「乳幼児突然死症候群」のガイドラインが変わった! 「赤ちゃんを死なせない」 パパとママがこの秋冬に気をつけることとは?
乳幼児突然死症候群の予防策 2024年・最新版
2024.11.21
乳幼児睡眠コンサルタント、国際資格認定機関・IPHI日本代表、Sleeping Smart Japan株式会社代表取締役:愛波 あや
乳幼児突然死症候群とは、何の予兆や病歴もないまま、主に1歳以下の子どもが睡眠時に突然、死に至るという原因のわからない病気のこと。令和5年には48名の子どもが乳幼児突然死症候群で亡くなっています。
また、睡眠時には窒息事故のリスクも潜んでおり、睡眠環境を整えることは重要です。これから来る冬に備えて、どのような点に気をつけたらいいのでしょうか。
「乳幼児突然死症候群の原因はいまだわからず、予防方法は確立されていません。ですが、リスクを高めるポイントは明らかになってきているので、次のような点に気をつければ発症リスクを低くすることができます。
〈乳幼児突然死症候群の予防策〉
①子どもを仰向け(背部を下にして)で寝かせる。
②たばこをやめる・たばこの煙に子どもを触れさせない。
③できるだけ母乳で育てる。
〈安全な睡眠環境づくり〉
②子どもの寝床には何も置かない。
③親とは同室で寝て、寝床は別にするのがベター。
なお、予防策③『できるだけ母乳で育てる』に関しては、母乳で育てられた子どものほうが、乳幼児突然死症候群の発症率が低いことが統計的手法を用いた研究(※)からわかっていますが、あくまでもひとつの要素です。母乳で育てていないママは気にしすぎず、ほかの策や睡眠環境づくりで、対策してみてください。
※参考文献:Pediatrics (2011) 128 (1): 103–110. / Breastfeeding and Reduced Risk of Sudden Infant Death Syndrome: A Meta-analysis
予防策の詳細は以前の記事で詳しく解説しているので、ぜひこちらも参考にしてください」(愛波さん)
最新のガイドラインの変更点は「掛け布団」!
今年度(2024年)にこども家庭庁から新たに出された啓発ポスター・リーフレットでは、従来のものから一部の内容が変わっています。
「大きな変更点としては、『掛け布団は軽いものを使いましょう』(旧リーフレット画像内①)だったのが、『上にかけるふとんは使わない』(新リーフレット画像内①)になったことです。また、それに伴い子どもが寝ているイラストからも、掛け布団が除かれました(新リーフレット画像内②)。
参考:「普及啓発用リーフレット(発症率を低くするポイント)」(厚生労働省)、
「11月は『乳幼児突然死症候群(SIDS)』の対策強化月間です」(こども家庭庁)を加工して作成
以前のガイドラインでは、『口や鼻などを覆うものはベッドに置かない』と書かれていたにもかかわらず、窒息事故のリスクになりうる『掛け布団の使用は軽いものであればOK』と書かれており、内容に矛盾がありました。
これが改変となり、『掛け布団は使用せず、服装で温度調整しましょう』になったのです。
なお、従来のものと同様、新たな基準でも、『添い寝をするときは、赤ちゃんを身体や腕で圧迫しないように注意しましょう』とあります。ですが、基本的に親が疲弊している場合は、添い寝はすすめられません。寝落ちして子どもの上に覆い被さってしまう可能性があり、窒息事故の危険性が高まるからです」(愛波さん)