【子どもの転校】学年末まで「引っ越しても元の学校」を選んだママがメリットを告白

転校前の「区域外就学」を選択したママの体験レポート

コクリコサポートエディターズ:笹川 かおり

写真:AdobeStock

9歳と2歳の男の子きょうだいを子育て中のエニママライター・笹川かおりです。

みなさんは、「区域外就学」をご存知ですか? 学区外に引っ越しても、学期末や学年末といった区切りのいい時期まで、元の学校に通うことができる制度です。 

本記事は、我が家の長男が8歳のときに決断した、転校前の「区域外就学」の体験レポートです。

我が家は昨年(2022年)、東京都の多摩エリアにマンションを購入し、それまで住んでいた府中市から隣の市に引っ越しました。

マンションの入居時期は、なんとも中途半端な11月なかば。

当時小学2年生だった長男をそのタイミングで転校させるか? メンタル面へのダメージを軽減させるためにも、キリのよい時期まで通っている小学校に区域外就学させるか……?

悩んだ結果、最終的に学年末まで区域外就学制度を利用することを選択しました。

区域外就学(越境通学、学区域外通学)とは

自治体が指定する通学区域に居住せず、通学区域外から通学することを区域外就学といいます。

呼称は自治体によって異なるようで、私が当時居住していた府中市では「学区域外通学」と呼んでいました。調べてみたところ、「越境通学」と呼ぶことも多いようです。

区域外就学には、通学する学校が所在する市町村などの教育委員会の許可が必要であり、また許可がおりる基準は自治体によって異なります。

府中市には、「転居し、引き続き転居前の学校に通学を希望する場合」、「当該学年の学期末または学年末まで」区域外就学が認められるという基準があり、我が家はそれに該当しました。

すぐに転校する? それとも区域外就学で4ヵ月間がんばる?

夫、長男本人と家族会議を重ねた結果、長男の「学年末までクラスのみんなとすごしたい」という気持ちを尊重し、区域外就学を選択することにしました。

区域外就学の許可条件として「保護者が必ず送迎する」というものがありましたが、「片道30分程度だし、長男のためにがんばろう」と、夫婦で決めたのです。

しかし、それがとても甘い考えだったことに、引っ越し後、気づかされることになります……。

区域外就学は想像以上にハードだった

「片道30分程度」でも、実際の生活はとてもハードでした。

下記は、自宅で仕事をするフリーランスである私の、区域外就学していた期間のタイムスケジュールです。

6:30 起床
7:30 長男と自宅を出る
8:00 長男を小学校に送り届ける(同時に、夫が次男を保育園に送り届ける)
8:45 自宅に戻る
9:30 最低限の家事をこなしたあと、仕事開始
14:00 長男を迎えに自宅を出る
14:30 長男の小学校に到着
14:45 長男と合流し、帰路につく
15:30~16:00 自宅に戻り、1時間だけ仕事
17:00 次男を迎えに自宅を出る

「片道30分程度」でも、送迎で往復すれば2時間です。さらには放課後、長男が待ち合わせの時間に現れないこともしょっちゅう……。

1日あたりの自分の時間が最低でも2時間、多くの場合はそれ以上減ることとなりました。事前にある程度わかっていて、納得もしていたことでしたが、心身共に、大きなストレスを感じる毎日でした。

実際に体験してわかった、区域外就学のメリット・デメリット

区域外就学を終えて数ヵ月経った今思う、おもなメリット・デメリットは以下のとおりです。

「自分だけクラスを離れる」さみしさが軽減される

学期末や学年末など、キリのいい時期まで通うことができるため、長男の「自分だけクラスのみんなとさようならする」感が軽くなりました。これが最大のメリットだったと感じています。

クラス全員で時間をかけて交換しあったという「今までありがとうのお手紙」をまとめたファイルも、区域外就学をして学年末まで通わなければ、手元に残らなかったものの1つです。

「さみしさがつのる」デメリットも

修了式を終えて帰ってきた長男は浴室に直行し、「さみしい」と30分ほど大声で泣き続けていました。ずっとガマンしていた感情が爆発したような、激しい泣きかたでした……。

区域外就学の4ヵ月間で、ゆっくりと転校への心の準備ができた反面、「もうすぐみんなとお別れするんだ」と思いながら切ない気持ちですごしていたのかもしれません。親としてつらい気持ちになりました。

それでも我が家は区域外就学を選んでよかった

これまで書いてきたように、さまざまな苦労やデメリットがあったことは事実です。家事・仕事との両立は本当に大変で、慣れない時期(はじめの1ヵ月ほど)は、疲れからきているであろうイライラが止まらないこともありました。夫は当時、私からまがまがしいオーラが出ているのを感じて話しかけられなかったことがあったそうです……(笑)。

それでも私は、区域外就学を選択してよかったと思っています。

本人的にも納得して、転校先の小学校で楽しむ決意ができたように見えますし(ちなみにすぐに新しい友達ができて、毎日とても元気に通学しています)、わたしたち夫婦の心のなかに、「たいへんな思いをしながらも、長男の意思を尊重したのだ」というちょっとした自信のようなものも芽生えました。

子どもの転校がネックで、住宅購入や引っ越しをちゅうちょしているパパ・ママには、「区域外就学」のことをまずは知っていただきたいと思います。きっと、選択肢が広がるはずです。

ささがわ かおり

笹川 かおり

Kaori Sasagawa
AnyMaMa(エニママ)ライター

AnyMaMa(エニママ)ライター兼コクリコ・サポート・エディター 東京都の多摩エリアで2男児(2014年、2020年生まれ)を育てる母。広告営業、ママ向け育児サイトの編集を経て、2019年に独立。エニママではライフスタイル・ビジネス・インタビュー記事などの制作を担当。 AnyMaMa:https://anymama.jp/  Twitter:https://twitter.com/AnyMaMaJP

AnyMaMa(エニママ)ライター兼コクリコ・サポート・エディター 東京都の多摩エリアで2男児(2014年、2020年生まれ)を育てる母。広告営業、ママ向け育児サイトの編集を経て、2019年に独立。エニママではライフスタイル・ビジネス・インタビュー記事などの制作を担当。 AnyMaMa:https://anymama.jp/  Twitter:https://twitter.com/AnyMaMaJP

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コクリコサポートエディターズ(CSE)は、コクリコの第2編集部。コクリコと、ママの社会復帰を支援するサービス「AnyMaMa(エニママ)」が協力して立ち上げました。子育てをしながら、ほかのお仕事をしながら……など、さまざまな立場で、子どもとの毎日が楽しくなる記事を発信していきます。

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