それをやるから子どもが爆発!? 思春期の子を持つ親がやりがちな「NG行為」4選
思春期の反抗の激しさは親が原因!? 思春期の反抗期 乗り切りガイド#2
2023.09.19
明治大学文学部教授:諸富 祥彦
目次
思春期に見られる反抗期は、我が子が大人になるための大切なステップです。とはいえ、そうとわかっていても、いざ豹変した我が子に直面すると親は戸惑ったり、心配になったりします。
また、時として見せる反抗的な態度やわざと悪ぶるような振る舞いにも、苛立ちを感じ、余計に口を出したくなることもあるでしょう。
学校や児童相談所のカウンセラーとしても活躍し、40年以上、あらゆる親子の問題に寄り添ってきた諸富祥彦先生は、売り言葉に買い言葉になって、親子ともども大変な思春期を過ごした家族の相談にも乗ってきました。
この時代の子どもは「難しい年ごろ」といわれるほど繊細で複雑。だからこそ、子育てにもこれまでとは違ったコツが必要です。シリーズ第2回は、思春期に親が意識して控えたい言葉や態度を解説します(全4回の2回目、#1を読む)。
◆諸富 祥彦(もろとみ よしひこ)
明治大学文学部教授。教育学博士。
1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現職。40年以上のカウンセラーキャリアを持つ。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーでもある。
【諸富先生の過去の記事を読む】
【思春期の反抗期 乗り切りガイド:第1回 第3回 第4回を読む】
※公開日までリンク無効
これやっちゃダメ! 思春期の親が気をつけたいNGワードとNG行動
思春期は、自分なりの新しい価値基準を形成して親とは違う自分につくり変える時期です。また、身体的にも変化が起こり、心身ともに大人へと急速に成長する自分に子ども自身が追いついていない期間でもあります。
「思春期の子どもは、成熟していく身体の中に大人と子どもが共存しています。自分でもどうにもならないギャップこそが反抗的な態度だったり、感情の爆発となったりして子育ての難しさにつながるわけですが、そんな子どもに対抗しても事態は悪化するだけです。
この時期を乗り越えるコツをいうなら、『親のほうが先に大人になること』でしょう。
次は思春期の子どもを持つ親がやりがちなNGワードとNG行動です。我が子が反抗期に入ったら、『親のほうが先に大人になる』ことを意識して、接し方を変えていきましょう」(諸富先生)
これやっちゃダメ① 質問責めにしない
「ちゃんと勉強してるの?」「○○ちゃんとはどうなったの? それと△△もどうなった?」など、心配が講じて知らないうちに子どもを質問責めにすることがあります。
しかし、思春期の子どもにはこれらは悪い効果しか生みません。質問責めを不快に思った我が子は、おそらく口をつぐんでいくはずです。
彼らにとって、プライベートなことは何よりも大事な領域ですから、たとえ親でも無神経にズカズカと踏み込まないようにしましょう。
大切なのは、日常の些細なことにはできるだけ口を挟まないこと。子どもは聞いてほしいことがあるときには、親から聞かれなくても自分から話し出します。こちらに寄ってきたときに親子のコミュニケーションをじっくりと図ればいいのです。
これやっちゃダメ② 子どもと同じ目線にならない
「そんなのみんなやってるし、なんでウチだけダメなの!?」「何もわかってないのに、簡単にいわないで!」など、子どもが反抗的な態度をとると、親もカッとなることがあります。
しかし、ここで親も子どもに負けじと声を荒らげたり、正論で追い詰めたりするのはNGです。お互いに引っ込みがつかなくなって、最悪の場合は親子関係が修復不可能な域にまで達することがあります。
思春期の子どもを育てていると親もイラっとする場面はありますが、ここで大事なのが「親のほうが先に大人になる」ことです。子どもの怒りに引きずられないように、親のほうが上手になりましょう。
怒りが込み上げてきたら、とにかくその場から離れてください。別の部屋に行くのでもいいですし、いったん散歩に出かけるのもいいでしょう。クールダウンの時間は2時間が目安です。
とはいえ、距離が必要だからといって子どもを外に出ていかせてはいけません。家出のきっかけになるばかりか、夜の場合は別の危険も潜んでいます。外に出るのは親の役割です。
2時間という時間を長いと感じる方もいますが、私は「魔の2時間」と呼んでいて、イラっとしたあとにここを避けられるかどうかで、その後の親子関係が大きく変わると思っています。
物理的に距離をおくと親子ともども冷静になれるので、頭に血が昇ったらとにかく親からその場を離れましょう。