PTAやめちまえ! ママ漫画家が見た世にも恐ろしい世界
漫画家・斎藤かよこさん「PTAの手引き」リアルエピソード編#4〜パワハラ&嫌がらせ多々のPTAで上手く立ち回る方法〜
2022.06.15
漫画家:斎藤 かよこ
「PTAにビビる全国の保護者たちに贈る!」というインパクトのある帯をまとって世に放たれたコミックエッセイ、『やめちまえ!PTAって言ってたら会長になった件』(以下:やめP/講談社)。
主人公の篠崎塔子がPTAに足を踏み入れ、奮闘したり葛藤したり、さまざまな経験をしていく様が描かれています。
作者は、3歳差の姉妹を育てる、ママ漫画家の斎藤かよこさん。自身もPTA役員、会長を実際に経験し、作中描かれているエピソードは、なんとほぼ実話!
嘘だと言って欲しいほどの衝撃的なエピソードの数々と、それに立ち向かった主人公・塔子さん及び斎藤さんのお話を聞きました。
※全6回の4回目(#1、#2、#3を読む)
作者の体験を元にした ほぼ実話のエッセイ
「やめP」の主人公である塔子さんは、実家住まいのシングルマザー。右も左もわからないPTA初心者であったのにも関わらず、引越し先の娘の小学校で、広報委員に抜擢されてしまいます。
「実際私も、『実家暮らしだし、在宅で仕事をしているのでやりやすいでしょ〜』という圧に負けて、半ば強制的に役員を引き受けることに……。
広報委員にはじまり、校外委員、地域活動委員、そして会長まで、いろいろなPTA活動をしました」(斎藤さん)
PTAを題材にした漫画を描こうと思ったきっかけは、世の中にPTAの実情を訴えたかったから、と話す斎藤さん。
「最初は、忙しいのにやってられるか! って思いましたよ。あまりにもすることが多く、押し付け合いの連続。『これって本当に必要?』という活動もたくさんありました」(斎藤さん)
癒着にパワハラにいじめ 衝撃エピソード満載
PTAのトップに君臨していたのは、直接、話をすることもままならない高貴な会長と、その会長に忠誠心が強い保守的な役員たち。
伏魔殿(ふくまでん)で繰り広げられるありえない事件の連続に、新米広報委員の塔子さんとその仲間たちが立ち向かっていきます。
「毎年作っているPTAの広報誌の印刷代が妙に高かったんです。代々使っている指定の印刷会社があるとのことだったのですが……」(斎藤さん)
作中のエピソードでは、ある日、他のPTA役員が、会長と印刷会社の社長が高級レストランでランチをしているのを目撃。これも実際にあった話です。
「しかも、優雅に7000円のランチコースを食べていたんですよ! 会長はじめ本部役員に問い詰めたらうやむやにされましたが、これは明らかに会長と企業の癒着ですよね」(斎藤さん)
その後、「他社と比較して、安価で良いものを作れる印刷会社に変更したい」とPTA総会で訴えた塔子さんたち。
結果、癒着のあった印刷会社との関係を終わりにすることに成功したのですが、この事件はこれで終わりではありませんでした。
「私たち広報役員が作った原稿を、本部役員たちが見ないまま全ボツにするという嫌がらせをしてきました。
印刷会社の件でタテついたから仕返ししているんだな、と思いましたね。これは絶対に漫画に描いてやろうと思いました」(斎藤さん)
この会長と本部役員は、広報委員会の長に圧力をかけてくるパワハラ組織でもあったという。
「会長の旦那さんが、広報委員長の旦那さんの上司だとかで、『広報は会長に絶対に逆らえない』という話を聞いて憤(いきどお)りました」(斎藤さん)
また、作中では塔子さんの娘が、会長の息子から突き飛ばされるという衝撃の事件も勃発。親同士のいざこざが子どもにまで伝播することがあるとしたら、恐ろしいことです。
「いろいろな家庭があるので、考え方が違う家庭と話をしてもずっと平行線。大人同士の問題解決は難しいと思うこともたくさんありました」(斎藤さん)