ICUから転院! 右半身が動かなくなった2児ママ「リハビリへの覚悟」

脳出血で緊急入院! 【ワンオペママの闘病記】#2〜先の見えない入院生活編〜

ライター:萩原 はるな

ICUから一般病棟へ移り、症状が落ち着いたのを見計らってリハビリがスタート。そこでママは大きな覚悟を決めたと言います。 写真:IngramPublishing/イメージマート

ある日突然、脳出血で倒れてしまったフリーライターのママ(48歳)。それまでワンオペで小学生2人を育てていましたが、一人きりの入院生活がスタートしました。

ママの入院で、突如、ワンオペ育児に取り組むことになったパパの奮闘記(※1)はすでにお伝えしましたが、突然病に倒れたママ当人は、一体、どんな思いで過ごして来たのでしょうか。
※1=妻が脳出血!戦力外パパと2児の奮闘記(全6回)


コロナ禍で家族とまったく会えないまま、家に帰るために頑張るママの闘病記です。
前回(#1)を読む

寝返りもできないICUデイズ! 頼みの綱は左手とスマホ

突然の脳出血で倒れて病院へ運ばれてから、キャスター付きベッドに寝たまま次々と院内を移動し、たどり着いたICU。

脳出血がさらに悪化する危険性があるため、血圧を下げるための点滴をした状態で、この部屋で数日過ごすらしい。

栄養剤の点滴、尿管などなど、私の体はいろんな管につながれていた。とはいえそのときは、どの管が何かもよくわからず、朦朧(もうろう)とした状態。今が何時かすらも、よくわからなかった。

ウトウトしていると、ベッドの中の振動音で目が覚めた。

ん? なんの音? 左手で掛け布団を持ち上げてみたところ、スマホが見つかった。画面を開いてみると、朝の6時。そういえば、昨日倒れた後、息子は球場から無事に帰れたんだろうか? 娘の塾は?

夫にLINEを送ろうとして、スマホを左手にとる。ところがその瞬間、途方に暮れてしまった。利き手の右手がまったく動かないため、左手でスマホを持ってしまうと、文字が打てないのだ……!

左手だけでの生活の最初の壁、スマホ操作。

試行錯誤のうえ、仰向けに寝たまま左足の膝を立てて、スマホを支えながら固定する。その状態で、左手で文字を打った。う、打ちにくい。でも文字が打てなければ、家族や仕事がどうなっているのか、訊(き)くことすらできない!

「Mさん、ラーメン」

なんとか打った、夫への最初のLINEがこれ。私が毎年制作に関わっていたラーメンの本が、ちょうどその前日から動き始めたところだったのだ。これから取材のアポを取り始めるというところでの戦線離脱。申し訳なさすぎる……!

「大丈夫、Mさんには伝えた」と夫。まずは安心。

続いて娘や息子のことを訊いたところで力つき、また眠りに落ちてしまった。

一般病室へ! 頭がクリアになり自分に向き合う余裕も

その後、ICUには2日ほどお世話になったのちに、4人部屋の一般病室に移った。「もう、出血する心配がなくなったので」と看護師さんが説明してくれた。

ええっ、てことは、再び脳内出血する恐れがあったってこと!? と、今さらながらゾッとしてしまう。

一般病室のベッドから、カーテン越しに撮った写真。カーテンを閉めると昼間でも暗く、本を読むのも一苦労。後から入った患者が、どんどん退院して入れ替わっていくのもせつなかった。 写真=萩原はるな

ようやく寝たきりではなく、体を起こすことができるようになった。それと同時に、頭もだんだんしゃっきりしてきたようだ。そこであらためて、私は自分のおかれた状況を整理してみた。

う〜ん、やっぱりダメか。右手、右足とも、どんなに動かそうとしてもピクリともしない。不思議だなあ。指も爪もホクロの位置も、まぎれもなく見慣れた自分の手足なのに、まったくいうことをきかないのだ。

夫からLINEで聞いたところ、主治医からは「後遺症が残るでしょう。ママさんバレーをするのは、もう難しいです」と言われたという。

え、そこ!? 別に「ビーチバレーができなくなるなんて!」と悲観にくれるほど真剣にやっていたわけではないんだけど……。それより、日常生活はどうなるかのほうが知りたい!

そんなことに違和感を感じてモヤモヤするほど、当時の私は冷静だった。なぜなら、右手も右足も、きっと動くはずだと思っていたからだ。

というのも、私の父は2度、脳梗塞で倒れて入院した経験があり、右半身が麻痺したり、言葉が出なくなったりしていた。

ところがそのたびに復活しており、少し言葉が出にくかったり、短気になったり、声が大きくなったりはしているものの、手足に後遺症はほぼ残っていなかったからだ。

今は動かないけど、そのうち動くようになるでしょう。

私はそんなふうに、自分の未来を楽観的に考えていた。

窓からの夕景。ベッドから動けない私は、ビルに灯る一つひとつの明かりと、そこに暮らし働く人たちが心底うらやましかった。ビル群の向こうに、倒れる前日にも働いていた出版社のビルが見え、なんともいえない気持ちになった。 写真=萩原はるな
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