
予想外「0歳児の集中力」! 東京都が推進 幼稚園・保育園の「探究活動」で先生の「子ども観」が激変!
乳幼児からの探究 東京都の実践 #2 乳児の探究活動とは (2/3) 1ページ目に戻る
2026.03.28
0歳児が30分夢中になった「光と水の探究」
──「すくわくプログラム」では、0~1歳児の探究活動も支援しています。乳児の「探究」はどのように行うのでしょうか。
東大CEDEP浅井先生(以下浅井):0歳や1歳児は言葉こそあまり発しませんが、手、足、耳、目、声など全身を使って対象と向き合い、さまざまなことを感じ取ります。そして、自分が発見したことを表情や声、しぐさで表現していくんです。
ある園の0歳児クラスでは、水遊びのときに、水面に反射した光に子どもたちが気づき関心を寄せていたことから、「光と水の探究」を行いました。テラスに白い布を敷き、その上に水を入れた水槽を用意して、活動をスタートさせました。
子どもたちは、外から眺めたり、水槽の中に手を入れたり、それぞれのやり方で探究を始めます。その様子を何となく眺めているだけだと、ただ水遊びしているように見えるかもしれません。しかし、子どもと同じ視点からじっくり観察すれば、水面の揺れや光の反射に真剣に向き合っていることに気づくでしょう。自分の指を動かすたびに水の揺らぎが変わること、水滴が落ちた瞬間の水面の波紋など、子どもたちは多くの発見をしています。
東京都・鳥井氏(以下鳥井):乳児だからこそ、一人ひとりの反応の違いがはっきり見える面もありますよね。最初から積極的な子もいれば、少しずつ水槽に近づいてくる子もいる。個性があるのだと実感します。
浅井:そうですね。この探究活動でも、子どもの個性や興味の持ち方の違いが出ていました。2回目の探究活動で水槽を屋内に移したとき、前回はじっと見つめていたけれどほとんど手が出なかった子が、ものすごい集中力を発揮した、ということがありました。
ペットボトルを水の中に入れて浮き上がってくるときの「ぶくぶくぶく」という音が、その子の琴線に触れたのでしょう。なんとそのあと約30分間、繰り返しペットボトルを沈め、泡が出てくる様子を確認していました。集中して何度も試しながら水と音に向き合う姿は、探究そのものです。
「子どもの発見」に意識を向ける
──0歳の赤ちゃんが30分も集中するとは、驚きです。
浅井:何かを発見したときの子どもたちの表情は、普段とは少し違っています。先ほどの子は「ぶくぶく」という音を聴くと、なんともいえない顔で「にぱーっ」と笑うんです。私たち研究者もそうした子どもの姿に魅了されますし、探究活動を実践する先生がたのモチベーションにもなっていると感じます。
鳥井:担任の先生が、「子どもの言葉が聴こえた気がした」と話していたのが印象的でした。
──乳児と幼児の探究活動で、先生の関わり方は変わるのでしょうか。
浅井:子どもの発見を先回りしない、反対に見守るだけでなく適切な働きかけをするなど、基本的な姿勢は変わりません。あえて違いをあげるとすれば、乳児は発見を言葉で説明することはありませんから、それ以外の身体の「言葉」をより注意深く観察し、心を寄せていくことが求められます。
その点、園の先生がたは「子どもの姿を見るプロ」だとつくづく実感しますね。「あの子はこんなふうに活動するんだ」「前回とは違う反応だな」といった具合に、細かい部分も見逃しません。探究活動で大切なのは、子どもの興味や関心がどこにあるのかを観察することですから、先生がたの専門性が生きると感じています。
──反対に、先生がたが「難しい」と感じる点はありますか。
浅井:最初は戸惑う部分もあると思います。先生がたが日常生活で子どもと接するときは、子どもが何を願っているか、どんなことをしたいのかを察知して、遊びが広がるように支援していると感じます。しかし探究活動では、「子どもが何を発見しているのか」に意識を向けることが重要です。
再び水の探究の子の例でお話しすると、日常保育の遊びの場合、先生はすぐに「この子は泡を作りたいんだ」と考え、いろいろな泡を作れるようにするかもしれません。
一方で、探究活動では時間をかけてその子を観察します。すると、気泡が出てくる様子をじっくり眺め、弾けた瞬間に「にぱっ」と笑っていることに気づきます。「泡の動き」、あるいは「泡の音」に興味を持っているようだととらえて光の当て方や水の量を調整するなど、子どもが気になっていることを探索できるように、環境を整えていきます。
そうすると、先生も泡の動きや音に気づき、子どもたちと経験を共有することができます。先生と子どもたちは、一緒に探究をつくっていく関係なのです。
































