小中学生で「妊娠」 真っ先にやることとは? 子どもに教えたい恋愛の境界線「バウンダリー」【専門家が解説】
ソーシャルワーカー・鴻巣麻里香さんに聞く「小中学生の恋愛バウンダリー」【3/4】~恋愛の定義と子どもの妊娠~
2025.01.17
精神保健福祉士・スクールソーシャルワーカー:鴻巣 麻里香
子どもが妊娠したら「女の子が最優先」
小中学生でも、付き合っている相手と不適切な関係にまで発展してしまったら、妊娠のリスクが生まれます。鴻巣さんによると、その対処法は「女の子の願いが最優先」、これに尽きるそうです。
「男の子の親がとるべき唯一のスタンスは、『一緒に考えるんじゃなくて、女の子の話を聞いて言うとおりにしなさい』、です。女の子が産みたいと言ったら、しっかりと父親としての責任を果たす。
女の子が産まない選択をしたら、全力でそのケアをすることを伝えてください。妊娠に関しては、女の子が引き受けるリスクのほうが大きく、どちらを選択するにせよ傷つくことや失うものがたくさんあります。その意見が優先されるのは当然ですよね」
では、女の子の親はどうしたらいいのでしょう。もし女の子が「産む」を望んだ場合、その願いを優先してあげたくても、若年で妊娠して出産することの厳しさや不利益が、歴然とあるのも事実。親のサポートも必須であることから、心から「おめでとう」とは言いにくいものです。
「まずは、妊娠がその子にとってどんな意味があるのかを把握しましょう。妊娠がポジティブな行為の結果かどうかで、意味合いが違ってきますが、素直にうれしいという子もいるんですよ。
『子どもの心配事』『子どもの願い』『親の心配』『妊娠のリスク』『妊娠してよいこと』『これから起こりえること』などを別々のお皿にのせて、テーブルに並べるイメージをもってください。そしてテーブルのお皿を子どもと一緒に眺めながら、どうすることが最善なのか、ゆっくり話し合うことが大事です」
それぞれの項目を、紙に書き出してみるのもアリ。すると、妊娠という子どもの中で起きていることを、客観視できるでしょう。親子間でするのが難しいときは、若年の妊娠時のサポートをしている団体や、若年の妊娠の経験が豊富な産婦人科のドクターなどに頼るのもオススメです。
──次回は、子どもと親の理想的なバウンダリーについて伺います──
取材・文/萩原はるな
萩原 はるな
情報誌『TOKYO★1週間』の創刊スタッフとして参加後、フリーのエディター・ライターとなる。現在は書籍とムックの編集及び執筆、女性誌やグルメ誌などで、グルメ、恋愛&結婚、美容、生活実用、インタビュー記事のライティング、ノベライズなどを手がける。主な著作は『50回目のファーストキス』『ハピゴラッキョ!』など。長女(2009年生まれ)、長男(2012年生まれ)のママ。
情報誌『TOKYO★1週間』の創刊スタッフとして参加後、フリーのエディター・ライターとなる。現在は書籍とムックの編集及び執筆、女性誌やグルメ誌などで、グルメ、恋愛&結婚、美容、生活実用、インタビュー記事のライティング、ノベライズなどを手がける。主な著作は『50回目のファーストキス』『ハピゴラッキョ!』など。長女(2009年生まれ)、長男(2012年生まれ)のママ。
鴻巣 麻里香
KAKECOMI代表、精神保健福祉士、スクールソーシャルワーカー。 1979年生まれ。子ども時代には外国にルーツがあることを理由に差別やいじめを経験する。ソーシャルワーカーとして精神科医療機関に勤務し、東日本大震災の被災者・避難者支援を経て、2015年非営利団体KAKECOMIを立ち上げ、こども食堂とシェアハウス(シェルター)を運営している。著作に『思春期のしんどさってなんだろう? あなたと考えたいあなたを苦しめる社会の問題』(2023年、平凡社)、共編著に『ソーシャルアクション! あなたが社会を変えよう!』(2019年、ミネルヴァ書房)、『わたしはわたし。あなたじゃない。 10代の心を守る境界線「バウンダリー」の引き方』(リトル・モア)がある。
KAKECOMI代表、精神保健福祉士、スクールソーシャルワーカー。 1979年生まれ。子ども時代には外国にルーツがあることを理由に差別やいじめを経験する。ソーシャルワーカーとして精神科医療機関に勤務し、東日本大震災の被災者・避難者支援を経て、2015年非営利団体KAKECOMIを立ち上げ、こども食堂とシェアハウス(シェルター)を運営している。著作に『思春期のしんどさってなんだろう? あなたと考えたいあなたを苦しめる社会の問題』(2023年、平凡社)、共編著に『ソーシャルアクション! あなたが社会を変えよう!』(2019年、ミネルヴァ書房)、『わたしはわたし。あなたじゃない。 10代の心を守る境界線「バウンダリー」の引き方』(リトル・モア)がある。