子どもに大流行中の「マイコプラズマ肺炎」 治療と看病 登校・通院の目安とは?〔小児科医が解説〕
子どもの「マイコプラズマ肺炎」2024秋冬~子どものケア、学校、病院について~
2024.10.29
小児科専門医・アレルギー専門医:岡本 光宏
──マイコプラズマに罹患した場合、学校は出席停止になるのでしょうか。学校で流行っている場合、予防策はありますか。
学校は、場合によっては出席停止になることもあります。基本的には出席停止ではありませんが、「学校で通常見られないような重大な流行が起こった場合には、その感染拡大を防ぐため、必要があるときに限り、校長が学校医の意見を聞き、第三種の感染症として緊急的に措置をとることが可能」とされている疾患です。
学校長が決めた場合だけ登校禁止となり、通常は登校禁止の病気ではありません。「条件によっては出席停止の措置が考えられる疾患」と考えてください。
そのため学校によって違い、出席停止とする学校もありえます。登校の目安については、学校やかかりつけ医に相談してください。まだ咳が続いているようであれば、マスクをして登校することをおすすめします。
予防策はコロナ禍で行っていた手洗いなどの習慣がよいでしょう。マスク、手洗い、アルコールは効果があります。飛まつや接触で感染しますが、インフルエンザやコロナほど一気に広がる強い感染力はありません。とはいえ、学校で広がることもあります。
──受診先はかかりつけの小児科でしょうか。親が感染した場合はどうすればよいですか。
子どもは小児科、大人は内科、が基本です。ただし、マイコプラズマは、子どもも大人も医療的対応がほとんど変わりません。したがって、小児科医も大人のマイコプラズマ診療が可能ですし、内科医も子どものマイコプラズマ診療が可能です。
子どもの診療のついでに親のことも小児科医に相談する、または親の診療のついでに子どものことを内科医に相談する、ということもできると思います。
でも入院を要するような重症例であれば、小児科専門医や呼吸器専門医の治療が必要です。初期は通常の風邪と間違えやすい症状です。3日経っても解熱しなければ、無理をせず、マイコプラズマを疑って受診してくださいね。
あと、前編でお伝えしたとおり、感染してもすべての人が肺炎になるわけではありませんが、通常の風邪だと思い込んで受診が遅れると、肺炎が重症化することもあります。
また、マイコプラズマだった場合は「マクロライド系」といわれる抗菌薬(=抗生物質)が有効です。ただ、今の流行りには「マクロライド系」が効かない、「マクロライド耐性マイコプラズマ肺炎」もあります。マクロライド系投与から約48時間経過しても解熱しない場合も必ず医師へ相談してください。
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2回にわたって、流行中のマイコプラズマ肺炎について、小児科医の岡本光宏先生にお話をうかがいました。我が子が感染したときに備えて、抗菌薬の役割や発熱時の対応など、親も正しい医療知識を持つことが重要ですね。
取材・文/大楽眞衣子
学校やかかりつけ医に相談を
大楽 眞衣子
社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーに。3人の育児で培った生活者目線を活かし、現在は雑誌やWEBで子育てや女性の生き方に関わる社会派記事を執筆している。大学で児童学を専攻中で、保育士資格を取得。2歳差3兄弟の母。昆虫好き。イラストは三男による「ママ」 ●公式HP「my luck」
社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーに。3人の育児で培った生活者目線を活かし、現在は雑誌やWEBで子育てや女性の生き方に関わる社会派記事を執筆している。大学で児童学を専攻中で、保育士資格を取得。2歳差3兄弟の母。昆虫好き。イラストは三男による「ママ」 ●公式HP「my luck」
岡本 光宏
おかもと小児科・アレルギー科院長。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命処置法インストラクター。 2009年奈良県立医科大学部卒業。同年神戸大学大学院医学研究科小児科学分野に入局。姫路赤十字病院、明石医療センターを経て、2019年より兵庫県立丹波医療センター 小児科医長。 2023年7月、兵庫県三田市で「おかもと小児科・アレルギー科」を開院。新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診察している。3児の父として、子育てにも積極的に関わる。 著書に『研修医24人が選ぶ小児科ベストクエスチョン』(中外医学社)、『小児科ファーストタッチ』(じほう)など。 サイト「笑顔が好き」 https://pediatrics.bz/
おかもと小児科・アレルギー科院長。日本小児科学会小児科専門医、認定小児科指導医、日本アレルギー学会アレルギー専門医、臨床研修指導医、日本周産期・新生児医学会新生児蘇生法インストラクター、アメリカ心臓協会小児二次救命処置法インストラクター。 2009年奈良県立医科大学部卒業。同年神戸大学大学院医学研究科小児科学分野に入局。姫路赤十字病院、明石医療センターを経て、2019年より兵庫県立丹波医療センター 小児科医長。 2023年7月、兵庫県三田市で「おかもと小児科・アレルギー科」を開院。新生児から思春期の心の疾患まで幅広く診察している。3児の父として、子育てにも積極的に関わる。 著書に『研修医24人が選ぶ小児科ベストクエスチョン』(中外医学社)、『小児科ファーストタッチ』(じほう)など。 サイト「笑顔が好き」 https://pediatrics.bz/