「怒りっぽい・転びやすい」5歳児が変わった! 子どもの情緒と運動・姿勢の深いつながりとは?[専門家が監修]

理学療法士・池上悠さんインタビュー#2「情緒と“姿勢のクセ”の意外な関係」 (3/3) 1ページ目に戻る

理学療法士・アスレティックトレーナー:池上 悠

「当初はお母さんのみ取り組んでいましたが、子どもの変化を実感するようになってからは、お父さんもレッスンを見学するようになりました。

お父さんも『できた・できない』でとらえがちでしたが、やがて『チャレンジしたことを評価する』という視点を親子で共有できるようになると、子どもの成長のスピードもさらに上がっていきましたね」(池上さん)

良い姿勢が情緒面にも影響する理由

身体の使い方を整えることによる変化は、単に姿勢や動きの改善だけではありません。

「身体は、筋肉や骨格だけでなく、呼吸や血流、内臓、自律神経などが“チーム”のように一体となって働いており、その連携によって成長や神経の発達が促されています。

身体を整えるうえでの基本は『姿勢』と『体幹』です。良い姿勢とは、『リラックスした状態で自然にまっすぐ立てる』こと。

姿勢が整い、自然に胸が開いた状態になると、呼吸が深くなって酸素が取り込みやすいだけでなく、内臓も本来の位置で働きやすくなります。

すると、食べたものをエネルギーへ変える働きや、自律神経のバランスも整いやすくなり、身体全体のシステムが機能しやすくなるんです」(池上さん)

反対に、身体全体の働きがうまく巡らない状態では、疲れやストレスを溜め込みやすくなります。すぐに怒ったり泣いたりする背景には、呼吸や血流、神経の働きなど“身体の中の通り道”がとどこおり、感情やエネルギーの出口がうまく作れなくなっている状態にあると考えられます。

「例えば、『頭に血がのぼる』という表現がありますが、感情が高ぶると顔が赤くなったり、身体が熱くなったりするように、身体と感情は密接につながっているのです」(池上さん)

姿勢づくりの土台となる体幹を鍛える「四つばい運動」。身体を安定させながら手足を使って歩くことで全身をスムーズに動かす力が育つ。  写真提供:池上悠
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池上さんによると、“身体の中の通り道”がスムーズになると、神経からの信号も伝わりやすくなり、身体の感覚入力や反応の偏りも整いやすくなるといいます。

脳にも必要なエネルギーが届きやすくなることで、過剰な感覚反応や興奮状態が落ち着き、集中力や認知面、感情面にも好影響が広がっていくのです。

池上さんのアプローチは、いわゆる「運動療育」とも少し異なります。

運動療育とは、発達障害や日常生活での困りごとに対し、運動を通じて改善を目指すアプローチです。一方、池上さんが重視しているのは、すべての子どもに共通する“身体の土台づくり”だといいます。

「身体を支える、手足を動かす、歩く、走る──。人であれば共通して必要な“土台”があります。まずは、その土台である『姿勢』と『体幹』、手足の協調性などの『身体の使い方』を整えて、身体全体がスムーズに働きやすい状態をつくることを目指しています」(池上さん)

実際に運動に取り組んだ家庭からは、「集中力が上がった」「自分から新しいことに挑戦するようになった」「友達に話しかけるようになった」など、さまざまな変化の声が寄せられています。

「なかには『続けることが大切だよね』と自ら言う子もいますね(笑)。子どもはとても敏感なので、自分の中の変化もしっかり感じ取っています」(池上さん)

こうした身体づくりは、自宅でも簡単に取り入れることができます。

次回は、週1回から道具なしで始められるおうち遊びを紹介。姿勢づくりのベースになる体幹運動や、「感情的・衝動的になりやすい」「コミュニケーションが苦手」といった悩み別の具体的な遊び、関わり方のコツを伺います。

取材・文/稲葉美映子

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池上 悠さんの本

医療資格(理学療法士)と運動資格(アスレティックトレーナー)を併せ持つ池上悠氏の著書『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。子どもの気になる言動の根本的な改善を目指す新しいメソッドを提唱。

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価格:定価:本体1400円(税別)

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池上 悠
いけがみ ゆう

池上 悠

YU IKEGAMI
理学療法士・アスレティックトレーナー

北里大学卒業後、整形外科クリニックにて幼児から高齢者までの治療・リハビリテーションを経験。並行して、大手フィットネスジムでのパーソナルトレーニング指導や、スポーツチームでのリハビリテーションサポートを行う。2020年、医療知識とスポーツ知識を活かした整体×パーソナルトレーニングの店舗を渋谷区に開業。 都内保育園にて、ケガ予防や身体の土台作りの運動指導レッスンを実施。現在は、発達障害の診断がある、または発達が気になる子どもや、スポーツに励む学生にパーソナルレッスンを行っている。0歳から高齢者まで、累計5000人以上、延べ3万件を超える発育・運動サポート実績がある。 著書に『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。 https://amzn.to/4dIZQb3 【Official Site】 https://yu-ikegami.com/

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北里大学卒業後、整形外科クリニックにて幼児から高齢者までの治療・リハビリテーションを経験。並行して、大手フィットネスジムでのパーソナルトレーニング指導や、スポーツチームでのリハビリテーションサポートを行う。2020年、医療知識とスポーツ知識を活かした整体×パーソナルトレーニングの店舗を渋谷区に開業。 都内保育園にて、ケガ予防や身体の土台作りの運動指導レッスンを実施。現在は、発達障害の診断がある、または発達が気になる子どもや、スポーツに励む学生にパーソナルレッスンを行っている。0歳から高齢者まで、累計5000人以上、延べ3万件を超える発育・運動サポート実績がある。 著書に『子どもの気になる言動が改善する からだの使い方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。 https://amzn.to/4dIZQb3 【Official Site】 https://yu-ikegami.com/

稲葉 美映子
いなば みおこ

稲葉 美映子

ライター

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。