放されるヒント」#2‐1 「お気軽料理サロン」主宰・本多理恵子さん~しんどさ軽減のポイント編~

「お気軽料理サロン」主宰:本多 理恵子

疲れたときは「作るのをやめる」か「定番レシピの活用」

息子さんが成人したこともあり、本多さんは、現在週1~2回くらいのペースで家族のごはんを作っているそうです。現在、料理のどのようなことがしんどいと感じるのかが気になります。

「自分が勝手に思っているだけかもしれませんが、家族に合わせて品数や量を考えて作らないといけないことです。自分ひとりなら、『夕飯は卵かけごはんでいいや』と適当にすませられますが、家族のごはんとなるとそうはいかないと思ってしまいます」(本多さん)

家族のためと思うと、子どもの栄養バランスや好みを考え、品数を増やさなくてはいけなくなる。「こうしないといけない」という思い込みから、料理が苦痛になる人も。

「疲れて料理したくない日は、いっそ作るのをやめてお惣菜や外食に頼ればいいと思います。あとは、『困ったときはこれ!』というレシピをいくつか持っておくといいですよ。我が家の定番は、しゃぶしゃぶか手巻き寿司です」(本多さん)

しゃぶしゃぶや手巻き寿司なら、調理の手間を省けるのはもちろん、各自が作る楽しさもあります。さらに、定番料理も調味料を変えるだけで可能性が広がると言います。

「私がおすすめする調味料は、コチュジャンです。しゃぶしゃぶの場合、“しめ”にパスタを入れて、豆乳とコチュジャンを足すと風味が変わっておいしいですよ。

余ったお味噌汁も、コチュジャンと肉を入れて卵を落としたら、チゲ鍋風になります」(本多さん)

本多さんによる「自家製コチュジャン」。甘さとピリッとした辛さが絶妙です。  写真:柏原力

使い慣れない調味料を買っても、使い切れず賞味期限を迎えてしまうケースも。調味料はさまざまな組み合わせを知っておくと、使い方の幅が広がり、消費につながります。

「コチュジャンは乳製品と相性がいいので、クラムチャウダーに混ぜたり、食パンにコチュジャンを塗ってチーズを乗せてトーストしたりすると、おいしいですよ。面倒ならマヨネーズと和えて、生野菜や茹で野菜につけるのもおすすめです」(本多さん)

本多さんのコチュジャンのように、自分にとっての“お助け調味料”を持っておくとマンネリ化の防止にも役立ちます。

「献立が思いつかない」と悩みを抱える人は、レシピをアレンジしたり、今ある食材で料理を考えることが苦手な人もいます。このハードルをクリアできれば、しんどさの解決にもつながるのでしょうか。

「いわゆる“料理の経験値”を積めばできるようになる人もいれば、そうでない人もいるので、一概には言えませんが『やってみる』ことが大事ですね。

具体的な方法に『似たような食材に置き換える』があります。例えば、ちくわを使って作るレシピを、同じ白身魚を原材料にした『はんぺん』に置き換えたり、“海のもの”という大きいくくりで考えてシーチキンで作ったりするようなイメージです。

あまり突き詰めすぎると“お勉強”の要素が強くなり、楽しくなくなってしまうかもしれませんが、できる範囲でやってみるとアレンジの練習になると思います」(本多さん)

頼れる定番料理をいくつか持っておくことや、アレンジの活用など、「料理がしんどいとき」の選択肢をいくつか持っておくと、状況に合わせた乗りきり方を会得できそうです。

第2回は、「やる気の引き出し方」について伺います。

取材・文/畑 菜穂子

「食べたいものがまとまらない」「簡単でいいよ、と言われた」など、料理の悩みに寄り添ったレシピを紹介する本多さんの著書『ごはん作りの絶望に寄り添うレシピ やる気0%からの料理術』(エムディエムコーポレーション)
18 件
ほんだ りえこ

本多 理恵子

Rieko Honda
「お気軽料理サロン」主宰

2007年鎌倉で「Café Rietta」を開業。「お気軽料理サロン」主宰。『料理が苦痛だ』(自由国民社)で第6回料理レシピ本大賞 in Japan 料理部門【エッセイ賞】を受賞。書籍やTV出演などメディアを通じて料理をメンタル面からサポートする活動をしている。 著書に『ようこそ「料理が苦痛」な人の料理教室へ』(KADOKAWA)、『ごはん作りの絶望に寄り添うレシピ やる気0%からの料理術』(エムディエムコーポレーション)など多数。 ●HP:Café Rietta ●Instagram cafe.rietta ●Facebook Cafe Rietta

2007年鎌倉で「Café Rietta」を開業。「お気軽料理サロン」主宰。『料理が苦痛だ』(自由国民社)で第6回料理レシピ本大賞 in Japan 料理部門【エッセイ賞】を受賞。書籍やTV出演などメディアを通じて料理をメンタル面からサポートする活動をしている。 著書に『ようこそ「料理が苦痛」な人の料理教室へ』(KADOKAWA)、『ごはん作りの絶望に寄り添うレシピ やる気0%からの料理術』(エムディエムコーポレーション)など多数。 ●HP:Café Rietta ●Instagram cafe.rietta ●Facebook Cafe Rietta

はた なおこ

畑 菜穂子

ライター

1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona

1979年生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーに。主にWEBメディアで活動中。子育て、性教育、グルメ、企業の採用案件などの取材・執筆を行う。多摩地域で、小学生の娘(2012年生まれ)、夫と暮らす。 Twitter @haricona