10代のデートDV被害「心を守る」知識「4つのF」精神保健師・鴻巣麻里香さんインタビュー

親子で考える「バウンダリー」③デートDVと二次被害

永見 薫

精神保健福祉士・スクールソーシャルワーカーで、『わたしはわたし。あなたじゃない。 10代の心を守る境界線「バウンダリー」の引き方』の著者・鴻巣麻里香さん
すべての画像を見る(全5枚)

あなたは、親密な関係の人といっしょににいるとき、嫌なのにNOと言えなくてモヤモヤしたり、傷ついたり、相手を怖いと感じたことはありますか?

それは、「バウンダリー」が侵害されている状況かもしれません。

「わたしはわたし、あなたはあなた」

このように、「自分と他人を区別する心の境界線」のことを、心理学や精神医療の分野ではバウンダリーといいます。バウンダリー(境界線)は、家族や恋人など、ごく親しい関係の間にも存在しています。

「デートDV・性的不同意」など、親密な関係で起きるバウンダリー侵害について、精神保健福祉士・スクールソーシャルワーカーの鴻巣麻里香(こうのす・まりか)さんに教えていただきました。

【この記事は「心を守るバウンダリー」について伺った第1回、「SNSとバウンダリー」について伺った第2回に続く、〔親子で考える「バウンダリー」〕連載の最終回です】

体の暴力だけがDVではない

デートDVには、殴る・蹴るといった身体的暴力だけではなく、心を傷つけることをする・言うといった精神的な暴力も含まれています。

内閣府の調査(※)によると、「18歳以上で交際経験」がある人のうち、女性の22.7%、男性の12.0%が、“身体的暴行”“心理的攻撃”“経済的圧迫”“性的強要”のいずれかの被害を受けたことがある、と回答しています。デートDVの被害は、決して珍しいことではないのです。

(※内閣府 令和5年度「男女間における暴力に関する調査」)

実際に、どんなシチュエーションで起こるのでしょうか。

高校生のCさんのケースを見てみましょう。

次のページへ 夏休み、彼氏の部屋に行ったとき…
32 件