令和の理想PTAは「便利ツールを駆使しつつ やりたいことをやる!」

ノンフィクションライター・大塚玲子さん「PTAの手引き」#3 ~令和時代の理想PTA~

ノンフィクションライター・編集者:大塚 玲子

コロナ禍はPTAの在り方や活動にも大きな影響もたらしました。 写真:アフロ
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新型コロナウイルスの流行により、全国一斉休校となった2020年春。そこから2022年6月現在まで約2年間、変化を迫られることになったPTAには、改革・適正化の波が押し寄せています。

戦後の発足からほぼ仕組みを変えずに運営されてきたPTAにあって、このコロナ禍は大きな追い風になりました。

不必要な活動のスリム化、ICT化による総会や行事のオンライン開催、便利なアプリの活用による連絡ツールの一新など、新たなやり方を採用して、生まれ変わるPTAが出てきました。

全国のPTAを多く取材するノンフィクションライターの大塚玲子さんに、「コロナとPTA」、そして「これからのPTAの理想」について話をうかがいます。

※全6回の3回目(#1#2を読む)

コロナで変わるPTA 廃止された活動の数々

新型コロナウイルス流行により、「前例踏襲」ができなくなった活動のなかで、廃止されたり、カタチを変えることになったものが多くあります。

「保護者向け講演会への動員や、夏休みのプール監視、図書館の読み聞かせ当番など、コロナ対応を機になくなったという話を聞きます。とあるPTAでは、コロナでスポーツ大会が中止になったのを機に、《大会の応援に行くための委員会》ごと、廃止したと言います。

また、それまで強制だったベルマーク活動への動員が『密になる行動は控えましょう』ということで、取りやめに。希望者で集計作業を行うやり方に切り替えられたりしています」(大塚さん)

これらはコロナによって、活動の縮小が上手く進んだケースだと大塚さん。

「これまで前例踏襲で続けられてきた過剰な活動をスリム化するには、コロナ禍はうってつけの機会です。今後はさらに、活動のあり方自体が見直されてくると思います」(大塚さん)

加速するICT化 メリットとデメリットは?

コロナをきっかけとして、PTA活動のオンライン化も進められています。ICTの導入によって、より多くの保護者の声をひろえるようにもなりました。

「保護者の意見がより集まりやすくなっているのではないでしょうか。PTA総会もオンラインになったことで、父親やフルタイム勤務の母親など、これまで参加できなかった層の保護者が参加できるようになったという声も聞きます」(大塚さん)

しかし、これまで総会に参加してこなかった人たちから、想定外の意見が出てきたという話も。

「総会に初めて参加したとある保護者の方から『うちは学校から遠くて通学が大変だから、始業時間を遅らせてくれ』と校長先生に直談判があったという話を聞いて、思わず笑ってしまいました。

これは極端な例ですが、いろいろな人がいて、いろいろな意見が出るというのがPTAの本来あるべき姿。これまで行われていた、質疑応答や議論がなくとも『シャンシャン』と手を打つように締め、形式だけで終わらせてきた総会よりは、予想外の声があがる総会のほうがいいと思います」(大塚さん)

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