
子どもが生理前でつらい「PMS 月経前症候群」 親子で知っておきたい対処法とは〔子どものフェムケアを産婦人科医が解説〕
産婦人科医・海老根真由美先生に聞く「子どものフェムケア」 #2
2025.05.29
産婦人科医:海老根 真由美
生理前の体調のゆらぎは「女性だからこそ」と前向きに!
──「もっと気楽に、自分の体を大事にしていいよ」というメッセージなのですね。
海老根先生:まさにそのとおりです。私が周産期医療の現場で働いていたころ、命がけで赤ちゃんを産むお母さんたちをたくさん見てきました。その経験から思うのは、「赤ちゃんを産めるって、すごいことだ」ということです。
たとえば、研究の分野で世界一といわれるノーベル賞をとるのもすごい。けれど、赤ちゃんを産んで育てるのも、同じくらいすごい。ですから、生理がくることも、生理前に体調がゆらぐことも、「女性だからこそ」の大切なサインだと思ってほしいのです。
PMSで受診した、ある受験生のお母さんがこんなふうに話していました。「こんなに頭が痛かったら、勉強なんてできません。どうして女の子には生理があるのでしょうか……。男の子に比べて不利すぎますよね」
その気持ち、とてもよくわかります。つらいときには、「どうして自分だけこんな思いをしなきゃいけないの?」と思ってしまうのは自然なことです。ですが、生理があること、子どもを産むことができることは、女性にだけ与えられたすごい力でもあります。
どうか生理を悲観しすぎずに、「自分の体には、そんな力があるのだ」と、少しだけ前向きに受けとめてほしいと思います。そして、生活を整えてもまだ不調が気になるときは、遠慮せずに婦人科に相談に来てくださいね。
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ホルモンのゆらぎによるPMSは、体の自然なリズムのひとつ。でも、もしかしたらそのつらさの背景には、睡眠不足や栄養不足、がんばりすぎている毎日があるかもしれません。だからこそ、まずは「自分を大切にする生活」を心がけることが大切であることを海老根先生から教えていただきました。
家庭内では、「しっかり寝る、ごはんを食べる、そしてちゃんと休む」。生活を整えても子どもがつらそうにしているときは、悩まずすぐに婦人科を頼りましょう。
取材・文/横井かずえ
海老根先生の思春期のフェムケアは全2回

横井 かずえ
医薬専門新聞『薬事日報社』で記者として13年間、医療現場や厚生労働省、日本医師会などを取材して歩く。2013年に独立。 現在は、フリーランスの医療ライターとして医師・看護師向け雑誌やウェブサイトから、一般向け健康記事まで、幅広く執筆。取材してきた医師、看護師、薬剤師は500人以上に上る。 共著:『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社) URL: https://iryowriter.com/ Twitter:@yokoik2
医薬専門新聞『薬事日報社』で記者として13年間、医療現場や厚生労働省、日本医師会などを取材して歩く。2013年に独立。 現在は、フリーランスの医療ライターとして医師・看護師向け雑誌やウェブサイトから、一般向け健康記事まで、幅広く執筆。取材してきた医師、看護師、薬剤師は500人以上に上る。 共著:『在宅死のすすめ方 完全版 終末期医療の専門家22人に聞いてわかった痛くない、後悔しない最期』(世界文化社) URL: https://iryowriter.com/ Twitter:@yokoik2
海老根 真由美
「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」院長、産婦人科医。 順天堂大学産婦人科非常勤講師、埼玉医科短期大学非常勤講師、国士館大学スポーツ学科非常勤講師。 1997年埼玉医科大学医学部卒業、2003年埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター勤務。2005年同母子医療センター母体胎児部門講師。2013年「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」開業。 白金高輪海老根ウィメンズクリニック https://ebine-womens-clinic.com/
「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」院長、産婦人科医。 順天堂大学産婦人科非常勤講師、埼玉医科短期大学非常勤講師、国士館大学スポーツ学科非常勤講師。 1997年埼玉医科大学医学部卒業、2003年埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター勤務。2005年同母子医療センター母体胎児部門講師。2013年「白金高輪海老根ウィメンズクリニック」開業。 白金高輪海老根ウィメンズクリニック https://ebine-womens-clinic.com/