発達障害のママは「ハグが嫌、泣き声が苦痛」 子育てを苦しめる感覚過敏

発達障害ママの子育て #4~子どもへの接し方編~_

ライター:桜田 容子

工夫して子育てしている自分に胸を張ろう

〈精神科医・司馬理英子先生から〉

精神科医から見ても聴覚過敏の方がイヤーマフをつけるのはマストなことです。本人にとっては工事現場の大騒音のような辛い音が聞こえ続けていると考えてください。

赤ちゃんを抱っこするときに手袋やブランケットで1枚隔てるのもいい方法だと思います。大事なことは、そうすることによって周りから「母親なのに」と厳しい目を向けられたとしても、自分を責めないこと。

むしろ、「いろいろ工夫して自分は子どもとかかわろうとしている」と胸を張ってください。

子どもとの暮らしでパニックになったりする場合、なるべく生活を規則的にすることも大切です。起床、食事、入浴、就寝の時間が決まっているほうが、子どももリズムをつかんでくれてラクですよね。

もちろん、思いどおりに行かないのが子育てではありますが、毎日行き当たりばったりで生活していると、子どもにしたら空腹ではないのに食べさせられる、お風呂に入りたくないのに入れられる、などリズムが合わないことから抵抗してきます。その抵抗が多ければ多いほど、親子ともに疲弊は大きくなります。

そして最後に。豆の時間さんがおっしゃるとおり、発達障害であることは子育てに生きる場面もあります。

何事もきちんとしたいASDタイプには、子どものことをしっかり見てあげよう、かかわろうとする姿勢をしっかり持ち続ける方もおられます。

ADHD的な親なら、子どもが何かを忘れたとしてもそこまで気に留めず笑い飛ばせるかもしれません。もし子どもが自分と似たような特性を持っていれば、子どもの「こだわり」、あるいは「できない」ことへの歯がゆさなどに理解できるでしょう。

あるいは、親子でまったく違う特性を持っていたとしても、自分にはない「いい面」を見るようにすれば、子どもから学べることは多いのではないでしょうか。

【取材協力】
司馬理英子(しば・りえこ)PROFILE

司馬クリニック院長。精神科医。医学博士。1983年渡米し、アメリカで4人の子どもを育てる傍ら、ADHDについて研鑽を深める。97年、東京都武蔵野市に発達障害専門のクリニック「司馬クリニック」を開院。中学生までの男女と、高校生と大人の女性の治療を行っている。著書多数。

女性のための発達障害コミュニティ「Decojo(デコジョ)」
発達障害を持つ女性同士で作った、発達障害当事者女性のためのコミュニティとして2017年に発足。2023年4月時点で会員数は1000人以上。オンライン・オフライン含め100回以上の当事者会を行い、これまで参加した女性は1000人以上。診断の有無に関わらず、生きづらさを感じている、前進したい、仲間がほしい女性であれば参加ができる。沢口千寛さんの公式LINEでは、発達障害当事者を中心に、自己肯定感を高めたい人に向けてセルフケアやセルフラブの講座を伝えている。

【関連サイト】
司馬クリニック
発達障害当事者コミュニティ「Decojo」
沢口千寛さん公式LINE

女性の発達障害に長年たずさわってきた精神科医の司馬理英子先生。新刊『女性の発達障害 困りごとにどう向き合うか』(講談社)では、発達障害について基礎から解説し、生きづらさの原因や、家族と過ごしやすくなるための助言が詰まっている。
Decojo代表の沢口千寛さんの著書『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の女性が上手に生きるための本』(翔泳社)。仕事、子育て、人間関係など、Decojoに参加した発達障害当事者女性のナマの声と、改善できるアイデアが満載。

取材・文/桜田容子

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桜田 容子

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