人気FPが教える マネーリテラシーを養う「おこづかいのあげ方」5つのルール

節約アドバイザー・丸山晴美の「小学校までに身につけさせたい! お金に強い子になる教え」第3回

丸山 晴美

節約アドバイザー・丸山晴美さんは息子が年長ぐらいからおこづかいを与えてきたという。
写真:yamasan/イメージマート
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子どもは年中や年長になってくる頃から、徐々にお金への興味がわいてきます。中には、早くも年少の頃からおこづかいを渡しているというパパママもいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで気になるのが、おこづかいのあげ方。いつから、どれくらいの金額をどうやって与えたらよいのか。2021年に小学6年生になった一人息子を育てる節約アドバイザーの丸山晴美さんに、ご自身の経験から、おこづかいにまつわる5つのルールを教えていただきました。

【ルール1】お手伝いにおだちんをあげるのはNG

「おこづかいデビュー」の時期やその方法については、悩みどころですよね。お子さんが「〇〇ちゃんはもらっているから、私もほしい!」と言ってきたら、自分もあげたほうがいいのか。あるいは家のお手伝いをしてくれたら、その都度渡す方法がいいのか。揺らぐ気持ちもわかります。

ここはしっかりと、お子さんの様子を見ながら「いつから、どうやって、いくら渡すべきか」のルールを作っておきましょう。ここから先は、私の体験や考えをお話しします。よかったらみなさんのルールづくりヒントにしてください。

親御さんの中には、食器洗いや風呂掃除などのお手伝いの対価としておこづかいをあげる方がいます。ただ、わが家では「お手伝いのおだちんとしてお金をあげる」ということはしませんでした。

「最初にお金をあげたら、お金をあげないと動けない子になるのではないか? 成長してお手伝いの範囲が増えると、それに比例して要求する金額も大きくなるのでは?」と、考えたからです。

それに、家事をするのは生きる上で当たり前のこと。食器洗いをしてお金が発生するのって、どうなのかしら――?

いろいろ考えた結果、息子が7歳の頃、家事手伝いでおこづかいをねだられ、笑顔でこう返しました。
「ごみを出してくれたり、お皿を運んでくれたりするのはとってもうれしいし、ありがたいよ。でもね。それって私たちが生活していく中で、当たり前にやることなんだよ。当たり前なことでお金が発生するのはおかしいよね?」

「えっ……」

意外な返しを受けて、言葉に詰まっている息子に、さらにこう重ねました。
「じゃあお母さんが料理を作ったら、あなたは私にお金をくれるの? 毎回ご飯を作ったらお金をもらえるって、すっごくうれしいな。そしたらお母さん、すごくお金持ちになれるもんね♪」

このやりとりを何度か繰り返した結果、息子はだんだん、家事でお金はもらえないものだと理解していきました。この方法が「正解」だったか分かりませんが、今となっては何も要求せず、自分のことはもちろん、家の家事まで無償でやるようになりました。さらに外出時には、「何かゴミ捨て場に持っていくゴミはない?」「ついでに買い物してくるものはない?」などと聞く、気の利く男に成長しています。

【ルール2】テストが良くてもおこづかいはあげない。でも 「がんばったご褒美」はOK

テストで良い点を取ったときに、ご褒美としておこづかいをあげるご家庭もあるでしょう。ただ、私はそれもNGとしました。高得点を取ったときに限っておこづかいをあげると、悪い点数のテストを見せてくれなくなると思ったからです。

親としてはできないところを知りたいから、隠されたら困る。だから、日頃から「良いテストも悪いテストもちゃんと見せてね」と言っています。

ただし、特別な「努力」へのご褒美はOKとしています。

例えば最近では、息子が漢字検定に受かったときにご褒美として、チェーン系焼き肉店に連れていきました。学校で年に1回漢字検定があり、全員が受験するんです。これに落ちると、息子が自信をなくすと考え、事前に「受かったら焼き肉屋に行こう」と約束。ここぞというときは、モノやごちそうで釣ってでも、努力してもらった方がいいと判断したんです。

結果、とてもがんばって勉強し、無事合格。ご褒美の焼き肉をほおばった彼の満面の笑みは本当に幸せそうで、今でも目に焼き付いています。私の場合は漢字検定でしたが、例えば受験とか、模試とかで釣るのもありかもしれません。

スペシャルな合格に向けてのご褒美設定と、普段のテストの高得点でおだちんをあげることは、似ているようで、少しだけ違います。やる気スイッチを入れるために報酬で釣る方法は、行動を起こしてもらうための起爆剤でもあり、モチベーション維持でもあり「年1回だけ」という特別感もあります。

ただし、子どもの性格によっては使い分けを。そもそもやる気のある子どもなら、その必要はないでしょうし、日常的に外食へ行っている場合、やる気スイッチが入りにくいかも知れません。知人に、大学受験に合格したら「一人で思いっきり赤福を食べられる権利」をもらってうれしかったという人もいましたので、人それぞれですね。

【ルール3】おこづかいは管理できる範囲で少しずつあげる

では、おこづかいはいつからどう与えるのが効果的なのか。私の場合、息子が年長になって、お金に興味が出てきた頃から少しずつあげていました。

もちろん、未就学児ならおこづかいをあげないというご家庭も多いでしょう。それは各ご家庭の判断にお任せするとして、お子さんがお金に興味を持ったらおこづかいを与えてもいいと考えています。金額は、1週間で100円ぐらいが相場でしょうか。月単位であげる方法は、まだ管理が難しいかもしれません。週単位で渡して、「好きに使ってもいいし、そのまま貯めてまとまったお金でもっと大きなものが買えるよ」と教えるとよいでしょう。大人でも、一気に使ってしまうのを防止するために、生活費を5週に分けて、週ごとに管理をする人もいますから。

【ルール4】幼いうちにお金の失敗を経験させる

おこづかいをもらったら、うれしくてすぐ使いたくなるのが小さな子ども。渡したその日に全額を使い果たそうとする子どもを見て、ハラハラする親御さんもいらっしゃるでしょう。「今それを買うと、今度、他のものが買えなくなるから、やめておいたら?」と、目に見える失敗を防ごうとする気持ちはわかります。

ですが、その言葉をぐっと飲みこんで、見守るのも親の務め。あえて失敗をさせるのも貴重な経験なのです。
そうすると、例えばあとから他のものが欲しくなったとき、こうしたやりとりにつながるかもしれません。

「あのとき50円のお菓子を買って、うれしかったよね。でも、持っていた50円を全部使っちゃったから、今日は何も買えなかった。どうしたらよかったのかなあ?」
その場では答えが出なくても、のちに本人が「もしかして一回で使う金額が少ない方が、買えるものが増えたのかな?」と気づいてくれたら、大成功!

こうした経験を重ねて、子どもは限りあるお金をどう使ったら自分にとって得なのか、学んでいくのです。失敗は成功のもと。なぜそうなったのかを考えさせ、しっかりとフォローしていけば、節約エリートに育っていきます。

もし子どもの方から、「これを買いたいんだけどどう思う?」と聞かれたら、「お母さんだったらこうするかな」「お母さんはこう考えるけど、それが正解というわけではないよ」などと、押しつけずにアドバイスしてもいいでしょう。

【ルール5】子どもが自分で買ったおもちゃは残しておく

2021年4月で小学校6年生になった息子は、本人が幼い頃に買ったおもちゃを見て、「何でこんなの買ったんだろう。これ全部、お金だったんだな。俺、結構無駄づかいしてきたな。何してたんだろう」と過去の自分に腹を立てています。成長した証ですね。

そんな彼に、私はこう話します。
「これは『ほしい』って言って買ったよね。今はどうして使ってないの? それでも新しいおもちゃがほしいのかな?」

あるいは、
「でもあのとき楽しかったんだから、それはそれでいい買い物だったんじゃない? おもちゃも、今こうやって使ってないけれど、また売るっていう方法もあるよね。もしかしたら20年後にプレミアがつくかもしれないし」

すると息子は、「そうか、中古で売ればいいのか」と、新たな気づきを得つつ、お金の使い方を考え直すきっかけにもなります。そう思えば、結果論ですが、多少スペースをさいてでもおもちゃ箱を置いておいたことに後悔はありません。過去の経験から学ぶことができるからです。

経験を生かすも殺すも、親の言葉のかけ方次第。お金の教育においても、やはり親子のコミュニケーションが不可欠だと思います。

構成/桜田容子

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まるやま はるみ

丸山 晴美

Harumi Maruyama
ファイナンシャル・プランナー

1974年、新潟県生まれ。東京でフリーターをしていた21歳のときに「家を買おう!」と思い立ち、会社員となり、頭金を貯め始める。それから5年後、コンビニエンスストアで店長をしていた26歳のときにマンションを購入。 少ない収入で一人暮らしをしながら貯蓄してきた経験をいかし、2001年に節約アドバイザーになる。同年、アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー(AFP)に合格。 2002年に通信制の放送大学教養学部教養学科に入学し、「生活と福祉」から「心理と教育」コースまで多ジャンルな科目を受講。現在も大学に籍を置きながら学びを継続している。 保有資格は秘書検定2級、調理師免許、FP技能士2級、ジュニア食育マイスター、宅地建物取引士(登録)、認定心理士、ITパスポート、家庭の省エネエキスパート検定合格など多数。プライベートでは、2016年からシングルマザーに。 著書や監修書も多く、最近では「お金を活かす ハッピーエンディングノート」(東京新聞)を監修。

1974年、新潟県生まれ。東京でフリーターをしていた21歳のときに「家を買おう!」と思い立ち、会社員となり、頭金を貯め始める。それから5年後、コンビニエンスストアで店長をしていた26歳のときにマンションを購入。 少ない収入で一人暮らしをしながら貯蓄してきた経験をいかし、2001年に節約アドバイザーになる。同年、アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー(AFP)に合格。 2002年に通信制の放送大学教養学部教養学科に入学し、「生活と福祉」から「心理と教育」コースまで多ジャンルな科目を受講。現在も大学に籍を置きながら学びを継続している。 保有資格は秘書検定2級、調理師免許、FP技能士2級、ジュニア食育マイスター、宅地建物取引士(登録)、認定心理士、ITパスポート、家庭の省エネエキスパート検定合格など多数。プライベートでは、2016年からシングルマザーに。 著書や監修書も多く、最近では「お金を活かす ハッピーエンディングノート」(東京新聞)を監修。