子どもに大流行中の「マイコプラズマ肺炎」 治療と看病 登校・通院の目安とは?〔小児科医が解説〕
子どもの「マイコプラズマ肺炎」2024秋冬~子どものケア、学校、病院について~
2024.10.29
小児科専門医・アレルギー専門医:岡本 光宏
──マイコプラズマ肺炎(以下マイコプラズマ)では高熱が続くこともありますが、解熱剤はどのタイミングで飲ませればよいのでしょうか。
本人がつらそうにしていたら飲ませてあげてください。不機嫌にしている、つらくて眠れないといった場合です。睡眠は大事です。眠れないと回復も遅くなります。
ですから◯◯度以上になったら飲ませる、といった基準はありません。39度でもつらくなさそうなら飲ませる必要はありません。夜中に39度以上熱があって、息づかいが荒いからといって、ぐっすり眠っている子どもをわざわざ起こして解熱剤を飲ませる必要はないでしょう。マイコプラズマの場合、高熱による脳の炎症はほぼ心配ないでしょう。
──高熱時に親ができることはありますか。氷枕や濡れタオル、冷却ジェルシートは有効でしょうか。
必死に冷やそうとする親御さんもいますが、基本的には冷やさなくていいです。氷枕で後頭部を冷やしても直接的にはあまり意味がありません。
冷却ジェルシートは貼ったときは気持ちいいですが、体温を下げる医学的根拠はありません。特にジェルシートの赤ちゃんへの使用はおすすめしません。鼻や口をふさいで窒息を招く恐れや、食べてしまう恐れがあるからです。
子どもが快適だと思える環境を整えてあげてください。暑がっていれば涼しく、寒がっていれば温めてあげてください。基本的には体温が上がるときに寒気を感じますから、そのときに体を冷やそうとするのはNG。寒がったら布団を掛けてあげてください。
熱が上がりきって暑がるようなら布団を外してあげるくらいの調整で十分です。ただ、解熱時には大量の汗をかきますから、衣類がびっしょり濡れているようでしたら着替えさせてあげてください。快適な温度環境は、休息の質を高め、病気の治癒を手助けするでしょう。
とはいえ、氷枕を用意したり、濡れタオルでおでこを冷やしてあげたりすることは、愛情表現として大きな意味を持ちます。病気と闘っているときは心細いもの。お子さんが快適になるようそばで看病してあげることは、とても素晴らしい愛情表現だと思います。
──高熱が続くと脱水が心配です。何を飲ませてあげればよいでしょうか。
比較的にマイコプラズマ患者は、飲み食いできることが多いです。少しでも食べられていれば、飲み物は経口補水液でなくてもいいです。好きなジュースでもいいですよ。食べ物も食べたいものを食べればよいでしょう。1日以上何も食事や水分が摂れないとなると入院を要する可能性があります。
──咳止めを飲んで咳を止めたほうがいいのでしょうか。
マイコプラズマはしつこい咳が特徴です。咳は細菌に対する大事な防御反応でもあるのですが、体力を奪います。
特に夜間にひどくなりがちで、睡眠のさまたげになってしまいます。ぐっすり眠って体を回復させるためにも、咳止めは有効でしょう。
でもピタっと咳が止まる効果は期待できません。症状が少しラクになる程度と考えてください。