ママのネイル美容「健康な美しい爪」が再注目 美爪の大敵「夏の紫外線」「乾燥」どう予防する?

プロが教える自宅ケア! 自宅で簡単、ママ&子どもの爪ケア #3

ネイルケアやマニキュアの文化の歴史にも注目。 写真:アフロ

そもそもネイルケアとは? ネイル文化の進化

ここまで爪のケア方法を中心に学んできましたが、そもそもネイル文化はどこからスタートしたのでしょうか。ネイリスト協会理事である木下さんは「ネイル文化の歴史とその近代的な展開」について次のように話します。

「ネイルの歴史は古代エジプトにまでさかのぼり、化粧文化の一環としてその足跡を残しています。古代エジプトでは、化粧は身体のさまざまな部位に施され、その中でも爪は特別な彩りを与えられる部位の一つでした。

特定の植物や花の種から抽出された色素を使い、爪を染める習慣がありました。この慣習には、社会的あるいは呪術的な意味合いも含まれており、考古学的な発掘により、ミイラの爪に赤色が施されていた証拠が見つかっています。これらの事実は、ネイルカラーが単なる装飾を超えた意味を持っていたことを示唆するといえるでしょう。

そうして現在、私たちが行っている『マニキュア』にたどり着きます。

マニキュアという言葉は、ラテン語の『マヌス(manus/手)』と『キュア(cura/ケア)』から由来し、本来は『手のケア』を意味します。日本では、マニキュアを爪に塗るネイルエナメルとネイル施術の両方を指して使います。同様に、『ペディキュア』はラテン語の『ペディス(pedis)』、つまり足を意味する単語からきており、『足のケア』を指します」(木下さん)

日本では、ネイル文化はいつごろから始まっていたのでしょうか。

「日本のネイル文化の起源は、飛鳥・奈良時代までさかのぼります。この時代には、紅殻(べにがら)をメインの成分とする化粧が、額の中心や唇の端に施される一方で、指の先まで赤く染める慣わしがあったとされています。平安時代に入ると、鳳仙花(ほうせんか)と、ほおずきの葉を揉み合わせて爪を赤く彩る『爪紅(つまくれない)』の習慣が見られます。さらに、江戸時代、中国から伝わった紅花を使用する染色法により、『爪紅』と称される爪の着色が行われるようになりました。

近代に入ると、明治時代にフランスからマニキュア術が伝わり『磨爪術(まそうじゅつ)』として広がりました。その後、1970年代の日本は、アメリカ西海岸ブームをきっかけにネイルがカルチャーとして注目され始めます。専門サロンが登場し、マニキュア技術は美容室のサロンメニューの一つとなり、現在のネイル技術の基礎が築かれました。

80年代初めにはネイル技術を提供する職業、マニキュアリストや、ネイル施術専門店であるネイルサロンが現れ、90年代に入るとネイル専門誌の発刊やネイルムーブメントが一層、加速しました。ネイルケアの重要性が見直され、ネイルが社会的に認知されたといえるでしょう。

日本におけるフットケアへの関心は1990年代から高まり始めましたが、他国と比較するとその普及度はまだ低いようです。ネイルサロンでの定期的なフットケアは、足のトラブルを早期に発見し予防する効果があります。フットケアを含む日本のネイル文化がさらに成長すれば、楽しむ方法や選択肢も広がる可能性があると考えられます」(木下さん)

ユーザーとネイル業界とともにつくる「健康な爪」

つけ爪やネイルアートといった海外のトレンドはジェルネイルへと移行。そしてまた世の中の関心は「健康な爪」へと回帰しています。

ネイルトレンドが私たちの生活にどのように関わり、日常生活でどのように取り入れることができるかについて、木下さんは次のように話します。

「コロナウイルスの流行は、ネイル業界にも大きな影響を与えました。サロンの一時的な閉鎖や外出の機会の減少により、顧客のサロンへの復帰は緩やかでした。

一方、頻繁な手洗いや消毒剤の使用により、多くの人が手や爪の乾燥、爪の割れといったトラブルに直面しました。現在、プロのネイリストによる上質なネイルのお手入れ『ネイルケア』『ハンドケア』が再注目をされています。

このような状況は、一般ユーザーとネイル業界とが『健康な爪』という共通の目標に向かっていることを示しています。

現在、ネイルに関してはさまざまなケア用品や、セルフネイル商材が増え、子育て中のママたちも、自宅で手軽にできるケアや、セルフネイルを楽しむことができるようになっています。

ホームケアを行いつつ、プロのネイリストの施術を受けるタイミングを大切にし、問題やトラブルが生じた際には、皮膚科をはじめとする医師や信頼できるネイルサロンに相談することが重要です。このバランスこそが、健康で美しい爪を保つ鍵となるでしょう」(木下さん)


爪の健康や美しい爪を保つためには、日常生活の中で爪先のケアを取り入れることが大切です。また、産前産後のママは特に、体調の変化に合わせて手足の爪のお手入れが重要といえます。

お手入れを行いつつ、爪のトラブルやその対処法を知ることで、ママ自身の爪だけでなく、子どもの健やかな爪の成長と健康維持にも役立てることができます。忙しい日々の中でも、少しの工夫とケアを日々の暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。

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◆木下 美穂里(きのした みほり)
㈱ユミ・クリエイション代表取締役社長。NPO法人日本ネイリスト協会理事、名誉本部認定講師。エステティシャン。美容家、メークアップアーティスト、ネイリストとしての長年のキャリアを生かし、ネイルサロン、スクールの運営、ビューティーイベントやオンラインイベントのプロデュースや、「ネイルパーフェクトマニュアル」「ビューティフルネイル」など著書多数。JNAネイルトレンドプロジェクト長として最新ネイルトレンドを世界に配信。ネイルサロン・ラ・クローヌ主宰。

取材・文 瀧 千登勢

「健康な爪から美しい爪への秘訣」の連載は全3回。
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