「わかんない、できない…」プチ反抗期の小学生 講師が普段は見せない「手本」をあえて見せた理由

「こどもアトリエ みかづき」の親子で楽しむアート 第4回「光をたのしむ透かし切り絵」

小学校の3・4年生、いわゆる「中学年」の子はある日突然、様子が変わることがあります。

Dちゃん(わからないよ。できっこない。) 私(おや、今日はご機嫌ななめかな?)

口に出さなくても、表情や態度でわかります。課題は無理に取り組まなくても良いのですが、やりたくない訳ではなさそう。

当然個人差はありますが、自我が育ち、一時的に理屈っぽくなったり大人への批判的な考えが生まれる年齢でしょうか。無口や無表情が気になり始めたら、注意して見るようにしています。この時期の子どもと作品について話すのに、1対1で話してもいい結果が得られません。どちらかが無理やり意見を押し通すようなことになりがちです。

こういうとき、私は言葉の代わりに、試作品をそっと見せることにしています。

(試作は必ず行います。子どもたちにとって作りやすいサイズか、どこが難しいと感じるかなどを事前に把握するための試作であり、もともとは子どもたちに見せるためのものではありません。私ならこう描くこう作ると、本気で取り組むことが多いです。)

そう、アトリエでお手本を出すのは、中間プチ反抗期の対策時です。

見本を見せられても真似て作ろうとは決して思わず、一生懸命悩んで答えを出す時期でもありますから、あとは黙って見守っておけば大丈夫。そもそもお手本として作っていない意地悪な作品ですから、マネをするのは難しく感じるかもしれませんね。

Dちゃんも同じでした。反応は薄いですが、目的を理解して黙々と自分の制作を始めます。

中間反抗期は家庭内のみで見られ、外では変わらずお利口さん……という場合が多いそうですね。実は、アトリエで反抗期を感じるのも、付き合いの長い子が多いんです。「さては私に心を許しているんだな!」とまたも都合よく解釈し、そんな時期すら楽しんでいます。

1~2ヵ月も経てば表情も穏やかになりますから、にこにこ話しかけてくるのを待つだけです。

アートワーク④「光をたのしむ透かし切り絵」

今回ご紹介する「透かし切り絵」は、そんなプチ反抗期にもおすすめです。ツルツルと扱いづらい素材にハサミを入れるというある程度の難しさは、制作に没頭でき心が落ち着くようです。仕上がりは美しく、窓に飾れば差し込む光にまで癒やされます♪

アトリエでは、四季折々の光や影をたのしむアートワークがたくさんあります。

今回はハサミの扱いに難しさはあるものの、年齢に応じた楽しみ方ができるはずです。幼年さんは単純な形にザクザク切って配置するだけでもOK。完成した作品はとてもきれいで人気課題のひとつです。

左)透かし切り絵の試作品  写真/こどもアトリエ みかづき
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【用意するもの】

●手貼りラミネートフィルム(またはクリアファイル。白濁していないもの)
●透明おりがみ(またはカラーセロハン)
●ハサミ
●白い紙(作業中の敷き紙)

フィルム素材の透明おりがみは100均でも手に入ります。 写真/こどもアトリエみかづき

1.  作品テーマを考える
10歳以上はどんな作品にするか、考えてから始めよう!「春の野原」「海の中」など。白い紙の上で作業をすると、透明おりがみの色や形がわかりやすい。

2.  透明おりがみを好みの形に切る
絵を描くように、おりがみをハサミで切る。花の飾り切りをする場合は、透明おりがみがずれないよう、洗濯バサミでとめながら(写真)切り込みを入れていくと良い。

3.  重ねながら配置する
色の重なりを楽しめるよう、おりがみの一部が重なり合うように配置する。赤と黄が重なる部分はオレンジ色に見える=色数が増える。ラミネートフィルムに貼る際は大きいサイズほどシワになりやすいので注意して。

【ポイント】

・幼年は、複雑な形に切ることは難しいので、四角や三角、長細く切るだけでもOK。小さな切り込みを入れてあげれば手で割くこともできます。

・おりがみは少し重なるよう配置し、混色を楽しんでください。

・ハサミの扱いには十分お気をつけください。    

Photo4-4 いつも迷いなく創作する猫好き女児の作品、透かし切り絵『おいしそうだにゃ〜』。まさかの猫のエサ! 写真/こどもアトリエ みかづき

♦あじとみあつこ
1978年生まれ。千葉県松戸市在住。大阪芸術大学デザイン学科中退後、美大受験予備校講師などを経て、雑誌編集、イラスト・デザイン制作に携わる。2017年より造形絵画教室『こどもアトリエ みかづき』を運営。
https://www.ajitomiatsuko.net

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