
予想外「0歳児の集中力」! 東京都が推進 幼稚園・保育園の「探究活動」で先生の「子ども観」が激変!
乳幼児からの探究 東京都の実践 #2 乳児の探究活動とは (3/3) 1ページ目に戻る
2026.03.28
探究活動で「手がかかる子」の意外な一面が見えてくる
──探究活動をすることで、子どもたちの様子に変化はありましたか。
浅井:子どもたち自体が変わったというよりは、「それまでは見えなかった面が現れてきた」という感覚です。これは幼児クラスでの実践ですが、先生がたや周りにとって手がかかると思われていた子たちが、探究活動になるとものすごい集中力を発揮する、といったことが複数の園で起こりました。
私たちはそういう子たちを、「開拓者」と呼んでいます。普段は先生たちが心配している子も、どんどん新しい発見をして、他の子たちの探究にも寄与していくのです。
ある園では、落ち着きがないと思われていた子が夢中で探究に取り組み、1時間も集中して絵を描きました。先生たちは驚き、おおいに感動したんです。先生たちは、それを保護者にも共有したいと考え、展覧会の実施を発案しました。
この一連の出来事を目の当たりにした園長先生は、「自分は子どもたちの持つ力も、先生たちの専門性も見逃していた」と話していました。
園長先生は当初、「先生がたには負担が大きく、やりたがらないのでは」と思っていたそうです。でも、実際に取り組んだら、子どもたちは存分に集中力を発揮し、先生は子どもの様子をよく観察してやりがいを見出しました。探究活動によって各々の力に改めて気づけたと、うれしそうに語ってくれました。
鳥井:ベータ版プログラム(都全域での支援前の2023年度に専門家が支援して実践)に参加した14園の先生を対象としたアンケートでも、「探究活動で子どもの姿に驚いたことがある」という回答が93%もありました(「(驚いたことが)頻繁にあった」「ややあった」の合計値)。さらに、「子どもへの理解・見方、とらえ方が変わった」と感じた先生も83%と、非常に多くなっています(「大変変わった」「やや変わった」の合計値)。
探究活動は先生がたの日常保育にも影響を与えたようで、「以前よりも子どもたちの声や疑問に耳を傾けるようになり、こんな考えをしていたのかと驚くことが増えた」「普段の保育でも子どもたちの意見を求めることが増えたように思う。その結果、子どもたちが自らの希望や意見をいうのが『当たり前』になってきた」といった声がたくさん届いたのです。
浅井:先生がたが子どもの知性に気づいたのですね。探究活動では、子どもが持っている知性、学ぶ力を存分に発揮できる環境を創っていきますから、それまで見えなかった子どもの姿が見えてきます。それによって、大人の「子どもへの接し方」が変わる。探究活動は、大人の行動を変える力も秘めていることがわかるでしょう。
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探究活動が広がる一方で、その「質」をどう高めていくかが課題です。第3回は、探究活動をさらに広げ、質を高めるための取り組みや、小学校への接続、家庭でできることについてうかがいます。
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【浅井幸子プロフィール】
東京大学大学院教育学研究科教授、CEDEPセンター長。著書に『アトリエからはじまる「探究」─日本におけるレッジョ・インスパイアの乳幼児教育』(共編著)中央法規出版2023年、『「保育の質」を超えて─「評価」のオルタナティブを探る』(監訳)ミネルヴァ書房2022年、等。
取材・文 川崎ちづる
【乳幼児からの探究 東京都の実践】の連載は、全3回。
第1回を読む。
第3回を読む/3月29日からリンク有効。
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川崎 ちづる
ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。
ライター。東京都内で2人の子育て中(2014年生まれ、2019年生まれ)。環境や地域活性化関連の業務に長く携わり、その後ライターへ転身。経験を活かし、環境教育や各種オルタナティブ関連の記事などを執筆している。WEBコラムの他、環境系企業や教育機関などのPR記事も担当。