小児科医が解説! 自分で食べる子どもになる「手づかみ食べ」3ステップ

小児科医・江田明日香先生「ごはん外来へようこそ」#3~手づかみ食べ実践編~

小児科医:江田 明日香

手づかみ食べを実践している子どもたちの変化には、感動の連続だという。そしてなにより赤ちゃんの食事姿は、どの子も可愛くてたまらないと笑顔。
写真:日下部真紀

手づかみ食べを実践してわかった5つのメリット

ごはん外来で「手づかみ食べ」を推奨し始めて、2018年から約3年。実践しているお子さんたちをたくさん見てきて、いろいろなメリットに気がつくことができた、と先生は言います。

「たくさんありますが、あえて5つだけ手づかみ食べのメリットを挙げますね。まず①『食事への意欲が増す』こと。赤ちゃんは自分で食べるものを選び、楽しく食事をしている大人たちに混じることで満足し、毎日の食卓が家族にとって充実したものになります。。

そして②『自分に適した一口量を知る』ことができます。口の中に自ら食事を運ぶことで、よく噛んで安全に飲み込める一口のサイズを、身をもって知ることができる。これも窒息の危険を回避するひとつの術でもあると考えます。

また、手づかみ食べをしている子たちはみんな③『手先が器用』になると感じます。それもそのはず。いろいろなサイズや硬さの食材を、握る強さや角度を考えながら持つことで、器用に手先を使う経験を積めるからです。これは他の発達にも良い影響があると考えています。

手づかみ食べは、赤ちゃんのための特別な食事ではないので、④『赤ちゃん用の食事を別に作らなくて済む』し、⑤『災害時などにも困らない』というメリットもあります。これは食事を作る側のお母さんたちにとっても、助かる点ですよね」

しかし、この記事を読んでいる方のなかには『うちの子は、もう手づかみ食べの時期を過ぎてしまった……』という方も少なくないはず。

次回(#4)は、離乳食期を過ぎたお子さんの食の悩みをうかがいます。今からでも遅くない、子どもの食と向き合うヒントを教えていただきました。

取材・文/遠藤るりこ

※江田明日香先生インタビューは全4回。
次(#4)は21年12月21日公開です(公開日時までリンク無効)。
#1 離乳食の悩み編
#2 手づかみ食べ入門編

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えだ あすか

江田 明日香

小児科医

小児科専門医、国際認定ラクテーション・コンサルタント。2004年 杏林大学卒業後、藤沢市民病院にて臨床研修。藤沢市民病院(小児科)や、聖隷横浜病院(小児科)の勤務を経て、子育てをしながら複数の小児科クリニックに勤務。2015年、自身のクリニック「かるがも藤沢クリニック」の院長となる。 開院以来ずっと開いてきた親子クラスに、離乳食相談窓口となる「ごはんクラス」を立ち上げ、さらに2018年に個別支援を行うための「ごはん外来」を設立。2002年頃にイギリスで提唱された「BLW= Baby-Led Weaning」の理念を基礎とした「手づかみ食べ」を推奨している。自身も12歳(2009年生まれ)と10歳(2011年生まれ)の男の子を育てるお母さん。最近の趣味は、和菓子を食べること、珍しい植物を育てること

小児科専門医、国際認定ラクテーション・コンサルタント。2004年 杏林大学卒業後、藤沢市民病院にて臨床研修。藤沢市民病院(小児科)や、聖隷横浜病院(小児科)の勤務を経て、子育てをしながら複数の小児科クリニックに勤務。2015年、自身のクリニック「かるがも藤沢クリニック」の院長となる。 開院以来ずっと開いてきた親子クラスに、離乳食相談窓口となる「ごはんクラス」を立ち上げ、さらに2018年に個別支援を行うための「ごはん外来」を設立。2002年頃にイギリスで提唱された「BLW= Baby-Led Weaning」の理念を基礎とした「手づかみ食べ」を推奨している。自身も12歳(2009年生まれ)と10歳(2011年生まれ)の男の子を育てるお母さん。最近の趣味は、和菓子を食べること、珍しい植物を育てること

えんどう るりこ

遠藤 るりこ

ライター

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe

ライター/編集者。東京都世田谷区在住、三兄弟の母。子育てメディアにて、妊娠・出産・子育て・子どもを取り巻く社会問題についての取材・執筆を行っている。歌人・河野裕子さんの「しつかりと 飯を食はせて 陽にあてし ふとんにくるみて寝かす仕合せ」という一首が、子育てのモットー。 https://lit.link/ruricoe