ナプキンの捨て方までを徹底解説! 誰も教えてくれない「みんなのための生理情報」

10代の子と親が知っておきたい「性」の新知識 #2~生理にまつわるウソ・ホント編~

医療ライター:及川 夕子

男女ともに生理に関する正しい知識を得ることで、「生理中のセックスは妊娠しないから、避妊しなくていい」などの誤情報を鵜吞みにすることも避けられると言います。  写真:アフロ
すべての画像を見る(全7枚)

生理について、お子さんとどの程度話をしていますか。子どもが男の子のみの場合、生理については話していないというご家庭も多いのではないでしょうか。

2022年11月発売の性教育本『はたらく細胞LADY 10代女性が知っておきたい「性」の新知識』の著者で、医療ライターの及川夕子(おいかわ・ゆうこ)さんは、生理に関する正しい知識を知ることは、性別を問わず必要だといいます。

親子にとっての性教育自習本ともいうべき本書の内容を紐解きながら、生理の誤情報や、男の子も生理のことを知っておくべき理由を及川さんに教えてもらいます。

※2回目(#1を読む)

及川夕子(おいかわ・ゆうこ)PROFILE
医療ライター。新聞社勤務を経て、記事の企画、編集、執筆を手がけるフリーランスに。近年は、女性の美容&ヘルスケア、医療を中心に活動。

著者で医療ライターの及川夕子さん。HPVワクチンや性暴力などの社会課題に取り組んでいます。  Zoom取材にて

ナプキンのテープ面を自分に貼っていた

本書によると、初めての生理である初経(初潮)を迎える平均年齢が10歳~13歳ごろ。初経が近づくと、胸がふくらむ、パンツにおりものがつく、身長が急に伸びるなど、体のサインが表れ、これらは家庭で生理用品の準備をする目安の一つです。

本書には生理の仕組みから生理用品の選び方、ナプキンの付け方など、これから初経を迎える女の子はもちろん、大人が読んでも参考になる情報ばかり。この細かく具体的な内容は、著者で医療ライターの及川夕子(おいかわ・ゆうこ)さんの実体験もヒントになっていると言います。

「本を読んだ友達からは、『ナプキンの捨て方まで載っているんだ』と驚かれました。実は私、子どものころにナプキンの使い方や捨て方をしっかり教わってなかったんです。

だから初経が来たときにどうしていいかわからなくて。本来はショーツ側に貼るテープ面を自分の肌側に貼ってしまい、恥ずかしい思いをしたことがありました」(及川さん)

生理のメカニズムをイラストとテキストでわかりやすく解説しています。  引用:『はたらく細胞LADY 10代女性が知っておきたい「性」の新知識』(講談社)より

最近は、従来のナプキンやタンポンに加え、吸水サニタリーショーツや月経カップなど生理用品が多様化しています。選択肢が増えるのはうれしい反面、どれを使ったらいいか悩ましくなることも。

本書では、それぞれの説明とメリット・デメリットを一覧表でわかりやすく解説しています。たとえば、「ナプキンは種類が多く使い捨てで気軽に使えるけど、ズレなどの心配がある」「月経カップは漏れにくく繰り返し使える良さがある反面、値段が高く、煮沸消毒が必要などのデメリットがある」といいます。価格帯も判断のポイントになりそうです。

「生理用品といっても、価格や使い心地などはそれぞれ異なるので、人によって合う・合わないはあると思います。一覧表を参考にしてもらい、自分に合いそうな生理用品を選んだり、生理の時期やシーンによって使い分けたりするといいですね」(及川さん)

トイレに流せるものや履くだけでいいものなど、生理用品が多様化していることがわかります。  引用:『はたらく細胞LADY 10代女性が知っておきたい「性」の新知識』(講談社)より

ウソかホントか生理にまつわるウワサの真相

「生理と月の満ち欠けが関係あるってホント?」
「生理がうつるってホント?」

ママパパの中には、このような生理にまつわるウワサを聞いたことがある方もいるでしょう。これらの真相について、擬人化した細胞キャラクターたちが答えています。

前述した「生理と月の満ち欠けが関係あるってホント?」に関しては、「迷信です」、「生理がうつるってホント?」についても「迷信です」と一刀両断するのが心強い限り。

「この箇所は、間違った情報を信じないでほしいという願いを込めて入れました。私が医療ライターとして常に感じているのが、正しい知識を持つことの大切さです。

書き手が正しい知識を持っていないと、生理と月の満ち欠けを関連づけてしまうような誤った記事が平気で世の中に出てしまう。そういう例をいくつも見てきました。

また、メディアが科学的なエビデンスのないネガティブ情報を発信することで、『ピルは気になるけど、やっぱりこわいからやめておこう』と避けてしまう人もいます」(及川さん)

本書では産婦人科医の高橋幸子医師監修のもと、ピルが月経困難症や子宮内膜症の治療に使われていること、ニキビの改善にも役立っていることが述べられています。

「『薬を飲みすぎるとクセになるから』というように、親御さんが薬に対してネガティブなイメージを持っていると、お子さんが生理痛のときも鎮痛剤の服用を避けるケースもあります。

鎮痛剤は痛み始めたときに飲むことで効果が出やすいので、すぐに飲んだほうがいいですし、それでも痛みがつらければ、婦人科に相談していい。生理痛を我慢しなくていいと伝えています」(及川さん)

月の満ち欠けや子宮の冷えなど、生理や女性の体にまつわる科学的根拠のない誤情報を細胞キャラクターたちがズバリ教えてくれます。  引用:『はたらく細胞LADY 10代女性が知っておきたい「性」の新知識』(講談社)より
次のページへ なぜ男児にも生理を教える必要があるのか
18 件