働く2児ママが「脳出血」 右半身が動かない! ICUから転院 「リハビリへの覚悟」

脳出血で緊急入院! 【萩原はるな:ワンオペママの闘病記】#2〜先の見えない入院生活編〜

ライター:萩原 はるな

もう二度と元通りには戻れない!?

そんな私の楽観的な考えを打ち砕いたのは、誰であろう、わが夫だった。ある日、夫からのLINEに貼られていたリンクを見てみたところ、「脳卒中後の機能回復曲線」というグラフに行き着いた。

「半年までが勝負や! リハビリ頑張ろう!」という夫のコメントのとおり、発症後3ヵ月は急速に体の機能が回復し、6ヵ月までは緩やかに上昇。その後、ほぼ横ばいになるとされていた。

それよりも私が注目したのは、回復率だった。年齢が若いほどパーセンテージは上がるものの、30歳代以下でも100%には至っていないのだ。

そうかあ、私の体は、もう完全に元通りになることはないのか。

そう悟(さと)ると同時に、「でも、近い状態まで戻ることは、ないわけではないんだな」とも思った。「よし、じゃあ、頑張ろう!」と強く決意する。

倒れてから1週間くらい経ったころには、左手でのスマホ操作もだいぶスムーズになってきた。左手で歯を磨き、スプーンやフォークを使って食事をスタート。同時に、脳の出血が落ち着いたところで、リハビリも始まった。

ただ寝ているだけでなく、回復に向けて自分で努力できる機会が与えてもらえたのはうれしかった。しかも、倒れてすぐの今の頑張りが、今後を左右するらしい。ならば、最大限頑張らないと!!

そう気合を入れ直していたところで、夫が病院に届けてくれた荷物が届く。入っていたのは、着替えなどの必要品と、子どもたちからの手紙だった。

クイズやスポーツなど、勝負ごとをするのも見るのも大好きな息子は、連日東京オリンピックに夢中だった。とくに、卓球の試合観戦に燃えていたらしい。大好物のお寿司も食べて元気そうだ、とホッとする。 写真=萩原はるな
娘より。自分だけやけにちゃんと描いてある家族3人のイラストに笑う。息子(右)には赤ちゃんのときよく言っていた「うげ〜」という言葉が添えてあり、夫(左)を描いた絵にいたってはテキトーの極みだ。 写真=萩原はるな

子どもたちの手紙を、車イスに座った状態で、膝の上に乗せて読んだ。

私は、車イスから立ち上がることができるんだろうか。この先、子どもたちに迷惑をかけてしまうのだろうか。最近よく聞く「ヤングケアラー」という言葉が頭を占領する。どよ〜んとした気持ちでいると、看護師さんが様子を見にきた。

「お子さんがいらっしゃるんですね〜。おいくつですか?」

「小6と小3なんです」

そう答えた瞬間、突然、圧倒的な悲しみが胸に迫ってきた! このとき初めて、私は大声を出して泣いてしまった。

「そうかそうか、辛いですね」。看護師さんはただそう言って、優しく背中をさすり続けてくれた。その手が本当に温かくて、私はひたすら、子どものように泣きじゃくっていた。

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