【働くママの労働問題】「103万円の壁 結局どうなったの?」扶養内パートで働く場合・働かない場合の話[社労士が回答]

103万円の壁(後編) 働くママのお悩み解決 職場問題モヤモヤ相談室【連載】第6回 (2/2) 1ページ目に戻る

社会保険労務士、行政書士:小西 道代

まるきり扶養内で働くなら約106万円がボーダーライン

これまでパートナーの扶養に入り、扶養内パートで働いていた場合は、今までのスタイルを変えたくない方もいるでしょう。

その場合は、年収約106万円がボーダーラインです。

所得税の壁は、年収200万円以下の壁は最大160万円まで引き上げられましたが(前回参照)、社会保険料と住民税の要件は変更されていないため、扶養内パートで働く場合は、これらを踏まえて境界線を見極める必要があります。

社会保険の加入要件は、従業員51人以上の企業の場合、現在のところ次のような条件があります。また、住民税は110万円が境界線です

社会保険の加入要件

・従業員数が51人以上
・労働時間が週20時間以上(残業時間などは含まない)
・賃金が月8万8000円以上(残業代、賞与、通勤手当などは含まない)
・学生ではない(夜間学生などは対象)
・2ヵ月を超える雇用が見込まれる

賃金月8万8000円×12ヵ月≒106万円になるため、社会保険料と住民税のどちらも発生しないボーダーラインは、今のところ年収約106万円になります。

─働くママの声への回答─

従業員51人以上の企業で週20時間以上を勤務する場合は、扶養内パートで働くボーダーラインは年収約106万円。

扶養内パートなら知っておきたい「130万円の壁」

壁には「130万円の壁」もあります。こちらは、従業員数が50名以下の会社で働いているなど、「106万円のボーダーライン」に該当しなかった方が対象になる壁です。

年収130万円を超えると扶養から外れて社会保険料が発生するわけですが、扶養内パートの立場を踏まえた場合、社会保険料と住民税のどちらも発生しない年収のボーダーラインは、住民税の非課税枠を上限とした110万円以下になります。

扶養から外れて社会保険に加入すると、思ったよりも収入が増えないというイメージが先行しがちですが、社会保険料を支払うことで将来の年金が増えたり、万が一の病気やケガに備えることができるなどのメリットもあります。

壁を意識した働き方を選べる一方で、思い切って壁を乗り越えて、ワークライフバランスに配慮しながら本格的に働くという選択肢もあります。これからどのような働き方をするか、未来を踏まえてパートナーとしっかり話し合う機会がきたのではないでしょうか。

※「103万円の壁 結局どうなったの?」は、103万円の壁の基本知識や、税制改正の最大160万円まで働いた場合の手取り金額などをまとめた前編もあります(前編を読む)。

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こにし みちよ

小西 道代

Mishiyo Konishi
社会保険労務士、行政書士

社会保険労務士法人トップアンドコア代表。行政書士法人グローアップ代表。All About労務管理ガイド。大学卒業後に日本マクドナルドに入社。多数の店舗運営を行い、幅広い年齢層の人々と一緒に働くことで労務管理・組織運営に興味を持つ。その後、法律事務所や社会保険労務士事務所に勤務。カフェ経営も経験し、労働者と経営者の両視点を養い、働く場には風通しのよい労働環境や組織づくり、ルールが重要だと痛感する。現在は正社員から派遣社員、アルバイト、経営者の広い視点を活かした労務相談を行っており、事案のアドバイスだけでなく解決へも導いている。 著書に『正社員で働く人のための労務問題のトリセツ』(つちや書店)がある。

社会保険労務士法人トップアンドコア代表。行政書士法人グローアップ代表。All About労務管理ガイド。大学卒業後に日本マクドナルドに入社。多数の店舗運営を行い、幅広い年齢層の人々と一緒に働くことで労務管理・組織運営に興味を持つ。その後、法律事務所や社会保険労務士事務所に勤務。カフェ経営も経験し、労働者と経営者の両視点を養い、働く場には風通しのよい労働環境や組織づくり、ルールが重要だと痛感する。現在は正社員から派遣社員、アルバイト、経営者の広い視点を活かした労務相談を行っており、事案のアドバイスだけでなく解決へも導いている。 著書に『正社員で働く人のための労務問題のトリセツ』(つちや書店)がある。