さかなクンも認めたお魚王子・鈴木香里武が教える“幼魚採集”の楽しみ方【春~夏編】

岸壁幼魚採集家・鈴木香里武さんインタビュー#4【実践編】

岸壁幼魚採集家:鈴木 香里武

春に出会える幼魚BEST3

幼魚との出会いは一期一会ですが、季節によって漁港の環境は異なり、出会いやすい幼魚も変わるといいます。香里武さんに、春と夏、それぞれの季節で出会える幼魚とその魅力について解説していただきます。

〈春の幼魚1:キヌバリ〉
「透き通ったハゼの幼魚の大群が見られるのは、春の海の風物詩。天の川のようにきらめくハゼの乱舞を足もとで見ることができます。中でもおすすめの幼魚は、キヌバリ。

サイズは2~5cmぐらいで、透明の体に黒のしま模様が浮き出ています。名前のとおり、絹を張ったように美しい幼魚です」(香里武さん)

キヌバリの幼魚。  写真提供:鈴木香里武

〈春の幼魚2:サギフエ〉
「春の海のおもしろさは、冬の魚が深場へ移動し、夏の魚が南からやってくる入れ替わりの時季で、その両方が見られること。深海魚の一種・サギフエの幼魚が、ギリギリ見られます。

幼魚のうちはプランクトンが豊富な浅瀬にいることが多く、海面のきらめきに紛れられるように体は銀ピカ。海水温が上がってくると深場へ潜り、体も赤へとカラーチェンジします。

幼魚のサイズで1~5cmほどで、上から見ても気づきにくい魚です」(香里武さん)

メタリックで美しいサギフエの幼魚。  写真提供:鈴木香里武

〈春の幼魚3:ダンゴウオ〉
「ぷっくらとした体と愛らしい表情のダンゴウオは、冬の海のアイドル。ダンゴウオに会うには、極寒の夜の海で苦行のような採集をしなければなりません。

それが、海水温が上がってくると、ダンゴウオは深場へと泳いで移動するため、その途中に漁港へ立ち寄ってくれるのです。

成魚でも2cmほどの小さな魚ですが、体がまんまるなので意外と見つけやすく、海に入らずにタモ網ですくうことができるのも春ならではです」(香里武さん)

あいきょうのあるダンゴウオ。  写真提供:鈴木香里武
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