保育園で「おむつのサブスク」急増 最新事情を6社に徹底取材!

SDGsで考える「おむつの未来」 #2 おむつのサブスク

遠藤 るりこ

写真:アフロ
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音楽や動画配信の月額課金・定額制サービスをはじめ、家具や家電、車や服などでも、「サブスク」が広がっています。サブスクとは一定期間、月額制で製品やサービスを利用できるビジネスモデルです。

最近は、“おむつのサブスク”サービスを導入する保育園も増加。でも、おむつが月額・定額制って、どういうこと?

そこで、今回はおむつのサブスクを運営・提供する、【手ぶら登園】のBABY JOB株式会社、【Kaoすまいる登園】の花王株式会社、【パンパースの「すくすくサブスク」(らくらく登園セット)】のP&Gジャパン合同会社、【おむつん】のいとう教材社、【おむつカンパニー】の株式会社ブリッジウェル、【Raku‐Omu ラクオム】の株式会社Gakken、計6社にアンケート取材を行いました。

おむつのサブスクには、どんなメリットがあるの? サブスクによって、保育園でのおむつ事情はどう変わっていくのでしょうか?

※全4回の2回目。※1回目はこちら。

保護者の持参は不要 保育園に直接おむつが届く

保育園が必要な分のおむつを業者に発注し、業者から直接保育園におむつが届けられるのが、“おむつのサブスク”の特徴です。

届いたおむつは保育者が管理をして使うので、保護者は月額で料金を支払うだけで、保育園に毎日おむつを持参しなくて済みます。

基本的には、ひとつの保育園ごとにひとつのサブスクが導入されています。サブスク導入されている園に通う保護者は、それぞれサービスを契約することができるのです。

ちなみに、保育園に届けられるおむつは、サブスク運営会社ごとに使用できるおむつのブランドが異なります。

どのサービスも、月額・定額制で使い放題。料金は、いずれも3000円前後/月の設定です。
※2023年12月1日より、「ミラフィールビズ」は「おむつカンパニー」に名称変更いたしました。

名付けや枚数管理 おむつ持参は面倒!

他企業に先駆け、2019年7月からおむつのサブスクを開始したのは【手ぶら登園】。2022年10月現在、全国約2400施設で導入されています。

【手ぶら登園】を運営するBABY JOB株式会社の代表取締役社長上野公嗣さんは、「保育園を運営するなかで、保護者がおむつの準備に負担を感じていることに気が付いたんです。少しでも保護者の負担を軽減させることで、子どもと向き合う時間を増せたら、とサブスクサービスを始めることにしました」と話します。

【おむつん】の運営を行う、いとう教材社のPR担当・中村竜児さんも、サブスクサービスの開始をこう話します。

「当社の代表が、自身の子どもを保育園に預ける際、登園のために準備する荷物の多さに大変驚いたのがきっかけです。両親共働きの家庭が増えているなかで、日々忙しい保護者たちの負担を少しでも軽減できないかと思ったのです」(【おむつん】いとう教材社・中村さん)

着替えセットやタオルに帽子、記名したおむつ……。週のはじめはシーツなども持参。登園のための荷物はたくさん!  写真提供:遠藤るりこ

自身の子育て経験からサービス提供を始めたのは、【おむつカンパニー】を運営するブリッジウェルの代表取締役・筒井訓章さんも同様です。

「初めての子育てで、ミラフィールのおむつに出会ってその品質に惚れ込みました。このおむつをぜひサブスクで取り扱ってみたい、と自らメーカーに打診しました」(【おむつカンパニー】ブリッジウェル・筒井さん)

おむつのサブスクを利用することで、保護者たちは、①日々の荷物が減らせる、②おむつへの記名が必要ない、③枚数管理をしなくてよい、など、たくさんのメリットがあります。

「おむつやおしりふきの枚数や残量を気にせず、なるべくたくさん使ってあげてほしい、という保護者もいます。そんな保護者にとって、このサービスは安心できるものだと感じています」(【Raku‐Omu】Gakken・沼田雄一さん)

保育者たちの負担やストレス軽減にも

サブスクが導入された保育園の保育者たちも、「おむつ管理の手間が減り、スムーズな保育ができるようになった」といいます。

「保護者が持参したおむつの残数をみて交換の枚数を気にしなくてよくなったり、おむつの記名をみて、履かせ間違いなどに気をつかうこともなくなったと聞きます」(【手ぶら登園】BABY JOB・上野さん)

また、当然のことながら、保護者が園に持参するおむつはメーカーも品質もバラバラです。

「保育園へ持ち込まれるおむつは、園児それぞれ異なるもの。保育者たちからは、製品パフォーマンスが統一されていて、納得できるブランドのおむつやおしりふきを使いたいという声がありました」(【パンパースの「すくすくサブスク」(らくらく登園セット)】P&G・後田啓太朗さん)

おむつのサブスク導入によって、園児が同じ品質のおむつを使うことで、保育者側も安心して日々のおむつ替えを行うことができるのです。

コロナ禍の混乱もサブスクがフォロー

感染症対策が重視されるコロナ禍において、おむつのサブスクサービスによって衛生面での不安がクリアされた、との意見もあります。

「保護者と保育士の間に生じるおむつの受け渡しは、衛生面での不安を感じていた(パンパースの「すくすくサブスク」らくらく登園セット)」、「おむつに触れる人数を減らすという面をメリットと感じた契約もあった(手ぶら登園)」という声や、「おむつサブスクのサービス自体が、買い物などの外出頻度を少なくすることができるので感染対策になるのでは(おむつカンパニー)」という意見がありました。

また、保育施設側の感染対策として、送迎時間の短縮や送迎時の場所・環境も大きく変わっています。サブスクは、そんな環境の変化にも役に立っています。

「コロナ禍で、保護者が園に入らず玄関で送迎をする園が増えました。おむつのサブスクを導入したことによって、登園時の混雑が避けられ、保護者と保育者双方の負担が軽減されたようです」(【おむつん】いとう教材社・中村さん)

おむつのサブスクなら、送迎をする保護者間でも、おむつの枚数管理や情報共有をせずに済みます。

「コロナによって働き方が大きく変わり、テレワークが増えたことにより、ママだけでなく、パパとの登園が増えています。おむつサブスクなら、夫婦間で保育園おむつの枚数を気にしなくてよくなり、パパとの登園もスムーズです」(【おむつカンパニー】ブリッジウェル・筒井さん)

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