禅僧が教える 「禅」で子どもの「自分で考える力」が伸びる理由とは

【特別対談】 禅僧・大愚元勝 × 教育ライター・佐藤智

親が堂々と「わからない」と言ったほうがよい

佐藤さん:
子どもたちが自ら悩み、考える機会が大事だというのは理解できます。とはいえ、大人はそれに対してただ傍観して、なにもしないでいていいものでしょうか。

たとえば、この本の中では「啐啄同時(そったくどうじ)」という言葉も出てきますよね。ひな鳥が卵からかえるとき、ひな鳥は内側から卵のカラをつつき、親鳥は外側からカラをつつくことで、無事にひなが生まれてくるという言葉です。

こんなふうなサポートをしてあげたいと考えたとき、親としてできることはなにがあるのでしょうか。

『1日3分でしなやかな心が育つ 禅のことば』の一部を抜粋

大愚さん:
啐啄同時で大事なのは、子どもをしっかり観察して、かならず子どものほうからカラをつつき出すのを待つ、ということです。

ひな鳥がまだカラをつついていないのに、親鳥が卵のカラをつついてしまったら、なかのヒナは死んでしまいますよね。だから、まずはタイミングが重要なんです。

たとえば、「投機」という言葉がありますが、じつはあれも仏教生まれなんですよね。これは「機会を投げる」ということで、弟子が悟りそうになっているなと思ったタイミングでそのチャンスを投げるということです。

あともうひとつは、大人自身が悩んだり、わからないことを自らの行動で肯定することではないでしょうか。

佐藤さん:
じつは大人もいろいろなことに悩み続けているし、わからないままでいる、ということを子どもに伝えるということですね。

SAPIXの方からも、子どもが「わからない」と言える環境づくりをすることが大事だと聞いたのですが、たしかに、大人本人がわかっていないことを正直に打ち明けることが重要ですね。

大愚さん:
そうです。たとえばなんですが、家族で旅行に行くときも、いまは旅行のプランをしっかりねってから出かける人が多いと思うんですが、あまり細かいことを決めないまま、行き当たりばったりで旅行してもいいんじゃないでしょうか。

その結果、道に迷ったり、ご飯を食べるところがなかなか見つからなかったりして、大人があたふたしている姿を子どもに見せるわけです。親のそういう姿を見て、子どもなんかは「この人たちアホだなあ」と思っているんですが、それが大事なんですよ。

佐藤さん:
子どもの教育については、親がしっかり導いてあげなければという思い込みを抱えている親御さんもたくさんいらっしゃると思います。

でも、そんなふうに親のダメな部分をさらけだしてしまってもいいというアドバイスは、親御さんの心理的な負担も軽くできるので、とてもありがたいですね。

『1日3分でしなやかな心が育つ 禅のことば』
大愚元勝(監修)
定価:1,430円(税込)
ISBN:978-4-06-531752-5
イラスト©力石ありか
読者対象:小学校3年生以上

子どもたちが自分で感情をしずめるために役立つ24のメッセージを、超訳&イラストでわかりやすく解説。
大人が読んでも役立つ一冊です。

★同時発売★
『1日3分でやさしい心が育つ 聖書のことば』
佐藤優(監修)
定価:1,430円(税込)
ISBN:978-4-06-531753-2
イラスト©力石ありか
読者対象:小学校3年生以上

子どもたちが思いやりについて学べる24のメッセージを、超訳&イラストでわかりやすく解説。
大人が読んでも役立つ一冊です。

29 件
たいぐ げんしょう

大愚 元勝

Taigu Gensho
福厳寺 住職

佛心宗大叢山福厳寺31代目住職。慈光グループ会長。僧名「大愚」は、何にもとらわれない自由な境地に達した者を表す。駒澤大学、曹洞宗大本山...

さとう とも

佐藤 智

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教育ライター

両親ともに教員という家庭に育ち、教育の道を志す。横浜国立大学大学院教育学研究科修了。中学校・高校の教員免許を取得。出版社勤務を経て、ベ...