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摂食障害は子どもにも増加 命をおびやかす「神経性やせ症」(拒食症)の現実とは[専門医が解説]
#1子どもの摂食障害「神経性やせ症」~増加の背景と原因~
2025.08.09
内科医・一般社団法人日本摂食障害協会理事長:鈴木 眞理
神経性やせ症に対する社会の誤解
──神経性やせ症が遺伝要因も大きいとは初めて知りました。親や社会の理解は追いついているのでしょうか?
鈴木先生:日本摂食障害協会によるアンケートから、摂食障害には多くの誤解や偏見が根強く存在していることが分かっています。
神経性やせ症の要因は遺伝などが大きいにもかかわらず、「摂食障害はダイエットが原因だ」と考えている人は約68%います。また、「母親の育て方が関係している」と認識している人も約21%います。

こうした誤解によって、「子どもが神経性やせ症だと周囲に言えなかった」と話す保護者も少なくありません。また、母親自身が「自分の育て方が悪かったのでは」と自分を責めてしまうケースも多いです。そのため、症状を抱える子どもたちは、社会の中で“見えない存在”になりがちです。
ひとりでも多くの子どもが適切な支援につながるように、神経性やせ症への理解を社会全体で深めていくことが求められています。
────◆────◆────
次回は、実際に神経性やせ症を経験した子どもたちのケースを通して、「身体や心にどのような影響があるのか」に迫ります。“命にかかわる病”であることが、よりリアルに見えてくるはずです。
取材・文/牧野未衣菜
〈参考〉
・2021年度コロナ禍の子どもの心の実態調査 摂食障害の「神経性やせ症」がコロナ禍で増加したまま高止まり/国立成育医療研究センター
https://www.ncchd.go.jp/press/2022/1117.html?utm_source=chatgpt.com
・「神経性やせ症」はコロナ前より依然高い水準に留まる 「希死念慮」の初診外来患者数は、コロナ前の約1.6倍に ~2022年度コロナ禍の子どもの心の実態調査~/国立成育医療研究センター
https://www.ncchd.go.jp/press/2023/1114.html?utm_source=chatgpt.com
・日本においても神経性やせ症の若年患者がCOVID-19流行後に増加に転じたことを実証/東邦大学(2025年3月)
https://www.toho-u.ac.jp/press/2024_index/20250317-1469.html?utm_source=chatgpt.com
おすすめの本はこちら
鈴木眞理先生の監修『摂食障害がわかる本 思春期の拒食症、過食症に向き合う』(講談社)。思春期に多い拒食症や過食症について、原因から治療、家族や学校の対応までをイラストとともにやさしく解説。摂食障害が「心の問題が食に現れた病気」であることを軸に、本人の心理や回復のプロセス、家族ができる関わり方を丁寧に紹介しています。「もしかして……」と感じたとき、周囲の理解と支援の第一歩となる一冊です。

●鈴木眞理(すずき まり)PROFILE
内科医・医学博士。長崎大学卒業後、元・跡見学園女子大学心理学部臨床心理学科特任教授。政策研究大学院大学名誉教授。現在、一般社団法人日本摂食障害協会理事長。
連載は全3回 (※公開時よりリンク有効)

牧野 未衣菜
1992年生まれ、千葉県出身。子育てや教育関係を中心に、フリーランスライターとして活動中。 また、教育NPOでユーススタッフとして子どもの支援活動にも携わる。現在は二児(姉妹)の母として、育児にも奮闘中。
1992年生まれ、千葉県出身。子育てや教育関係を中心に、フリーランスライターとして活動中。 また、教育NPOでユーススタッフとして子どもの支援活動にも携わる。現在は二児(姉妹)の母として、育児にも奮闘中。
鈴木 眞理
医学博士。長崎大学卒業後、東京女子医科大学、米ソーク研究所などで臨床・研究に従事し、1987年に摂食障害の専門外来を開設。治療実績は1500例を超える。 政策研究大学院大学教授を経て名誉教授。跡見学園女子大学心理学部臨床心理学科特任教授を歴任。現在は一般社団法人日本摂食障害協会理事長として、治療・研究・啓発・家族支援に取り組む。 『摂食障害がわかる本』(講談社)を監修、著書に『乙女心と拒食症』(インターメディカル)など。 ・一般社団法人日本摂食障害協会
医学博士。長崎大学卒業後、東京女子医科大学、米ソーク研究所などで臨床・研究に従事し、1987年に摂食障害の専門外来を開設。治療実績は1500例を超える。 政策研究大学院大学教授を経て名誉教授。跡見学園女子大学心理学部臨床心理学科特任教授を歴任。現在は一般社団法人日本摂食障害協会理事長として、治療・研究・啓発・家族支援に取り組む。 『摂食障害がわかる本』(講談社)を監修、著書に『乙女心と拒食症』(インターメディカル)など。 ・一般社団法人日本摂食障害協会