あなたは、親密な関係の人といっしょににいるとき、嫌なのにNOと言えなくてモヤモヤしたり、傷ついたり、相手を怖いと感じたことはありますか?
それは、「バウンダリー」が侵害されている状況かもしれません。
「わたしはわたし、あなたはあなた」
このように、「自分と他人を区別する心の境界線」のことを、心理学や精神医療の分野ではバウンダリーといいます。バウンダリー(境界線)は、家族や恋人など、ごく親しい関係の間にも存在しています。
「デートDV・性的不同意」など、親密な関係で起きるバウンダリー侵害について、精神保健福祉士・スクールソーシャルワーカーの鴻巣麻里香(こうのす・まりか)さんに教えていただきました。
【この記事は「心を守るバウンダリー」について伺った第1回、「SNSとバウンダリー」について伺った第2回に続く、〔親子で考える「バウンダリー」〕連載の最終回です】
体の暴力だけがDVではない
デートDVには、殴る・蹴るといった身体的暴力だけではなく、心を傷つけることをする・言うといった精神的な暴力も含まれています。
内閣府の調査(※)によると、「18歳以上で交際経験」がある人のうち、女性の22.7%、男性の12.0%が、“身体的暴行”“心理的攻撃”“経済的圧迫”“性的強要”のいずれかの被害を受けたことがある、と回答しています。デートDVの被害は、決して珍しいことではないのです。
(※内閣府 令和5年度「男女間における暴力に関する調査」)
実際に、どんなシチュエーションで起こるのでしょうか。
高校生のCさんのケースを見てみましょう。