さかなクンも認めたお魚王子・鈴木香里武が教える“幼魚採集”の楽しみ方【春～夏編】

〈夏の幼魚１：ムラサメモンガラ〉
「夏の海水温が高まる時期は、本来、南の海にいるはずのカラフルな魚の幼魚たちが、黒潮という海流に乗って流れてきます。夏の南房総の漁港には、信じられないような光景が足もとに広がっているのです。

モンガラカワハギの仲間も多く、中でもイチオシは、ムラサメモンガラの幼魚。芸術的で、まるでピカソが描いた絵画のよう。２～10cmぐらいまでの幼魚を漁港で見られます」（香里武さん）

〈夏の幼魚２：ツクシトビウオ〉
「夏の海の風物詩といったら、トビウオの赤ちゃん。風に乗って大量に漁港にやってきて、多いときは漁港の中に何百匹といます。種類によって色や模様、羽の形もさまざま。

成魚と違って腹びれも大きく、トビウオの一種・ツクシトビウオは、どこかチョウチョのようでもあり、枯れ葉のようでもあります。

幼魚のサイズは１～10cm程度で、流れ藻と一緒に流れてくると、見事に溶け込んでしまいます」（香里武さん）

〈夏の幼魚３：エボシダイ〉
「猛毒を持つカツオノエボシの触手の間に身を潜め、自らの命を守るのがエボシダイの幼魚です。僕が大好きな魚のひとつで、扇子のように広げた腹びれが美しく、上から見ると羽が生えているよう。

幼魚のサイズは３～４cmぐらいで、成長するとカツオノエボシの触手付近を卒業し、深海へと潜っていきます。そんなヤンキーにくっついている取り巻きのようなところも、何だか健気でかわいいです」（香里武さん）

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全４回にわたって、鈴木香里武さんのインタビューをお届けしました。

ときには不安を抱えながらも、魚が好きな気持ちを貫いて、自らの力で活動の幅を広げてきた香里武さん。大好きな幼魚について語るその表情は、生き生きと、まるで少年のようでした。

ご本人の圧倒的な行動力はもちろんですが、香里武さんが自信をもって前に進めたのは、ご両親や恩師のあたたかな応援があったからに違いありません。

子どもを信じて、見守る。

我が子の“好き”を育ててあげられるように、できることから始めたいと思います。そして、この春夏は、幼魚採取にチャレンジしてみようと思います！

取材・文／星野早百合